経済ビジネス

【医療現場の三重苦】崩壊、燃え尽き症候群、給与減

世界の医療現場では深刻な状況が続く・・・・

27日の米新規感染者は20万3013人と過去最多を更新しました。26日の感謝祭祝日後に一部の州が集計を再開しています。ロサンゼルスは30日から新たな外出禁止措置を講じることになりました。春に米国の大都市を襲った新型コロナ感染は、今では地方や小さな町を飲み込み、全国にくまなく浸透しています。

アメリカ国内の多くの病院はベッドや機器が足りず、特に専門家や看護師など医療スタッフの不足が深刻な問題となっています。オハイオ州からノースダコタ州、サウスダコタ州を結ぶ中西部域の10州は特に感染が激しくなっており、中西部は感染率が国内の他の地域よりも2倍以上高く、感染者数は6月半ばから11月半ばにかけて20倍強も増加しています。 

燃え尽き症候群

この10年、アメリカの医療現場で医師のバーンアウト(燃え尽き症候群)が蔓延しており、年間で46億ドルもの損失を出す大問題となっています。パンデミック前からアメリカの医師の40%以上がバーンアウトの症状を感じていたとされますが、コロナとの戦いによるストレスで、この数字はさらに大きく拡大していると考えられます。

医師が疲弊する原因のひとつに、人手不足があります。パンデミック前にアメリカ医科大学協会が発表した資料によると、アメリカでは2033年までに13万9000人の医師が不足するといいます。こうしたなかでコロナウイルスの問題が発生し、医師の疲弊にさらに拍車がかかっている状況なのです。当然これは看護師も同様の状況であり、世界の医療現場が崩壊に近い状況にあります。

医療崩壊が起こる要因

医療崩壊とは、一般的には「必要とされる医療」が「提供できる医療」を超えてしまうことを指します。提供できる医療は医師、看護師、放射線技師、薬剤師などの医療従事者や、人工呼吸器、ECMOなどの医療機器などによって制限があります。普段は「必要とされる医療」がこの「提供できる医療」の制限を超えることなく診療の質が維持されていますが、この「必要とされる医療」が「提供できる医療」を超えてしまうと、診療の質が維持できなくなってしまい、医療崩壊が起こるのです。

2月下旬から新型コロナが大流行したイタリアでは、当初致死率が7.2%と非常に高くなっていました。この7.2%という数値は現在の世界全体での致死率2.4%を大きく上回っていますが、これは重症例が多くなり本来提供できる医療よりも新型コロナの患者が増えすぎてしまったために、普段の診療体制では救える命も救えなくなってしまったことが要因の一つとして考えられます。 

このように、新型コロナの患者数が増加して「提供できる医療」の限界を超えると、新型コロナ患者の診療の質が保てなくなります。しかし、それだけではありません。新型コロナの患者数の急激な増加は、新型コロナ以外の患者への医療にも大きく影響を与えます。 救急車の搬送先がなかなか見つからない。様々な手術が延期される。癌の診断ができない。一般診療、外来診療を縮小せざるを得なくなる。等々が考えられます。

既に日本では救急搬送の遅延が起こっています。4月の第1波の時期には発熱患者が救急車を要請しても、新型コロナの可能性を考慮して受け入れをためらう医療機関が増加し、救急隊の現場到着から搬送開始までに30分以上を要した「救急搬送困難事案」が増加しました。

10月以降の新型コロナウイルスの感染が急拡大により、医療関係者からは「このままでは医療崩壊が目前だ」と危機を訴える声が上がっています。特に心配されるのが、医療への負荷が大きい重症者への対応です。 東京都の入院調整本部では、すでに1週間ほど前から重症者の受け入れ先が見つからない事態が起こっているのです。

様々な負担が増す中で報酬は大きく減っている

最前線で働く医療従事者の待遇について、病院や診療所などで働く人たちで作る日本医療労働組合連合会が「冬のボーナス」の調査結果をまとめました。それによると、前年と比較可能な289組合のうち、128組合がボーナスを引き下げるといいます。このうち10万円以上の引き下げは31組合に上り、最大で平均35万円以上減額される組合もありました。背景には医療現場の厳しい経営状況があります。新型コロナの流行が始まって以降、全国各地の病院では「受診控え」が起きています。

さらに新型コロナの患者を受け入れている病院では、専門病棟などを設けるため、一般の入院を抑えるなど、収入が減る状況が起きています。こうした状況に国は支援金を用意していますが、日本医療労働組合連合会によると、現場からは「申請したが届いていない」「金額も不十分」などの声があがっているといいます。懸命に頑張っているスタッフに少しでも多く支払いたくても、経営状況が厳しすぎて支払えないという状況が日本中の病院で起こっているのです。

日本の医療の未来は?

今回は新型コロナにより現状の医療体制の問題が浮き彫りになりましたが、感染リスクが高い医療現場で、通常よりも激務の中で耐えながら報酬が下がってしまえばどうなるか? 医療従事者の退職が続く恐れが強く、それは医療崩壊に拍車をかけますし、高齢化社会が加速する中では致命的な問題となりかねません。

まずは自らの、家族が健康であることが何よりも大切ですが、今起こっているこの現状を理解しつつ、かかりつけ医についても意識していくつかを持っておくことが重要だと考えられます。

そして国の政策の優先順位として、GOTOキャンペーンよりも真っ先に今の医療崩壊を防ぐために手厚い保護をすることが何よりも大切だと考えられます。

世界で忍び寄る医療崩壊への足音世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスの感染を抑えるワクチンの実用化は少なくとも1年は見込めないとの見方を示した。 WHOのマ...
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チャーリーTAKA
チャーリーTAKA
日本を代表する投資家兼実業家でもあり、グローバル・チーフ・ストラテジストとして活躍中。
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