人手不足で働く人が足りなくなっている
すでに飲食業や建設業など一部の業界を中心に人手不足が社会問題化しているが、今後はさらに拡大し、2030年には600万人以上の人手不足が発生すると予想されている。人手不足は企業の成長を阻害するだけでなく、日本経済全体の停滞にも直結する。
現在は外国人労働者などによって保たれているが、日本人労働者とは違い、文化や言語の違う外国人労働者の雇用には教育や研修と言った費用がかかるため簡単に取り入れられない企業も多く存在している。また、少子化により働く現役世代が減少すれば人手不足は日本人だけでは解決できない社会問題ともなりかねない。
新型コロナウイルス流行で更に人手が足りない
ここ数年、人手不足という言葉をメディアで目にしない日はないといっても過言ではないほど、人手不足に関するニュースが連日報じられている。
最近では人手不足を背景にコンビニエンスストアやスーパーの24時間営業の是非が問われているが、数年前から既に人手不足による営業時間や出店計画の変更などは相次いで発生し、企業は対策に追われている。2030年には、644万人の人手が不足するというデータもある。
新型コロナウイルスの国内での流行により学校が休校になった影響で、共働きの家庭では急遽仕事を休まざるをえなくなり、何処の職場でも人不足になってしまった。
人手不足、労働力をどのように解決するか?
644万人という大規模な人手不足に対し、対策の方向性として、労働供給を増やすこと、労働需要を減らすことの2つが考えられる。
労働供給に関しては、少子高齢化が急速に進む日本において、しばらくは若い労働力の増加は見込めない。そこで新たな労働力として期待されているのが、働くことを希望しているものの条件等が合わず現在は働いていない女性とシニアである。
働く女性が増えるにはどうすればよいか?
厚生労働省によると、2017年における第1子出生時の母親の平均年齢は30.7歳で、この年齢で出産をした女性にとって30~40代はちょうど育児時期に当たる。
一方、女性の労働力率を年齢別に見ると、30代に特に労働力率が低下する、いわゆる「M字カーブ」を描いている。M字カーブを引き起こす要因には様々な可能性があるが、影響が大きいものの一つとして出産・育児による離職が挙げられるだろう。
国立社会保障・人口問題研究所の「第15回出生動向基本調査」によると、2010~2014年時点における第1子出産前後の就業継続率は53.1%。産休・育休制度利用などが進み、育児をしながら働く女性が増えているといわれる現在においてもなお、働く女性の半数が出産を機に仕事を辞めているのだ。
さらに妊娠前の雇用形態がパートであった女性に限ると、74.8%が出産後に離職している。パートの高い離職率の背景としては、正社員に比べ、産休・育休等の制度が未整備、労働時間が短く保育所利用の選考が不利であることなどが考えられる。こうした離職を防ぐには、育児をしながら働き続けられる制度や環境の整備が必要となる。
シニアが働く環境つくりのためには?
厚生労働省「労働力調査」をもとに就業状況を見てみると、2018年には60代の人口のうち57.9%の男女が働いている。
底を打った2004年以降は年々増加し、特に女性は2004年に比べ約1.5倍まで増えている。シニアの労働参加の増加傾向が今後もさらに続いた場合、2030年時点でどれくらいのシニアが新たに労働市場で活躍する可能性があるのだろうか。
男性は、現在でも9割以上が59歳まで働いており、今後もその労働力率は高いまま推移すると予想されるため、労働力率が急減する65~69歳の労働力率を向上させた場合、男性は22万人、女性は141万人の増加が期待できるという結果となった。
外国人労働者の受け入れ
新たに人手不足、労働力を確保する上で女性、シニアに加え、外国人も社会的に期待値が高い。2018年12月に成立した入管法において、在留資格が新設されたことにより、介護や外食、農業、建設などの14業種で外国人労働者の受け入れが拡大した。
政府方針は、2018年6月の経済財政運営の基本方針で、2025年までに新たな在留資格の創設で50万人超の就業を目指すというものである
ここまでで、2030年に644万人の労働力が不足するという推計結果に対し、女性、シニア、外国人の労働力について増える見込みの人数は、女性102万人+シニア163万人+外国81万人=計346万人となった。
しかし、644万人の不足を解消するには、あと298万人分の労働力を確保しなければならない。
さらなる人手不足解決の為の対策とは?
これには人工知能やロボットの活用による自動化による労働需要そのものを減らすことが最も効果的であろう。日本では7%の人が現在行っている仕事のうち、7割以上が将来自動化によって人が不要となるとされている。
つまり4.9%(7%×70%)の生産性向上が見込まれており、この対策によって人手労働力不足は解決されるのではないか。
人工知能、ロボットのジャンルにおいては劇的な技術向上が今も起こっている。数多くのベンチャー企業も立ち上がり、そこから将来のスター企業も現れるであろう。
そして人工知能、AIの開発者自体が圧倒的に不足している現状を考えれば、AI,ディープ・ラーニングの知識を習得することは、今後必要とされるスキルとして最も重要なもののひとつとなることは間違いないだろう。
AI、ディープ・ラーニングの知識、スキルを習得することにより、自らの生涯賃金を劇的に向上させることも可能となるのである。
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