株式

二極化する株式市場、IT銘柄に資金集中

IT銘柄への集中が継続する

世界の株式市場の時価総額は過去最高を更新しています。QUICK・ファクトセットによると、世界の上場企業の時価総額は10月12日に過去最高の91兆3000億ドル(約9600兆円)となりました。このうち電気機器や情報サービスを合わせたIT関連業種の時価総額は全体の22%まで上昇しています。

業種別では最大となり、IT関連銘柄が軒並み急騰したドットコム・バブル期に匹敵する水準まで上昇しています。新型コロナにより、世界各国の中央政府が抱える借金はそれと反比例して過去最大まで拡大している状況にあります。

特に2020年だけで急増していますので、世界中の余った資金、行き場のないお金が、過剰流動性資金として継続的に株式市場に流れ込んでいることが明確にわかります。今日はIT銘柄に集約する株式市場の行方について考えてみたいと思います。

実体経済との解離は進む

新型コロナの世界での感染者数は4,000万人を超え、ヨーロッパ、北米を中心に感染は北半球で加速度的に拡大しています。新型コロナに対して落ち込む経済に対して、次の大型財政支援は必ず各国で行われることになるでしょう。

これにより、株式市場はコロナによるショック安を定期的に受けつつも、さらに上昇を続ける可能性が高いです。どのような上昇スピードになるか、上昇曲線を描くかという点について言えば、アメリカのFRBのバランスシートの膨らみ具合を見ておくのが一番の参考になるでしょう。

このあたりはACB(アフターコロナバブル )の中で詳細を述べていますので、サロンメンバーの方は会員ページより詳細をご確認ください。

金融銘柄は落ち込み

株式市場も完全に二極化が進み、上昇銘柄とそうでない銘柄が分かれていますが、今後これはさらに加速することになります。世界の株式市場でIT(情報技術)分野へのマネーの一極集中が一段と進んできています。

IT関連の時価総額は世界全体の4分の1に迫っています。新型コロナ禍によるデジタルシフトが背景にありますが、過熱感を指摘する声も専門家の間では多数上がっています。そしてその一方で、かつては株式市場の中核だった金融銘柄の占める割合は過去最低に落ち込んでいます。

IT化の波は全ての人、企業を襲っている

結局のところ、日本の各省庁、政府を見ても明確なように、IT化が進んでいなかったことにより、IT化が進む世界各国との対応遅れが、今回の新型コロナ禍でははっきりと現れたわけで、上場企業の中でも、否が応でもIT化はさらに進みますし、そこに対応できない企業は株価も低迷しますし、業績低迷が続けば、市場からの退出も続くことになります。

マザーズ市場が継続的に伸びていますが、この後さらにバブル化する可能性は高いです。しかし日本のIT企業のほとんどは、日本語という成長の壁がありますし、適性を超えた株高は完全なバブル状態であり、新規に人気株を買うにはリスクも高いです。

これから新規でIT銘柄を購入するのであれば、やはり巨大な米中のITプラットフォーマーが相対的に安心感があると考えられます。

たった7社で世界の9%占めている

米アップルやマイクロソフトなど米大手IT企業の頭文字を取ったGAFAMに、中国のアリババ、テンセントを加えた7社の時価総額合計は世界全体の株式市場の9%を占めています。集計対象となった世界の上場企業数約2万700社のうち、この7社だけで1割を占める計算です。

米国ではエヌビディアやセールスフォースなどが時価総額で世界の50位以内に入り、中国でも電子商取引大手のJDドットコムが10兆円を超えてきています。GAFAMほどではなくとも、米中を中心として巨大IT関連企業が次々と登場し、全体に占める比率を押し上げています。

その半面で存在感が低下してきたのが金融セクターの銘柄です。時価総額全体に占める比率は昨年末から5ポイント弱低下し、過去20年で最低の17%台になりました。リーマンショック前の2007年には26%でした。

世界的な低金利環境が続き、銀行を中心に貸出業務の利ざやが縮小していることが敬遠される要因のひとつの理由になっています。今年は新型コロナの感染拡大で企業倒産が急増していますし、しばらくは景気悪化に伴う貸倒引当金が膨らむのも避けられない状況にあります。

IT関連への集中は危うさも

代表的な株価指数である予想PER(株価収益率)をみると、アップルやマイクロソフトが30倍超、アマゾンは79倍まで上昇しています。日米の市場平均は20倍程度で、それと比較しても割高感を指摘する声は多いです。足元ではアルファベットが運営するグーグルやフェイスブックなどに対して、企業の分割を含む規制強化の議論も米国で出ています。

規制など企業にとってネガティブな話題が増えれば株価は敏感に反応する可能性もあります。相場のけん引役のIT関連銘柄が崩れれば、世界的な株価調整につながるリスクがあることも想定しておきましょう。

新型コロナの北半球での感染拡大はまだまだこれからですし、トランプリスクもこのあとこそ非常に高くなります。新型コロナ治療の薬剤投与の影響があるのか、ここに来て、以前よりも増して言動に一貫性を欠いていますから。しかし一定以上の下げがあれば、そこで買いをいれるのも、長期的な視点から考えればチャンスだとも言えます。

株式市場の中でも二極化が進んでいく

為替市場の中でも強弱ははっきりとつき、新興国・途上国通貨は継続下落リスクが高い。

暗号通貨市場の中ではさらに淘汰が進み、主要暗号通貨に絞り込まれていく。

金融資本主義による資本の二極化が進み、世界での貧富の差はますます拡大する中、
金融市場の中に投資家として参加し、そこで生き残っていくためには、さらに継続的な己の切磋琢磨が必要であることを改めて理解し、邁進していきましょう。