過剰流動性バブル崩壊リスクの要因はこの4つ
2022年の何処かのタイミングで過剰流動性バブルは崩壊する可能性が高いと考えるべきでしょう。例え崩壊しなくても、急落する局面は何度も訪れることになるでしょう。
今回はまずは2022年の金融市場急落リスクについて4点まとめてみました。
①新型コロナ
②中国
③インフレ
④強行的な脱炭素社会への移行
では、それぞれ説明していきます。
①新型コロナ
2022年の金融市場全般に対して最も高いリスク要因の一つはやはり引き続き新型コロナです。先日はオミクロン株の南アでの感染拡大ニュースが流れると、詳細状況がまだわからないにもかかわらず市場は大きく下落しました。そして、その後も調整局面が続きました。
過剰流動性バブルがかなり膨れ上がっている中でリスクマネーは相当に敏感になっています。いつでも逃げ出す準備をし、マイナス要因には過剰に反応します。そしてヘッジファンドは売り浴びせのタイミングを狙っています。
過去2年間は新型コロナの感染状況が相場を動かす主な要因でした。そして、今もなお、オミクロン株への不安が世界の株式市場に影響を与えています。来年は米ファイザーや米メルクの抗ウイルス薬の登場により新型コロナが市場下落リスクの脇役になると考える専門家も多いです。オミクロン株には既存治療法が効かない恐れもあるという警告があってもこうした楽観論は変わっていません。
株式投資戦略と疫学は別物
今回のパンデミックで得た教訓があるとすれば、株式投資戦略と疫学は別物だということです。
たとえ新型コロナが地域的流行に収まったとしても、感染者を隔離する制限措置が取られることになれば、世界経済の成長へは持続的な足かせになるのです。市場は新型コロナのニュースには非常に敏感ですから、今後現れるであろうさらなる変異種の登場により、たびたび市場を急落させることになるでしょう。
※2021年12月のビットコインチャート
そして12月4日の暗号通貨市場のように、売りが売りを呼び、さらには下げによる強制決済がさらに下げを加速させることもたびたびあると考えておきましょう。
” 上昇する市場を追いかけて利益を最大化させたい!! ”
これは投資家誰もの欲望ではありますが、リスクとリターンのバランスを考えつつ、自らの許容範囲で投資を行うことが2022年は何よりも重要なポイントとなります。
②中国
来年も中国の動向には金融市場は振り回されることになるでしょう。米中関係は北京五輪への政治的ボイコットを行うことで、さらなる悪化が一部では起こることになるでしょう。
米株式市場からの中国IT企業や中華系企業の上場廃止も続きます。これらの企業は香港での再上場を行うにせよ、新興中国企業の資金調達力が衰えることは、その企業の大きな成長を削ぐことにもなりますし、株式市場では中国関連株離れも継続しそうです。
香港市場のオフショア中国株は今年世界的にもパフォーマンスの悪さが目立ちました。
ナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は2月の高値から50%余り下落しました。
MSCI中国指数は世界の株式に対し2006年以来の低水準近くにあります。
中国政府は今年、大手テクノロジー企業や教育関連企業に対する締め付けを強め、不動産セクターへの依存度を下げるべく不動産業界への融資を制限しました。
中国恒大のデフォルトリスクは日々高まるばかりで、既に複数の香港に上場する建築・不動産関連銘柄でデフォルトが起きています。中国の不動産市場の下落は地方政府の財務を圧迫します。不動産価格の下落は中国内での消費を相当に落ち込ませます。
次にどの産業への規制がかかるのか?
