2020年から金(ゴールド)が急騰劇を見せており、コロナショックがあった3月には全ての金融商品が下落し、金も同様に下落しましたが、金の価格はそこから上昇が始まります。
7月27日には、2011年9月につけた高値1923ドルを超え、8月7日には史上最高値、2030ドルを記録しました。
専門家の中には、2500ドル〜3000ドルの予想も出ています。そして20年前から約7倍となっており、さすがに過熱感も出てきています。この盛り上がりにはあらゆる要因がありますが、米国大統領選と過去の金価格の関係も意識しておきたいところ。今回は金価格の今後、直近の秋相場について解説したいと思います。
年初から金の価格は上昇率は30%超え
金の価格は高騰しており、各資産クラスを見渡しても、値動きはビットコインに続きトップクラスに入っています。新型コロナの感染拡大が世界経済に悪影響を及ぼす中で、他の資産よりも堅調を維持するのが金だとみられたため、買いを集めた格好です。
世界の主要中央銀行の金融緩和で米国債の実質利回りが過去最低を更新し、利回りゼロの金が相対的に魅力が増しています。また最近のドルの急落を受け、外国人にとってドル建ての金が割安化した面もあり、買いが加速して増えています。
株式、債券といった金融資産は、発行体が上場廃止となったり、倒産したりすれば価値がなくなります。まさに紙くずになります。現金も国勢が悪化すればその価値は下落し、トルコリラなど、今の新興国通貨の継続的な下落を見れば明確です。金融資産は、実態の裏付けがない分だけ、土地、不動産、貴金属などの実物資産と比べてリスクが高いと見られています。
金は人類の歴史上最も安全な資産
人類の歴史的に見て、実物資産の中で最もその価値が安定していて安全だとされるのは、金であることは間違いないでしょう。文明の連続性が遮断されるなど、人類の価値観が大きく変わるようなことが起こらない限り、その価値は今後も普遍的に続くと考えられます。
米のロビンフッター(手数料無料証券取引アプリのRobinhood(ロビンフッド)を使用し相場を牽引する米個人投資家)の市場参入もあり、足元までの値上がりペースが非常に急速だったため、目先は荒い価格変動も起こると考えておくべきでしょう。
下値が安定してくれば、行き場のない過剰流動性資金、ドルからのリスク回避により、価格上昇はさらに加速することも充分にありえます。
米国大統領選と金価格の関係
米国大統領選は、今年2020年11月に行われます。トランプ大統領が再選か?それともバイデン候補が新しく大統領に就任するのか? この話題で持ちきりですが、これは世界の金融マーケット、今後の世界情勢にも大きな影響を与える大事な大統領選挙であることは間違いありません。
そんな注目の米国大統領選ですが、過去のアノマリーで見ると、金価格が下落しやすい傾向がある時期が迫ってきていると考えられます。アノマリーとは簡単に説明すれば「そうなりやすい傾向にある」状態です。例えば、8月は円高アノマリーというのがありまして、これは8月のマーケットは円高になる傾向が強いということです。
今回でいえば ” 米国大統領選の年は、秋口から金価格が下落しやすい ” というのが、米大統領選と金価格の関係です。当然、絶対など存在しません。ただ、頭に入れておくと戦略は柔軟に練ることが出来ます。過去の米国大統領選と金価格を少し振り返ってみましょう。
2004年〜2020年までの米大統領選と金価格(チャート)
今回も入れた5回の米大統領選時の秋口の金価格の傾向についてチャートと共に見ていきましょう。余談ですが、11月は一般の有権者が投票し、事実上大統領が決まる月です。
ただ実際はここからまだあります。実際は有権者の声を代弁する「選挙人」という人たちがいて、その人たちが一般投票の結果を受けて後日改めて投票する仕組みです。なんだか複雑というか、あまりピンと来ない仕組みですね。とはいえ、11月に向けての金相場との関係は興味深いものとなっています。
2004年:11月2日:共和党、ジョージ・W・ブッシュ氏再選
この年は、年始からたいした動きはなく、最終的に秋口にかけて「上昇」そして、大統領選後も上昇をしています。
2008年:11月4日:民主党、バラク・オバマ大統領誕生
春先に向けて上昇、その後下落し、夏場も上昇するも春のような勢いはなく夏から秋に向けて「下落」していっています。
*リーマンショックの年
2012年:11月6日:民主党、バラク・オバマ氏再選
2004年の動きと似ており、上下を繰り返します。ただ、10月から「下落」を始め、11月大統領選後に暴落を見せています。
*アベノミクスが始まる年
2016年:11月6日:共和党、ドナルド・トランプ大統領誕生
4年前は、今年の動きに似ているように見えます。年始から上昇を開始し、7月まで上昇、その後ジリジリと値を下げて9月半ばに「下落」をしています。
*英国EU離脱の年
2020年:11月3日:共和党、トランプ氏か?、民主党、バイデン氏か?
現在執筆時点が9月1日です。この段階では、年始から上昇を見せています。そして史上最高値を更新して以降の8月、夏場は少し息切れが見られます。秋口はここからですので、高値を超えるかを見たいところですが、もう一つ気になるサインが出ています。
*コロナショックの年
金の価格は世界情勢の変化に影響を受けやすい側面を持つ
金価格は世界情勢の変化に影響を受けやすい側面を持ちます。
新型コロナ蔓延による新興国・途上国でのデモ・テロの増加、経済の継続悪化による金融危機への恐怖、刷られすぎる紙幣への信頼下落。
様々な点で金が上昇する要素が詰まっています。
2022年、金の価格はどうなる?
金の価格は2022年にどうなるのか?
ここが一番のポイントになりそうですが、金利が上昇すると、インフレになりやすく、そのヘッジとして最近金が注目されています。
まだまだ今のバブルは弾けそうにありませんが、早ければ3月には利上げとなるので、そこに備えてのヘッジとしての金はありかとは思います。
資産の一部を金で持つことにより、自分の資産のヘッジが出来るようになりますので。