菅政権の目玉政策
菅政権発足以降、このような言葉を耳にすることが多くなっています。「携帯料金の値下げ」全国のスマホ保有率は、契約者数÷人口で計算すると日本はG7対象国でトップの139.2%です。100%を超える数字となるほど日本全体に普及している現状、消費者にとって値下げは、非常にありがたいことです。
そんな動きの中で、大手キャリアのドコモが大きな動きを見せています。これは、au、ソフトバンクにとってはもちろん、他の格安スマホ企業にとっても動かざるを得ない状況となってくると考えられます。今回は、そんな菅政権が掲げる政策の1つである「携帯料金の値下げ」とその未来について考えてみたいと思います。
日本の通信の流れ
もはや小さな子供もマイ・スマホを持つ時代になっていますが、これは一昔前でいえばあり得ない状況です。僕が過ごした少年時代、昭和後半は、黒電話が主流でした。
大学生になってポケットベルが流行り、お互いが短文ですが、離れていても連絡を取ることが可能となりました。当時は非常に便利なもので、重宝しましたが、今のLINEなどと比較すれば、月とスッポンです。
そこから携帯電話が出てきますが、しばらくは通話限定で、サラリーマンが会社から持たされる程度でした。さらにはPHSの登場、そしてメール機能が使えるようになり、2000年代に入り、ガラケー、さらに爆発的に普及した最大の要因は、スティーブ・ジョブズ氏が2007年1月に持ち込んだ「iPhone」です。iPhoneは、近年の通信手段の大革命といっても過言ではなく、手紙や電話のみならず、あらゆる機能を盛り込み人々にとって欠かせない物となりました。
携帯料金は高すぎるのか
一家に一台の固定電話から一人一台のスマートフォンの流れになった昨今、日本の携帯電話料金はどれくらいのものか?といいますと、結論からいえば、「品質によって料金は違う」です。データ容量などによって大きく変わってきますが、一般的に大手キャリアを利用していると、7,000円前後といったところではないでしょうか。
みなさんも、あらゆるプランに頭を悩まされたことはありませんか?「○○割」などあらゆるオプションによって、価格がボヤかされているように感じる人も少なくなく、結局のところ良く分からない状況ともいえます。しかし、すでに人々はスマホなどは「なくては不便な存在」になっているのは、事実です。仮に1日スマホを触らない生活をしてくださいといわれたらストレスになる人も多いのではないでしょうか。
もちろん、依存しすぎることは危険ですが、すでに僕たちの生活の一部として欠かせない存在となっています。そこに支払う料金は、いつの間にか「納得させられていた」というのが、大手キャリア3社が行ったいわゆる「囲い込み」とも考えられます。
賢い人は、格安スマホに逃げる流れ
そんな中、格安スマホが登場しました。大手携帯電話会社ドコモ、au、ソフトバンクとは全く違う格安スマホ会社です。
格安スマホ会社のサービスは、大手携帯電話会社とほぼ変わりません。あえていえば、家族間の通話が大手携帯電話会社は無料なのに対し格安スマホは有料なことですが、今はLINEやSkypeなど無料通話ツールを使えるため、その必要性はあまりありません。それに早く気づいた人はすぐに乗り換えています。
しかし、なかなか乗り換えられない人もいます。この差は、大手携帯電話会社の醸し出す安心感、心理的なものではないでしょうか。例えば、格安スマホ会社は安い、安い=サービスが悪い、電波が悪いなどといった妄想です。
ただ、格安スマホ会社がなぜ安いのか?理由さえ分かれば、納得できます。それは、スマホ(携帯電話)サービスを提供するには、アンテナを持った「基地局」や「交換器」などを大手携帯電話会社から借りることにより、大幅にコストを下げることが可能となっているためです。もちろん大手携帯電話会社の基地局を借りていますので、通信も同様となっています。
さらに乗り換えをためらう人は、前述したよく分からない、めんどくさいなどの手続き面という理由も考えられます。ただ、価格は約3分の2程度の月額料金で抑えることが可能となり、乗り換える人はすでに格安スマホへの乗り換えが始まっていました。
菅政権発足と携帯料金の値下げ
菅政権が、目玉政策として「携帯料金の値下げ」を行うのには、分かりやすさで支持を得ようと考えたのではないか?と推測されます。よく分からない価格の仕組みであっても、月額料金が半分になると聞けば、だれでも嬉しくなりますよね。まずはこの分かりやすさにメスを入れて国民の支持を得るのが狙いでは?と菅政権がこの内容を発表した時に感じていました。
そして、ドコモが一気に動き出しました。ただここに政治的な意図が隠されているのではないかとも考えられることが起こっています。9月29日に、NTTがNTTドコモの完全子会社化を発表しました。NTTグループが、元々は日本電信電話公社(電電公社)という国営企業だった背景があります。ここで価格破壊。一連の流れ、今後に注目したいところです。
ahamo(アハモ)とは、注意点
NTTドコモは、12月3日新料金プラン「ahamo」を2021年3月に提供開始すると発表しました。月額2,980円で、4Gだけでなく5Gの20GBの高速データ通信ができると発表された後から、注目を集めています。
ただ、一言言わせていただくとしたら、国策になった瞬間値下げが可能であれば、始めからやってくれと思うところですね。もちろんこのahamo(アハモ)が、どう転ぶかは正直出てみないと分からない部分がありますが、格安スマホ会社にとっては打撃であることには違いありません。理由は、価格が安いことが売りだったからです。
ahamo(アハモ)の注意点としては、契約から機種変更などあらゆる手続きを、専用のWebサイトやアプリからする必要がありますので、対面でのサポートが必要な方には不向きとなります。どちらかといえば、若年層に人気が出そうな感じですね。全てをオンラインで済ませることで価格が安くなるというのは、納得できるところです。
格安競争激化で雇用はどうなる
10年すれば時代は変わっています。今から10年前、これほどスマホが普及していたでしょうか。このようなことでいえば、ahamo(アハモ)の全てをオンラインで完結ではありませんが、このような流れで安くなることはいい面と見られる反面、そこで生まれていたサービスや雇用は失われていく可能性が高いです。
近い未来、あらゆる仕事はAIに奪われるともいわれていますが、オンライン契約を見るとそのような流れは今後当たり前になっていく可能性があり、店舗、それを維持する人、そこで働く従業員などなどが必要ない状況が訪れます。安くなるということは、そういうことなのか・・ と少し考えさせられます。
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