それによってそのセクターの関連株は大きく下落しますし、市場全体への影響も大きく出るでしょう。生産者物価の上昇で企業は利益確保が難しくなり、過去数カ月は中国人民銀行による大規模な緩和策の不在が経済成長の妨げとなっており、中国人民銀行の舵取りは相当に難しい局面に立たされています。
国内に問題を多数抱える中国ですが、国民の不満を外に向けようとすると、自ずと日本はそのターゲットになりがちです。このリスクは今後継続的に年を追うごとに高まる。そう考えておくべきでしょう。中国不動産バブル崩壊という状況に陥れば、世界の金融市場全体も大きく下落します。過剰流動性バブル、暗号通貨バブル崩壊もそれを入り口に訪れる可能性は大きいと考えておきましょう。
③インフレ
インフレは当面収まらないと考えるべきでしょう。世界は今年、物価の急上昇を久しぶりに目にしました。日本でも多くの製品が値上げされていますが、日本の場合、企業努力により値上げ幅はそれでも最低限に抑えられています。
※世界的インフレと日本も無縁ではいられない(yahooニュース)
欧米では日本と比較してインフレ率が圧倒的に高くなりました。コスト増加分を消費者に価格転嫁でき、企業利益も急増しました。欧米の所得も上昇しましたが、それ以上にインフレ率が高く、中間層以下の生活は苦しくなっているのが現状です。
日本では企業努力により値上げを最小限に抑えていますが、人件費も上がらない状況が続いており、そこに円安が拍車をかける形で国民の生活を苦しめています。
インフレ率が4%を超えて高止まりすれば注意が必要
このあとも価格上昇圧力が続く場合、あるいはさらに激化する場合は金融市場全体に厄介な状況が訪れる可能性が高いと考えるべきでしょう。株式がインフレ・ヘッジとして有効なのは一定の物価上昇水準までであり、インフレ率が4%を超えて高止まりすれば企業利益が損なわれる可能性が高いです。そして当然これは株価にも打撃となります。
買われ過ぎた株式は企業業績の悪化により急落する恐れが高いです。暗号通貨市場の下落は株式市場の比ではありません。大きな下落・暴落が起こるリスクが高いです。
新型コロナの変異種が新たに世界に蔓延すればその度に世界の物流の流れが大きく狂います。
製品を販売する企業の業績は不確実性の高いものとなります。インフレは金融市場へのリスクというだけでなく、個々人の生活へも最も大きな影響を及ぼすことですので、しっかりと状況・数字を把握し、リスク回避を取れるように心がけていきましょう。
④強行的な脱炭素社会への移行
強行的な脱炭素化が世界の成長を鈍化させる可能性があります。
インフレが構造的に高止まりする可能性がある理由の1つは世界の先進国の脱炭素社会への移行があります。炭素価格の上昇や環境税の負担増が企業の生産コスト増加につながります。
欧州各国では環境規制の緩い国からの輸入品に課税する国境炭素税の導入を発表しています。
温室効果ガス排出量の多い鉄鋼、セメント、肥料アルミニウム、電力の5品目を課税対象としました。域内の輸入業者へ2023年から報告を義務づけ、2026年から徴税も含め全面実施します。同様の課税が世界各国で進む可能性があります。この法律で一番大きなダメージを受けるのは中国になるでしょう。中国国内の経済の冷え込みはこの辺りの点からも注視してみておく必要があります。
脱炭素社会に向け、化石燃料への投資は縮小され続けています。これによりエネルギー価格は急上昇することになりました。日本でも2021年は何度も何度も電気料金が値上がりました。そしてガソリン価格も大きく上昇しました。同様のことは世界中で起こっており、世界の成長の妨げになっています。投資会社にとっては脱炭素社会は投資の大きな好機ですが、高止まりするインフレは企業業績を圧迫し続けます。
” 新興国・途上国・そして資源のない日本”
ここに為替安が加わることで日本株の成長は大きな期待はできないことになりますね。暗号通貨市場については脱炭素社会は電力消費量の多いマイニングは嫌気されることになり、電力の不足する国でのマイナーは停止も余儀なくされるでしょう。
脱炭素社会が金融市場を急落させる要因とは考えにくいですが、じわりじわり企業業績には重しになります。株式市場の中核企業の業績の急激な悪化が発表されれば、それがきっかけとなり金融市場が急落するリスクが点はしっかりと理解し、備えをとっていきましょう。
過剰流動性バブル崩壊はいつ訪れる?
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” 暗号通貨バブル崩壊はいつ訪れるのか? ”
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