ドル円がターゲットに届かなかった
ドル円は、104円台から下がなかなか固く下には行きませんでした。しかし、ドル安予想が多い中で、104円を割れ、103円、年始には、102円台に突入。こうなると、少なくとも100円はタッチしに行くだろうという予想が多く出ました。さらには90円までいってもおかしくないという内容も。
僕自身も、テクニカル的に長く続いた動きのない状況から一気に円高に触れると考えていましたが、2月10日時点ではそうはなっていません。今回は、ドルや円、その他の通貨の今後について現状から解説します。
ドル円が買われた理由
100円に行くことなく、ドル円は反発し、年始の102円台後半から1ヶ月で105円後半と3円幅の上昇となりました。ただ、ドル円が反転したのかはまだ少し見極めが必要でしょうが、押し目は買われる展開となりそうです。ドルの金利が上昇しており、日本円は低金利が続いています。この辺りから見ると「ドルが買われたのではなく、円が売られた」と考えられます。
対ドルで最弱通貨「円」
1ヶ月のドルにたいして全てが買われているのか?というとそうではありません。
年初からのドルの騰落率(%)は以下の通り
・ノルウェークローネ:0.59
・ポンド:0.48
・NZドル0.19
・オーストラリアドル:-0.21
・カナダドル:-0.24
・デンマーククローネ:-1.32
・ユーロ:-1.39
・スイスフラン:-1.54
・スウェーデンクローナ:-1.72.
・日本円:-2.03
上記をご覧いただくと、上から3つはドルよりも強くなっており、一概にドルが買われているとは言い切れません。ただ日本円で見るとドルは買われており、どちらかというとドル全面高というわけではなく、円安となっていることが見られます。
ドル円反発の3つの理由
なぜドル円が買われる展開になったのか?というと3つのポイントがあげられます。
・菅首相100円防衛
11月上旬、米大統領選でバイデン氏の勝利確実と報じられた頃、菅首相が財務省幹部に「100円を割らないようにしてくれ」と伝えており、菅政権は100円が防衛ラインということが、マーケットに強く意識されました。
・3者会合の開催
2020年7月以来、年始7日に財務省、金融庁、日銀は、国際金融資本市場に関する情報交換会合を開いています。この時ドル円は、103.2円でここから上昇しています。
・米10年債利回り
米FRBの緩和マネーにより、インフレがくるといわれていますが、1%を超えなかった10年債の利回りが1.16%と上昇しています。10年債の金利が上昇するとドル円が上昇しやすくなっています。
日本人の投資への意識の変化
日本人の投資家は、為替でいえばドル円しかやらなかったり、株でいえば日本国内のみしか買わないといった傾向がありました。これは、比較的身近なものの方が、わかりやすいという心理が働いているとも考えられますが、近年は情報の普及によってそうではなくなりました。初心者の方でも米国株に投資するなどの傾向が見られる中で、円に固執する流れが薄まっています。
日本円が買われない最大の理由
日本円が買われない理由としては、金利があります。米国の金利が上昇すれば、ドルが買われます。金利を引き締めると売られます。これでいえば日本は金利がゼロに近い状態で、買われる理由がありません。
リスク回避通貨としての円も少し揺らいでいるように見られ、世界から見た日本の位置づけが年々弱体化しているように感じます。そうなると、円を買う魅力がなくなります。アベノミクスの金融政策と経済政策。財政出動を渋る緊縮財政をとっている時点で、愚策となってしまいました。
金融政策だけでは、経済は立て直されません。財政出動する必要があります。一方米国は、財政出動で、コロナ経済を一気に立て直そうとする中で、悪い円安が起こる可能性も懸念しています。
ドルよりも買われているオージー
ドル以上に買われているのが、オーストラリアドルことオージーです。オーストラリアの10年債利回りは、1.19%とドルの1.16%よりも上昇しています。さらには新型コロナウイルスを抑え込めているオーストラリアは、ネガティブな材料はあまりありません。
イーロンマスクがCEOを務めるテスラがビットコイン買いを行いましたが、同時にゴールドやゴールドETF買いも発表しており、そうなるとゴールドが買われる可能性があり、ゴールドと相関性の高いオーストラリアドルも同様に買い目線で考えておくといいと考えられます。
世界の通貨の強弱に注視
通貨の強弱は日々変化しますが、どの通貨が強く、どの通貨が弱いのかこの辺りを意識しておくと外国為替投資、トレードをする上で役立ちます。
現在でいえば、強いオージーやドル、そして弱いのが円。ユーロも円同様に低金利が続いていますので、売られやすい通貨と考えています。ポンドは今のところ中立に考えています。オージー円を買ったり、ユーロオージーを売ったりという組み合わせも面白いかも知れません。
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