サバクトビバッタは、落ち着いたのか
新型コロナウイルスの陰に隠れていたのと、被害のエリアが先進国ではないこともあってか、サバクトビバッタの報道は、それほど多くありません。
ただ、アフリカ、アジアで食糧危機に陥っている人の数が4200万人と試算されており、1日何も食べることも出来ない人がこの世の中にいることは、知っておくべき事実です。
今回は、そのサバクトビバッタが再び増加する恐れの環境が整っていますので、解説します。
蝗害(こうがい)、中国の皇帝も恐れる
バッタの大量発生による災害を蝗害といいますが、中国では感じで「虫」と「皇」と書きます。これは、皇帝が最大の課題にするくらい注意していたということを意味します。バッタの大群は、温暖化が原因だという報道もありますが、それはビジネス目的にも見受けられます。
温暖化だから台風が増えた、温暖化だからバッタが増えた、果たしてそうでしょうか。今年は、台風は日本に上陸していません。バッタも過去の歴史を辿ると被害が酷かったのは、ギネス記録では、1875年の12兆5千億匹の北アメリカロッキートビバッタとなっています。聖書にも書かれているように、蝗害は昔から恐れられているということは理解しておく必要があります。
サバクトビバッタとは
今回は、サバクトビバッタを取り上げますが、実は南米では、ミナミアメリカバッタが大量に発生し6月23日の報道を読むと4,000万匹に拡大とのこと。サバクトビバッタ以外にも各地域の風土に合わせ、そしてその気候のタイミングがバッチリと一致すると大量発生し、被害をもたらします。サバクトビバッタについての特徴を簡単にピックアップします。
・砂漠および半砂漠地帯に生息
・寿命は3-6ヶ月
・体長5cmほどと大きい
・農作物500種類を食い散らかす
サバクトビバッタは非常に大きく、はじめは緑色ですが、変異すると茶色になります。農作物500種類を食い散らかすというのは、困った内容なのですがさらに困るのが、サバクトビバッタが去った後にする糞で、次の農作物が収穫できなくなるようです。
ですので、サバクトビバッタ襲来のタイミングによっては次の農作物の収穫予定も大幅に狂ってしまう可能性があります。寿命が3-6ヶ月で、食べるものがなければ生きていけないのですが、現在のサバクトビバッタの状況はどうなっているのでしょうか。
サバクトビバッタの最新状況
サバクトビバッタは、西アフリカからアジアに向かって移動をしていましたが、現在の各地の状況は以下の通りです。
・イエメン
若い成虫が成長中
・サウジアラビア
若い成虫を駆除中
・インド・パキスタン・イラン
状況は劇的に改善
・エチオピア・ソマリア
収穫期の農作物に大きな被害
・中国
雲南省、8月26日「虫害は解消された」と発表
サバクトビバッタがどこに大量に発生するか予測がつかない状況のようで、発生したらヘリコプダーで除草剤を撒く、これくらいしか出来ないようです。インドなど改善されているエリアもありますが、気になるのがエチオピアとソマリアです。
巨大サイクロン、ガティ上陸
今後の最大の懸念材料が、巨大サイクロン「ガティ」の存在です。今回のサバクトビバッタの大量発生の要因には、2018年に発生したサイクロンがあるといわれていますが、ガディがその要因と一致すると考えられます。
ソマリア北部に、現地時間22日に上陸したガディ。ソマリア観測史上最強のサイクロンで、インド洋観測史上最も急速な発達をし、1日で6年分の降水量をもたらしました。そして被害の全貌がなかなか掴めない状況ですが、死者も出ているといわれています。
The death toll has risen to eight after Tropical Cyclone Gati battered #Puntland coastal areas on Sunday, Puntland government officials told Puntland Mirror, adding that there are other casualties such as houses collapsed, fishing boats capsized, and communications were cut. pic.twitter.com/2dyUWrB2Bd
— Puntland Mirror (@Puntlandmirror) November 23, 2020
サバクトビバッタにとっては好環境が整う
ソマリアは、非常に雨の少ないエリアですが、ここに雨が降ると水たまりができ、草木が育ちます。そうなると、サバクトビバッタの繁殖にとって好環境となります。草が生長すると、雌が草地に卵を産みます。自分の体重と同じ量の緑の植物を食べるので、そのエリアの緑がなくなれば別の餌場を求めます。
ソマリアの隣、エチオピアも別の危機
ガディの発生で、サバクトビバッタが増えたとします。そうなると当然、対策が必要となってみますが、エチオピアは、現在連邦政府と北部ティグレ州の少数民族勢力の軍事衝突が起こっており、サバクトビバッタ対策まで手が回らない可能性があります。そうなると、サバクトビバッタの増加はもちろんのこと、食糧危機が懸念される流れは否めません。
日本政府も支援
日本政府も放置しているわけではありません。
・3月10日
ケニア・ソマリア及びジブチ8億2,500万円緊急無償資金協力
・6月23日
南スーダン・スーダン及びウガンダに4億9,500万円緊急無償資金協力
巨大サイクロンガディの登場で再度、サバクトビバッタが急増することは少し頭に入れておいたほうがいいかも知れません。穀物市場などにも影響が出る火種となる可能性もありますので、注視したいところです。
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