経済ビジネス

過剰流動性がもたらすインフレ圧力

日本で初めて過剰流動性を言われたのは?

過剰流動性という言葉が日本で初めて取り沙汰されたのは、1971~1973年である。大規模な金融緩和に加えて、日本列島改造を掲げた田中角栄内閣は大規模な予算拡張を行った。

これらの政策は第1次石油ショックも重なり、狂乱物価を助長した。狂乱物価とは急騰した物価の状態を指す。第1次石油危機を契機として,それまで落ち着いていた物価は,1973年以降2年ないし3年にわたって2ケタの上昇率を示すに至った。

これをもたらした国内要因としては、第1に国際収支の黒字を背景に通貨供給量が増大し過剰流動性となったこと。第2に国際収支の黒字縮小を図るため、積極的な財政政策が展開されたことに加え、日本列島改造に端を発した株価、地価、卸売物価が上昇したこと。第3に需給ギャップの縮小から一部の商品に不足現象が見られ、買い占め・売り惜しみなどの投機的行動を誘発したこと。

さらに第4次中東戦争勃発による原油価格の高騰などがあり、これらが複雑に絡み合った結果といえる。

過剰流動性の拡大で企業リスクも

新型コロナ対策で膨大な支援策が継続されるが、それにより過剰流動性が増加しすぎると、インフレ圧力を適度に抑えてマイルドな物価上昇に導けなくなる恐れがある。

コロナショックを乗り越えて企業活動が存続できても、その後に予期せぬ形の物価上昇に直面すれば、企業の存続を危うくしかねない。

そして予期せぬ物価上昇は、短期金利の予期せぬ急騰につながる。資金調達を短期の資金に依存している企業は、売り上げの回復よりも金利負担の増加が早ければ、その影響は経営を直撃することになり、破綻リスクにつながる。

無利子融資が過剰流動性を加速化

企業は、新型コロナショック前にも日常の経営に必要な資金を調達していたが、現在はそれに加えて窮地をしのぐために資金供給を受けようとしている。

政府の資金繰り支援は、コロナショックを乗り越えるために目先必要なものであることは間違いない。

ほぼ無利子で供給され、感染収束がいつになるか見通せないことから、融資期間も長めに設定されているため、多くの企業、自営業者はより多くの資金を確保しようとする。

感染拡大防止のために経済活動を止めている間は売り上げが立たず、その資金は、従業員の給与支払いやオフィスの賃料など企業の存続に必要な固定的な支出などに充てられる。その結果、企業の資金繰り支援の名目で供給された資金が世に出回り、感染拡大防止によって経済活動の実態がなくなっている中で、通貨量は増えることになる。

通貨流通量が大幅に増加する

経済活動が止まっていれば、出回った通貨も滞留しがちである。しかし感染が収束すれば経済活動はショック前に近い水準に早晩回復するだろう。雇用や取引関係を維持できれば、その分だけスムーズに復旧することになる。ただ1点コロナ前と異なるのは、世に出回る通貨量が圧倒的に増えることにある。

政府は全国民に対し、1人当たり10万円の特別定額給付金を一律給付している。金融機関も資金繰り支援のために、追加的に融資を増やしている。そうした状態から経済活動が再開するとなれば何が起きるのか?インフレ圧力が存在することだけは確かであり、既に株式市場ではアフターコロナバブル、過剰流動性相場が世界中で発生している。

過剰流動性資産により、どれだけ物価上昇につながるかは、感染収束のタイミング次第ではある。緩やかなデフレが20年余も断続的に続いていて想像しにくいが、コロナショックを口実に財政も金融も未曽有の規模に拡大しており、インフレ圧力にならないはずはない。目下そう見えないのは、経済活動を人為的に止めているからだ。

日本の財政は大丈夫か?

政府の財政も、金利上昇によって利払い費が兆円単位で増大し、税収の回復による収入増よりも利払い費の増加が上回りかねない。政府には政策的経費の削減という手段があるが、年々支出、予算は増加している中で、削減は容易ではないだろう。

政府は国債を大量に増発して国民に還元して支援し、企業の資金繰り支援をして、国民や企業は当座助かることになる。ただ、過剰流動性を温存したまま感染収束を迎えると、政府は生き延びられても、企業や個人が窮地に追い込まれかねない。

労働者も、一時的であれ予期せぬ物価上昇によって賃金の上昇が遅れると、生計を圧迫する。少なくとも、資産インフレは既に起こっており、富の二極化は加速することは間違いない。

際限のない支援は将来の禍根に

量的に際限を設けず、目先の支援に集中すべきという発想は、感染収束後に禍根を残す可能性が高い。日銀は既に未曽有の規模にまでマネタリーベースを拡大してきたにも関わらず、インフレ目標の達成はおぼつかない。

デフレ脱却を実現するため、もっと拡大せよという話も専門家の中には多くあるが、過剰流動性があると物価上昇を適度にコントロールしにくくなる。感染拡大期には国債増発は不可避だが、感染収束後の経済を順調に回復させるように、財政支出は適度な規模にする必要がある。デフレ脱却を目指しつつ、節度ある財政金融政策が求められている。

過剰流動性のリスク理解と適切な対応を

過剰流動性のリスクをおさらいでまとめてみると

インフレコントロールが難しくなる
金利上昇による財政不安、国債下落
金利上昇による借入負担の増加
過去に例のない資産インフレが起こる可能性が高い
株式市場は予想を超える大幅な上昇と急落リスクにさらされる
紙幣の価値は継続的に下落する

この点をしっかり理解した上で、戦略的な分散投資を行う事が重要となるだろう。バークシャー・ハサウェイ銘柄、FAANGを始めとするプラットフォーマー各社の株式。そして金とビットコインへの分散が効果的だとAI TRUST編集部として考えている。

 

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チャーリーTAKA
チャーリーTAKA
日本を代表する投資家兼実業家でもあり、グローバル・チーフ・ストラテジストとして活躍中。
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