政治混乱

トランプの再選を願う中国

アメリカの混乱、中国だけが漁夫の利を得る

中国の本音として、米大統領選ではトランプ大統領の再戦を願っているのは間違い無いでしょう。トランプによりアメリカ国内の分断化が進み、世界のリーダーとしてのリーダーシップへの不信感が募り、世界からの信頼感がなくなればなくなるほど、結果的に中国は得をすることになります。

デジタル人民元化も推し進め、上海、香港市場でアント株も過去最高規模で上場を進めています。トランプが起こした混乱、分断により、アメリカの世界のトップの地位は確実に中国に
じわじわと侵されていることは間違いありません。今日はこの辺りの最新状況について書いていきたいと思います。

アメリカの対中感情悪化は不変

アメリカの対中感情の悪化は不変であり、当面これが変わることはないでしょう。バイデン氏が当選すれば、アメリカが国際社会の信用を得て、対中包囲網は強化されることになるでしょうが、トランプ氏が再選するようなことになれば、アメリカ国内の分裂が更に進むことになり、国際社会におけるアメリカの信用失墜が加速することも間違いありません。トランプ氏が再選することが中国にとって有利になり、共産党の首脳部の多くはトランプ氏再選を願っているのでしょう。これはロシアも同様かもしれません。

他国の大統領選挙に関して中国政府や中国共産党組織がものを言える立場にはありませんが、中国大陸のネット空間における世論から見ると、トランプ再選の方が中国には有利に働くという意見が圧倒的に多くなっているのです。トランプ氏が起こした混乱がなぜ中国にとって好ましいのか? ポイントとなる点をまとめてみました。

1)アメリカに対する幻想を潰してくれた

多くの中国人は、日本人と同様にアメリカに対する憧れを持っていました。誰もが努力をすれば大成功を収めることができる国。最も文明が進化し、何よりも自由がある国。それが中国人がイメージするアメリカなのです。

中国の改革が進む中、多くの中国留学生が世界中の学校に留学に行きましたが、アメリカで取得した博士学位が最も高く評価されました。それは中国社会がアメリカという国家を高く評価していたからなのです。

しかしトランプ大統領の出現によって、中国人民、特に若者のアメリカに対する憧れと幻想を潰してしまいました。アメリカで起こる暴動、差別、拳銃による犯罪、政治の混乱、さらには富の二極化、そして新型コロナの感染拡大をニュースで日々見ることで、アメリカに対して幻滅してしまったのです。

2)民主主義への幻滅

一党支配体制の中で経済的繁栄を続けてきた中国ですが、それでもなお一部では、民主主義というものへの憧れを心ひそかに抱いていました。しかしトランプの出現によって、民主主義は少しも良いものではないという幻滅を、ほとんど全ての大陸にいる中国人に抱かせることになりました。

それは人種差別や暴力、国際社会からの離脱などによる身勝手さから、民主主義大国であるアメリカの実態を知ることになったからです。さらに大統領選挙戦における相手候補への節操がないほどの罵倒、罵詈雑言によって、民主主義は少しも良くないという印象を中国人民全体に巻き起こしているのです。中国共産党にとっては、トランプのとっている今の行動に、拍手喝采をしているのではないでしょうか。

3)先進国のアメリカに対する信用の失墜

ヨーロッパ諸国のアメリカのリーダーシップに対する信頼度は日に日に落ちています。ヨーロッパ諸国が日に日にトランプ大統領を信用しなくなり、それがアメリカという国家に対する信用度を無くさせ、結果的にアメリカの国力・威信を失墜させています。米中覇権争いが進行している中、アメリカの威信がここまで顕著に落ちてくれれば、中国としては歓迎しないはずがありません。

ヨーロッパ諸国は、信頼できないアメリカには一定の距離を置かざるを得ず、結果的に、ヨーロッパ諸国は、成長する巨大市場を持つ中国との関係を強化することになり、世界のリーダーとしてのアメリカの地位は継続的に落ちていくことになります。

4)致命傷なアメリカの国際社会からの離脱

習近平政権は、人類運命共同体を外交的スローガンとして打ち出し、何とかして一国でも多く中国側に引き付けて国際社会における影響力を高めようとしています。そのような中で、TPP脱退、パリ協定脱退、イラン核合意脱退、WHO脱退と、アメリカが自ら国際社会の組織から次から次へと脱退していますので、中国にとってはこんなにありがたい大統領はいません。

トランプは、” 大統領に再選されるため! ” という個人的な目先の利益のためだけに、アメリカの国益を自らの手で潰していってくれます。中国にとっては最も汲みやすく、自国を有利に進めてくれるトランプが再選されることを願っているのでわけなのです。

https://ai-trust.info/20200617/

想像力豊かに、臨機応変に

トランプの犯した失態により、世界のリーダーの地位は残念ながら、アメリカから中国へという流れは加速しています。日本という国は隣国である中国との付き合い方を、改めて考える必要があります。アメリカのご機嫌伺いをいつまでもしているのではなく、今まで以上のバランス感覚が必要な時代になっているわけです。

個人個人がこの問題に対して具体的に何かできることもありませんが、投資、金融市場に対する影響は非常に大きな問題になりますから、この全体の動き、流れを常に理解をしておくことが重要になります。ここにきて元高も進んでいますが、アメリカが衰退していくようなことになれば、ドル離れが加速する可能性、円高ドル安が進むリスクもあります。

ドルからの資産離れが加速すれば、その資金はどこに向かうのか? 想像力を深め考えることが、臨機応変な投資行動にもつながっていきますので、日々訓練のつもりで世界の動きから、ケーススタディをそれぞれ考えてみましょう。

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