福島原発の放射能汚染水の海洋放出は誰も納得できない
日本政府は27日、福島第一原発敷地のタンクに保管中の汚染水の海洋放出を決定しようとしましたが、いったん見送りとなりました。
漁業関係者をはじめ国民的な反対世論が高まった上、東京電力が2015年に「漁業関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」ことを文書で約束したことによる避けられない措置とみられます。改めて今日は原発の問題について考えてみましょう。
汚染水の海洋放出による影響は?グリーンピースの警告
日本政府が東京電力福島第一原発にたまる処理済み汚染水の処分について、太平洋に放出する方向で調整を進めていることに対し、国際環境NGOグリーンピースは新たに発表した調査報告書の中で、下記の警告を発しました。
放出される放射性物質が人間のDNAを損傷する影響がある
グリーンピースは、海洋放出について新たな報告書を出し、汚染水には人間のDNAを損傷する可能性がある炭素14などの放射性物質が危険な濃度で含まれていると警告しています。
太平洋に放出されれば地域社会や環境に深刻な長期的影響を及ぼすとの懸念を指摘しました。報告書を執筆したグリーンピース・ドイツの原子力問題研究者、ショーン・バーニー氏は、タンクの水に含まれる炭素14の放射能は63.6ギガベクレルに及び、今後数千年にわたってDNA損傷を引き起こす恐れがあると述べています。
一般世論も否定的
一般市民の否定的な世論が大きいのも汚染水の海洋放出には負担になっています。 日本政府は主要政策を決定する際にオンラインなどで一般国民の意見を聞く、「パブリックコメント」の手続きを7月まで実施し、最近結果が分かりました。報道では「全体4011件のうち、安全性への懸念が2700件、(放射能汚染地域など)風評被害・復興の遅延への懸念が約1千件に達した」と報じられています。
過酷な事故の実態
福島第一原発では、原子炉の運転自体は緊急に自動停止したものの、津波によりオイルタンクが流出し、非常用電源は全て動かなくなり、非常用炉心冷却装置が注水不能に陥りました。また使用済み核燃料プールも冷却不能になりました。
その結果、同原発1・2・3号機では核燃料棒が崩壊熱でメルトダウンするに至り、炉内で発生した水素が爆発し、原子炉建屋や原子炉内圧力容器、そして格納容器までが破損しました。また4号機でも核燃料プールの冷却機能喪失―水素爆発に至っています。
原子炉を制御する各種の計測器は故障するなか実際事故の実態がいかほどのものであるのか把握できず、かと言って強い放射線によって原子炉に近づくこともできず、事故の収束を図ることができないという危機的状況が続いているのです。
原発は安全はウソ
今まで政府・電力会社は、たとえ事故が発生しても放射性物質は五重の防護設計によって「止める」・非常冷却装置によって「冷やす」・格納容器によって「閉じ込める」、だから安全なのだと喧伝してきました。しかし、現実にはこの安全策のいずれとして機能しなかったことが明らかになっています。
原発は地震には十分耐えたが大津波が「想定外」のものだった、などと言い訳していますが、様々なデータは地震発生時点で原子炉の機能が破壊された可能性を示唆しています。
また、福島第一原発以外でも地震発生時に運転中だった東京電力・福島第二原発、東北電力・女川原発、日本原電・東海第二原発の計11基の原子炉においても外部電源を喪失するなどの重大な事態に陥り、六ヶ所再処理工場でも非常用電源が稼動する事態となっています。この「地震列島」日本で、「安全な原発」はそもそも存在し得ないものであることは、もはや明白です。
被曝とはなにか
被曝には「外部被曝」「内部被曝」の2種類あります。外部被曝は放射性物質が外にある場合、例えばレントゲン撮影や核兵器の爆発による「被爆」がこれにあたります。一方、内部被曝は体に取り込まれ、放射性物質が人体の細胞に放射線を浴びせ続けるものです。
外部被曝はその被害を軽減させるための方策(遮蔽する・逃げる)もありますが、内部被曝は体内のことですから一度起きてしまうと対処が大変難しいものになります。内部被曝の恐ろしいところは、日常生活に必要不可欠な、空気・食べ物・水といったものを通じて放射性物質が取り込まれるということです。
