暗号通貨

Web3.0. NFTの大きな可能性

NFTは暗号通貨ではありません。ましてや証券でもありません。

NFTとは、「Non-Fungible Token(ノン-ファンジャブル トークン)」の頭文字を取ったもので、日本語で「非代替性トークン」という意味です。暗号通貨は代替性トークン( Fungible Token )と呼ばれています。

NFTは暗号通貨ではありませんが、今回はNFTの可能性の大きさについて少しまとめてみたいと思います。

NFTの可能性は無限大

NFTが注目される大きな理由のひとつが、デジタル資産の所有者を明確にできるという点がありますが、今までの活用の方法は、デジタルアートやPlay to Earn などのゲームの個体でした。

しかし、今後は様々なアイデアがNFT化され、マネタイズされていくと考えています。

NFTの市場規模

NFTの市場規模は、2022年からCAGR33.9%で成長し、2030年には2,117億2,000万米ドルに達すると予測されています。

高額販売された作品例

Cryptokitties(ゲーム):取引額:最高額の猫(ゲーム内キャラ)が約1400万円

ジャック・ドーシーの初ツイート取引額:291万5835ドル(約3億1640万円)

CryptoPunks(デジタルアート):取引額:1700万ドル(約18億5000万円)

Beeple「Everydays – The First 5000 Days 」:取引額:約6935万ドル(約75億円)

ジャックドーシーの初ツイートのNFTは市場で転売に出されましたが、数万ドルでも買い手はいないようです。デジタルアートについては極端に言えば無限に作ることができますから、暗号通貨市場の強弱とは全く関係なく、ほとんどのものは無価値化していくと考えています。

著名アーティストの作品、ゲーム、トレーディングカードなど、コレクションアイテムについては一定のファンが付き、価値は継続すると考えられますが、作品数が増えれば増えるだけ、それを保有する意味合い、付加価値をつけなければ大多数のNFTの中では埋もれていくでしょう。

しかしそれでもNFTの可能性が無限大というのは、活用方法次第では眠っている様々な資産をマネタイズできる点にあるのです。アイデア次第で様々なものがNFT化し、お金に変わっていくと考えています。

NFTに関連する暗号通貨は?

NFT市場の大半はイーサリアムのブロックチェーンを使用していますが、市場を独占しているわけではありません。NFTマーケットプレイスにはイーサリアム以外に、Cosmos、Polkado、SOL、Polygon,Binance Smart Chainなどのブロックチェーンが使用されています。

イーサリアムではGAS代が高く製作負担もかかりますが、OpenSeaはポリゴンを使えばNFTアートを無料で出品できます。

日本のNFT関連企業の相関図

現在中心になっているのがNFTマーケットプレイスです。様々な企業がひしめきあっているのがわかります。

※参照元(https://liginc.co.jp/594001)より引用

競争が激化するからこそ、日本国内でのNFTに対する認知度はますます高まっていくことになる訳で、日本のマーケットプレイスでは日本円で購入できるところも多いですから、暗号通貨よりもNFTがより多くの人に日本では浸透する可能性も高いと考えられます。

NFTが今後実用されるであろう領域

今回は9つの事例を出してみましたが、NTFの可能性はアイデア次第で無制限だと感じます。

①身分証明

米国では市民の33%以上が個人情報が盗難されたことがあるというデータもあり、身分証明×NFTの用途は大きく注目されています。身分証明をNFT化することで、電子署名やオンラインサービスのアカウント認証に利用したり、予防接種証明書などの書類に接続するといった利用方法が考えられます。

②知的財産の所有権の保証

Twitter創業者ジャック・ドーシーのツイートが落札されたという話もニュースになりましたが、それがこの例に当てはまります。

③不動産

不動産の所有権をNFT化することで、ネット上での売買が可能になります。さらに、これまでブラックボックスになりがちだった不動産情報の透明化が図られるため、市場の流動性の上昇や、海外の不動産の売買に必要な手続きの簡略化なども期待されます。

