エヌビディアが注目されるAI企業への投資を着実に進めています。
AIを稼働させるためには必ず必要で入手困難な高性能半導体である自社のH100供給を武器に出資交渉ができるためです。
エヌビディアが生成系AI関連を支配する構図
Adept
CoreWeave
Cohere
Synthesia
Inflection
Runway
Aleph Alfa
OmniML
これによりエヌビディアの業績がさらに大きく伸びる可能性は高くなります。
Adept
アデプトは、創業から1年しか経っておらず、従業員数もわずか25名です。同社は3月14日に発表したシリーズBでベンチャーキャピタルから3億5000万ドルを調達しました。
アデプトは、インターネットの閲覧から複雑なエンタープライズソフトウェアの操作まで、人間がどのようにコンピュータを操作しているかを徹底的に研究し、テキストコマンドをアクションに変換するAIモデルを構築しています。
CoreWeave
CoreWeaveは、大規模なGPUアクセラレーテッドワークロード向けに構築された専門クラウドプロバイダーです。
同社は、20億ドルの評価額で2億2100万ドルを調達してからわずか1カ月後に、2億ドルの追加資金調達を行いました。
Nvidia が出資する同社は、Nvidia からの優遇を受けていると The Information は伝えています。 Nvidiaは、CoreWeaveやLambdaのような小規模なクラウドプロバイダーに対して、最新のA100およびH100チップを早期提供しています。
これは、マイクロソフト、Amazon、Googleのように、競合チップを独自に開発していないことが理由であると考えられています。
クラウドプロバイダー各社は、需要が供給を上回っていることもあり、A100およびH100いずれのGPUへのアクセスも制限せざるを得なくなっています。
生成AI アプリケーションの爆発的な普及により、OpenAI や Stability AI のような企業は、基礎モデルを長期間にわたってトレーニングするために数万単位の GPU を必要としています。
Cohere
カナダのトロントを拠点とする4年目のスタートアップ企業のコーヒアは2022年8月、オラクル、エヌビディア(NVIDIA)、セールスフォース・ベンチャーズ(Salesforce Ventures)、センチネルワン(SentinelOne)など多くのベンチャーキャピタルや大手テック企業から評価額20億ドル(約2800億円)で計2億7000万ドル(約375億円)を調達しました。
Synthesia
ジェネレーティブ(生成)AI開発を手がけるシンセシア(Synthesia)が9000万ドルの資金調達に成功。評価額は10億ドルに達し、AI分野におけるユニコーン誕生の事例となりました。
2017年創業、英ロンドンに本拠を置くシンセシアは、テキストもしくは録音された音声データをもとに、本物の人間とほぼ区別不可能なアバターによる発音動画を短時間で生成する技術の開発を進めています。
画像処理半導体大手エヌビディア(Nvidia)のベンチャーキャピタル部門、エヌベンチャーズ(NVentures)も投資参画しています。
Inflection
パーソナルAI”を手掛ける米新興企業Inflection AIは6月29日、第2ラウンドの資金調達で13億ドルを調達したと発表しました。
主導するのは第1ラウンドでも出資した米Microsoft、リード・ホフマン氏、ビル・ゲイツ氏、エリック・シュミット氏と、新規に米NVIDIAが加わりました。2022年初頭の第1ラウンドでは2億2500万ドルを調達しています。
Inflection AIは、2022年創業のパロアルトに拠点を置く新興企業です。米Googleが買収した英DeepMindの共同創業者、ムスタファ・スレイマン氏とDeepMindの研究者だったカレン・シモニャン氏、ホフマン氏が共同創業し、スレイマン氏がCEOを務めます。従業員数は30人強です。
NVIDIAとCoreWeaveの支援の下、NVIDIAのGPU「H100」2万2000個で構成するAIクラスタを構築し、5月に“最もシンプルで自然な方法で対話できるAI”の「Pi」を発表しています。
Runway
数文字入力するだけで短い動画を作成できる人工知能ソフトウエアを手掛けるRunwayAIは、AlphabetのGoogle、NVIDIA、Salesforceなどから1億4,100万ドルの資金を調達しました。
Runwayの最新製品は「Gen-2」であり、書かれたテキストに反応して短い無言のビデオを吐き出すことができるAIシステムで、現在オンライン、iOSアプリ、Discordチャンネルで利用できます。
このツールはGen-1に続くもので、ユーザーが入力ソースとして動画をアップロードする必要があり、(テキストプロンプトや静止画などのユーザーガイダンスとともに)新しい無音の短い動画を生成するために使用されます。
同社はまた、映画制作者向けのウェブベースの編集ツールも製造しており、テキストから画像へのAIモデル「Stable Diffusion」のオリジナル・バージョンの開発にも貢献しています。
NVIDIAのCEOであるジェンセン・フアンは声明の中で、Runwayのテクノロジーはアーティストの仕事の仕方やストーリーの語り方を変える可能性があると述べています。
「生成AIはコンテンツ制作業界を変革している」とフアンCEOは述べ、「想像もできなかったストーリーやアイデアに新たな命を吹き込む」と語りました。
OmniML
GPU大手のNvidiaは2月、人工知能スタートアップのOmniMLを買収しました。
OmniMLは、大規模な言語モデルを含む機械学習アプリケーションを小型化し、Edgeデバイスで実行できるようにすることに注力しています。
エヌビディアのH-100がAIには必須
H-100はトレーニングや推論など、基本的な生成AIの飛躍的な進歩を可能にさせ、このチップのおかげでChatGPTは2022年11月に大々的にデビューをはたすことができました。
エヌビディアはAI分野のユニコーン各社が必要なものをワンストップで提供できる企業です。
アップルがiPhoneとiOSシステムで行っているのと同じように、ハードウェアとソフトウェアの両面でAIエコシステム全体をコントロールしています。
競合他社の何年も先を走っており、ライバル企業がここに追いつくことは実質的に不可能ではないかと個人的には考えています。
出資資金の多くは自社の売り上げにつながる仕組み
エヌビディアは多額の出資を行ったとしても、出資先企業はエヌビディアのH-100を購入するため、結果的には自社の売り上げ増加につながっているわけです。
しかも粗利率は非常に高いわけですから、出資を行えば行うほどエヌビディアの成長、利益拡大につながっていきます。
AI分野の成長が続く限り、エヌビディアは成長し続ける可能性が高く、5年、10年での長期的な成長が見込めると考えられます。
押し目は積極的に買いを入れるべき銘柄だと考えられます。