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【 株価の価値ゼロ 】名門レナウン破産から学ぶ

レナウン破産へ

民事再生手続きを行なっていたアパレル大手の名門レナウンですが、11月に破産手続きに移行する流れとなりました。コロナ禍でこのようなケースは今後も多く出てくる可能性が考えられますが、従業員の方々は当然ですが、株式投資をされる方でいえば、他人事ではありません。

今回はレナウンの破産への流れと、その間にあった株価について解説します。これを読むことで、今後同等のケースが再来した際にも覚悟を持って対応することができますので、ぜひ最後までお付き合いください。

レナウンの歴史

まずは、名門とまで言われたレナウンの歴史について触れておきます。レナウンの創業は、1902年(明治35年)。創業者の佐々木八十八が、大阪で衣料品の販売を手掛ける「佐々木商会」を設立したのがその始まりです。その後、メリヤスを中心とした繊維商品の製造も手掛けるようになり、1923年(大正12年)から、「レナウン」を商標に登録し、用い始めました。1990年代にはアパレルメーカーとしては世界最大の売上高を誇るまでになり、連日CMが流れるほどでした。

しかし、状況が一転したきっかけがバブル崩壊。バブル崩壊で経営難となり、2010年に中国の山東如意科技集団の子会社となりました。今年は、新型コロナウイルスの影響もあって、5月15日にグループ会社が東京地方裁判所に民事再生法の適用を申し立て、民事再生手続きに入りましたが、10月30日に民事再生手続廃止決定を受け、現在破産手続きに移行しています。負債総額は138億円。

レナウンの倒産の理由

コロナの影響もありますが、レナウンの倒産は他にも理由が2つ上げられます。

1つ目は、時代に乗れていなかったということ、百貨店と共に成長したといっても過言ではないレナウンですが、全国の百貨店も軒並み厳しい状況です。同じアパレルである、ユニクロが売り上げを上げる中で、レナウンブランドにこだわり過ぎた売り方も影響したと考えられます。

そしてもう1つの理由は、親会社の山東如意科技集団との関係です。山東如意科技集団から、レナウンはお金を回収出来ていません。レナウンは山東如意科技集団に掛けで商品を販売していました。掛け売りです。レナウンは、商品を山東如意科技集団に販売し、本来であれば、山東如意科技集団側は、商品の価値に見合ったお金や有価証券をレナウンに渡さなければいけません。

しかし、タイムラグのある売り方をしていたため、2019年は売り上げを回収出来ておらず、12月期の最終赤字は67億円、53億円もの資金を山東如意科技集団から回収できていませんでした。そこに新型コロナウイルスが重なりました。

会社倒産・破産or民事再生手続き

会社の倒産にたいして、破産か民事再生かの選択肢があります。破産すれば、会社の財産は債権を有する人に分配され会社は消滅します。レナウンは、民事再生を選び再生する道を進みました。

民事再生手続では、裁判所の介入、経済的苦境に立たされた債務者が再生計画案を自分で作成し、多数の債権者の同意と裁判所の認可を受けて、その再生計画に基づく弁済等を行う必要があります。会社を存続させつつ、債務整理を行える反面、ブランド力(イメージ)の低下や民事再生手続きの費用などもかかってきます。

レナウンの株は上場廃止

民事再生となると、レナウンの株価は「上場廃止」となります。上場廃止には、買収などの株式交換や不祥事等による上場廃止、そしてレナウンのような倒産です。上場廃止後、突然取引出来なくなるのではなく、1カ月後に売買が不可能となるということです。このような株を、整理銘柄と呼ばれます。レナウンは東証一部に上場していました。

マネーゲームが始まる

不祥事や倒産などのネガティブな上場廃止となった場合、株価はストップ安となり、1円を目指す動きとなります。そしてそんな中、空売りや安値付近で急騰などが起こり投棄的な動きが出ることがあります。基本的には、このような投棄的なマネーゲームは、非常に危険ですので手を出すべき内容ではありません。

レナウンは1963年に上場。ダーバンと経営統合する前の1989年には1,610円の高値をつけています。上場来高値は、2006年の2,220円。上場企業として57年の歴史を守り続けていましたが、最終の株価4円を基準とした時価総額はおよそ4億円で長い歴史に幕を閉じることとなりました。

個別株の恐ろしさ

このように個別株は、当然ですが企業がなくなれば株はただの紙切れとなります。昔は、株券が送られてきていたようですが、今は電子ですので形すらありません。仮想通貨がイメージしやすいでしょうか。

個別株というのはどれだけ大手であっても足元を救われることはあります。分散投資を心がけたり、日々の状況のチェックを怠らない情報収集力は最低限必要となります。今回のレナウンでいえばバブル後に兆候は現れていたのではないか、と結果論で恐縮ですが考えられます。

しかし、人はその時点で損をしていると損を確定できずにダラダラ淡い期待をし続けることがあります。その期待が無価値になるのであれば、目の前の損失を確定させて次に向かう、というのも投資の考え方の1つですね。

*投資は、自己責任でお願いします。

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Hatanaka
投資歴16年。過去には様々な投資案件を行ってきており、為替FX、暗号資産(仮想通貨)分野に精通しており、現在は、トレーダー講師としても活躍中。