④メンバーシップクラブ

最近、国内でも話題になったNFTプロジェクトNeo Tokyo Punksなどは、NFTホルダーによるDiscordコミュニティを形成しています。このように、NFTの所有=コミュニティへの参加券として利用されているケースも存在します。

現在行っているタイムシェアNFTは③と④の組み合わせといって良いのかもしれません。

⑤チケット

イベントチケットの転売はよく問題にされますが、その真正性を証明するためにもNFTが有効です。二次流通の際に、イベント主催者に売上の一部を還元するといった仕組みも実現できます。

⑥音楽

音楽業界は、レーベルや音楽配信プラットフォームなどステークホルダーが多く、アーティスト個人に入る収入は僅かです。ですが、音楽をNFT化して所有権や使用料を直接ユーザーに販売することで、アーティストが健全に経済活動を行える仕組みを実現できます。

⑦ゲーム

従来はゲーム内のアイテムは個々のサービスに依存していたため、他のゲームとの互換性がありませんでした。

しかし、NFTを活用することで、サービスを越えたアイテムの取引・レンタル等を可能にできます。

⑧ドキュメント

法的文書や医療記録、請求書などの改ざん防止のためにも活用できます。

⑨デジタルプロパティ

ドメイン名やユーザー名など、私たちがすでに所有しているデジタル資産を識別・譲渡可能なものにします。

これらはほんの一部の事例にしか過ぎず、アイデア次第で様々な領域で応用、製作できるのがNFTなのです。

ウイスキー樽のNFT化で、蒸留時間に付加価値を/ UniCask

個人的にウイスキーをコレクションしていますし、日々痛飲していますので、この取り組みには興味を持っています。トークンの価値上昇という点よりも、保管の手間が要らないという点に大きなメリットを感じます。

蒸留酒の樽管理サービス「UniCask」。同サービスは、2021年からウイスキー樽をNFT化し、その管理・取引が簡単にできるサービスを業者向けに展開しています。

ウイスキーは醸成に長い時間を要し、時間がたてば経つほど価値が上がるという特性をもちます。しかし、蒸留酒を樽で保存して、年代物として価値を向上させられる状態のまま管理・取引を行うことは一部の人々の間でしか行われず、コレクターや愛飲家の方々に届けられないという課題がありました。

樽自体を小口化してNFTを紐付け

そこで、樽自体を小口化してNFTを紐付けることで、「熟成期間」の価値を認めるだけでなく、個人もその価値を享受できるような仕組みを構築しました。

2021年12月には、小口化したウイスキーを「CASK NFT」として初めて一般販売が行われました。記念すべき最初の樽として発売されたのはシングルモルトスコッチウイスキー「スプリングバンク」1991年の樽で、100口に分割された中身がNFTとして販売されました。

スプリングバンク1991年は既に30年の熟成を経ていますが、さらに20年の熟成の時を経て2041年にボトリング予定とのことで、NFTを購入した方は、CASK NFTを20年後に50年熟成のスプリングバンクと引き換えることができます。

この「CASK NFT」は、1つひとつにトランプの絵柄と数字が付与されており、トランプゲームに参加する際に、持ち札としてデータを利用できたり、勝った場合には景品を獲得できるなど、熟成を待つ間にも楽しめる仕掛けが用意されています。

未利用・未使用をマネタイズすることができるのがNFT

NFTは暗号通貨でもなければ証券でもなく、規制の範囲が非常に緩いからこそチャンスがあるのです。

現在ある有形資産が未利用・未使用であれば、それをNFT化し、そこに価値を見出す人とジョインさせればマネタイズすることが可能だと考えられます。なんでもNFT化できる可能性があるということです。

NFTはWeb3.0の主流の流れにも沿っています。是非みなさんも今から知識を深め、活用のチャンスがないかを探っていきましょう。