いくら被曝を避けようとしても、そこに暮らす人々が生きていく以上は、何らかのかたちでの被曝が強制されるのです。
福島原発でいまだに自分の住まいに戻れない人たちが大勢いる現実に政府及び関係者はどう答えるのでしょうか?どのように解決させるつもりなのでしょうか?時間の経過とともに風化することを待っているようにしか思えません。
被曝が人体にもたらすもの
放射線障害には2つのタイプがあります。「急性障害」と「晩発性障害」です。急性障害は一定以上に強い放射線に曝された場合に発症し、吐き気・(放射線による)やけど・造血機能障害・不妊などの症状、さらには死に至ることもあります。一方「晩発性障害」はそのときには目に見える症状が出なくても、細胞内の遺伝子を傷つけられることによって、将来的に白血病やがんなどの病気を引き起こすものです。
この「晩発性障害」には、たとえそれがどんなに弱い放射線であったとしても、その受けた放射線量に応じて症状が発生するリスクが高まるという性質があります。つまりどのようなかたちであれ、被曝は人体に被害をもたらし得るものであるということなのです。
被曝が恐ろしいのは、放射線が人体の細胞内の遺伝情報を傷つけるために、細胞分裂の盛んな若い人ほど、その被害を受けやすいという事実です。とくに、放射線による発がん作用の感受性の高い子どもたちの被害については、心配してもしすぎるものではないと言えるでしょう。
原発稼働は日本では無理
日本は地震列島と呼ばれるほど、地震の多い国です。しかも国土は狭い。そこに54基もの原発が建っているのです。これまで、日本の原発はスリーマイルやチェルノブイリとは違い、安全だと言われてきました。しかし、ひとたび巨大な地震に見舞われれば、様々な機器が壊れ、様々な安全装置も、いざとなれば役には立たないことが、福島第一原発事故では明らかとなってしまいました。その結果、“フクシマ”は世界最悪と言われたチェルノブイリと並ぶ原発事故となってしまいました。
原発は原爆と同じく、その燃料はウラン、またはプルトニウムです。原発を動かせば「原発のゴミ」、「使用済み燃料」などと呼ばれる高レベルの放射性廃棄物が出ます。その捨て場所もないのに、原発は動かされています。原発が「トイレなきマンション」といわれる所以です。その解決方法として考えられたのが「再処理」です。
使用済み燃料の中から、新たに生まれたプルトニウムを燃料に再加工するために取り出し、それをまた燃料として使おうということなのですが、青森県六ヶ所村の六ヶ所再処理工場は、何度も試験運転で失敗をくり返し、商業運転開始のめどは立っていません。
“安くない”エネルギー
原発推進派はその根拠として、コストの安さを強調します。しかし、原発建設時の自治体対策費(交付金)、老朽化原発の廃炉にかかる費用、今回のような事故が起きたときの被害者への補償などを考えただけでも、とても安いとは思えません。
それらは、私たちが支払う電気料金の中からまかなわれるのです。ひとたび事故が起これば、環境中に大量の放射能を放出し、何年にもわたって汚染を続ける。事故が起こらなくても、高レベルの放射性廃棄物の捨て場がなく、どんどん溜まっていく。さらに言えば、ウラン採掘のときから、先住民に核被害を与えるのが原発の真の姿です。
原発はいらない
原発が必要ないことなど既に世界で明らかにされています。なぜそれなのに日本は原発を止めることができないのか? ここには様々な巨額な利権が絡み、既得権益者が原発を継続させるようとする大きな力があるのでしょうが、人類に制御することができないものを稼働させ続けることは本当に愚の骨頂です。
有効なクリーンエネルギーは既に多数あり、製造コストは年々下がっています。化石燃料が大量にとれる国でさえ、化石燃料からクリーンエネルギーに切り替えている中、日本はあまりにも後手後手です。
日本国民、ひとりひとりがこの問題については反対を唱えつつ、それぞれが、エコエネルギーの活用を推進していくことが、日本の未来を変えることにつながっていくのでしょうね。本当に・・・原発はもう日本には必要ないのです。
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