3月6日米議会上院にて追加経済対策法案が可決しました。金額として1兆9千億ドル、日本円にして約200兆円と巨額財政出動です。米国議会は、まず下院で可決されその後上院で議論となります。下院では、2月27日に可決、その後上院で3月6日に可決されスムーズな動きとなっています。ここで期待されるのが、マーケットへの追い風です。今回は、米国の巨額財政出動での今後の株、為替、仮想通貨市場について解説します。
バイデン大統領の署名で巨額財政出動が決定
上院での可決は、ほぼ下院と内容に変わりはありませんでしたが、一部修正が入っています。それが個人に給付される現金給付についてです。まず、個人に1400ドル(約15万円)支払われるのは、変更がありませんが、支給される所得制限を厳格化しようという修正が上院で出ており、再度この部分を下院で可決させる必要があります。そして、最後にバイデン大統領の署名です。この流れが成立するのが、3月中旬と考えられます。
米長期金利上昇で下落していた株価
長期金利が上昇すると株価は下落します。2月は、米国だけでなくドイツ、英国なども長期金利が上昇しました。来年までにかけて米10年債利回りは2.00%を超えてくるのではないかと考えていますが、株価でいえば調整を繰り返し上昇するイメージです。最大の理由は、米国巨額財政出動にあります。インフレ懸念もありますが、巨額財政出動は、米国の経済を取り戻そうという動きへの強い意志の現れと考えられます。3月5日に発表された2月の雇用統計は、37万9000人増と、市場予想の18万2000人増を上回る伸びとな予想以上にいい数字となっています。さらにワクチンの導入や新型コロナウイルス感染の鈍化も見られ期待が膨らみます。
強いドル円相場が帰ってきた
為替では、ドル円の強さが際立ちます。僕自身昨年末までの展望は、104円を割れたら、下に走り100円を目指すと考えていました。これは多くの人が描いていた内容ですが、しかしそれに待ったをかけたのが菅政権です。
・最も重視する経済指標「為替について注視している」
・103.20円レベルでの3者会合(財務省と金融庁、日銀)報道
年始のこの動きでドル円のトレンドが変わっています。ドル円もですが、ドル高主導で為替の方は見ていきたいところです。ドルとの組み合わせとしては、共通して中銀がマイナス金利を導入している国の通貨の相性がドル高でより値幅が大きく利益を得やすくなっています。先週でいうと、CHF(-2.45%)、JPY(-1.73%)、EUR(-1.33%)の順です。昨年末の下降トレンドが一転しましたので、当面、この流れ(ドル円買い)は変わらないのではないかと考えています。
英国、オーストラリアが強い
強い通貨といえば、比較的感染が抑え込めているオセアニア通貨です。オーストラリアは、新型コロナウイルスよりも2019年の森林火災の被害がひどかっただけにそこから立ち直り感が出ています。さらに英国では、新型コロナウイルスワクチン接種が先進国の中で1番進んでおり、この辺りも買い材料に繋がります。
ビットコイン上昇期待
株価もですが、米国の経済対策で期待されるのが、1400ドルの個人給付です。米国では3回目の給付となります。1200ドル、600ドルそして今回1400ドルです。日本では貯金に回りやすい個人給付ですが、米国は金融教育の違いもあり、資金が投資に流れやすくなっています。過去2回(1200ドル、600ドル)給付された際に起こったことは、例えば仮想通貨取引所に給付額そのままの1200ドルが入金されている状況が多く出たといわれています。そして年末に支給された600ドルの際は、ビットコインは大きく上昇を見せており、この辺りから今回の1400ドルの個人給付は非常に期待したいところです。
懸念材料は?
最後に懸念材料ですが、これはいつ起こるか分からない災害や戦争です。世界情勢を見ていても非常に不安定な状況があちこちで見え隠れしています。ニュージーランドでは、マグニチュード8の巨大地震が発生しており、これは東日本大震災が思い出されます。東日本大震災が起こった2011年3月11日の少し前、2月22日にはカンタベリー地震が起こっています。東日本大震災からあと数日で10年といわれる中ですが、新たな地震には意識的に注意したいところです。
そして、これは織り込み済みかもしれませんが、日本にとって経済的打撃となるのが、東京五輪です。3月6日には、JOC前で五輪中止求めるデモが起こっており、警察官50人出動しています。あまりポジティブな情報も出ていないのが現状です。追加経済対策は、マーケットで織り込まれている可能性もありますが、この辺りの動きは注視したいところです。
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