コロナ禍で金融市場の流れに変化
コロナ禍で金融市場のプレイヤーに変化が出ています。顕著に現れているのがロビンフッドの存在です。過去記事でも紹介しましたが、ロビンフッドの存在は、ヘッジファンドすらも撤退する状況となり、株価を急騰させ、無視できない状況となりました。今回は、ロビンフッドVSヘッジファンドで起こった投機合戦について解説します。
ロビンフッドとは
ロビンフッドとは、米国ロビンフッド証券が出している人気の投資アプリのことです。コロナ禍で米国は多額の給付金が個人に入りました。生活に使う人もいる中で、若者の間ではロックダウンで外出規制もされている中、使い先がない人も多くそれが「投資」に回りました。
そこでゲーム感覚でサクッと楽しめるロビンフッドに人が集中しました。手数料無料、手軽で利用できさらには、SNSのコミュニティでのやり取りで投資素人でも敷居が低くなりました。そんなロビンフッドで取引する人たちのことを「ロビンフッダー」と呼ばれています。
ヘッジファンドとは
ロビンフッダーは、ロビンフッドを使う個人投資家集団ということはお分りいただいたと思いますが、ヘッジファンドは、真逆の存在です。1949年米国で誕生し、世界政府、中央銀行に並ぶ金融市場のメインプレイヤーです。空売りを得意とし、1992年欧州危機や1997年のアジア通貨危機の背景には、ヘッジファンドの空売りの仕掛けがありました。絶対成果成功報酬型主義ですので、とにかく結果が全ての世界です。ヘッジファンドには逆らうなという言葉があるくらいですので、大きな流れを作るのがヘッジファンドです。プロ集団ですね。
ロビンフッダーが襲撃
ロビンフッダーが侮れないところは、個人とはいえ数が集まれば大きな集団になるということです。米国の4月のロックダウン期には、税務上の居住者で、確定申告の年収が独身者7万5000ドル以下、夫婦の場合は合算で年収が15万ドル以下であれば、大人1人あたり1200ドル、子ども1人につき500ドルを受給できます。また、非婚で扶養家族がいる世帯主で年収が11万2500ドル以下の場合も1200ドルが受給されています。
日本でも特別定額給付金10万円が給付された際、特に使い道のない人は貯金に回しました。米国の場合はその発想がなく、とりあえず貯金ではなく、投資に回ります。何百万、何千万人もロビンフッドアプリに集結し、1200ドルをそのまま入ると驚異的です。仮想通貨、ビットコインの上昇にもロビンフッダーの存在があるといわれています。米国のニュースアプリredditの中の投資コミュニティ「wallstreetbets」では、活発に投資についてのやり取りがされています。そこでヘッジファンドの空売り情報を狙う動きが出ました。
メルビンキャピタルのショートが狙われる
ヘッジファンド、メルビンキャピタルがゲームストップ株(GME)を大量にショートしている情報を受け、wallstreetbets内で、詳しい個人投資家が先導となり、次々とオプションの購入に走り、全体として巨額のオプション購入となりました。オプション取引とは、ローリスク(限定的)でハイリターンを狙える投資手段の1つですが、個人投資家のオプション買いが増えるとロビンフッド証券側はヘッジで株を買う必要があります。価格が急騰してくると、メルビンキャピタルも買い戻しをせざる得なくなります。
このように買いが買いを生んだ投機的な上昇で、ゲームストップ株は1月上旬は、17ドル程度でしたが、1月27日には347ドルまで急騰しており、20倍もの急騰となりました。今回のロビンフッターの動きは、金融市場全体を脅かす存在となり、1月28日のNYダウはリスクを回避する動きが出て、600ドルもの大幅下落となりました。2週間ほどで1700%急騰ですが、その後は急落をしており、まさに投機的な動きとなっています。
一部銘柄を制限する
この動きはすぐに制限がかかりました。ロビンフッド証券など複数のネット証券が対象銘柄の取引を制限すると発表しています。個人的にはヘッジファンドはOKで、ロビンフッターの行動がOUTなのか?と疑問に思うところです。政治家の間でもこの対応に対しては、疑問の声があがっているようです。今まで、個人投資家は、大口投資家のカモにされてきました。
しかし、SNSの発達により個人が団結して大きな力に立ち向かうことが出来た成果と捉えられますが、どうも今までマーケットを仕切っていた人たちにとっては、気分のいい話ではないようですね。米国はさらに1400ドルの給付金の話がありますが、これが給付されると、さらなるロビンフッターの動きに注目です。
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