国民負担率過去最大
以前の記事でも少し触れましたが、今年度・令和2年度は、所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合を示す「国民負担率」が、過去最大となる見込みとなっています。これは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、国民の所得が減少したことなどが要因とされていますが、負担率を軽減させるには、所得が減少したのであれば税や社会保障を見直す必要性があります。
これは、政治の問題で国民はどうすることも出来ません。しかし、状況を知り声をあげる、違う政策、ズレた内容を訴えている政治家に投票しないなど個人として考えて行動出来ることはあります。
給与所得中央値370万円、賃金の推移
厚生労働省が出している統計の調査の中で、中央値というものがあります。年収は平均値と中央値で表されることがありますが、平均値だと、仮に一人だけ高額所得者がいると一気に年収が跳ね上がります。中央値は少し計算の仕方が違います。
「平均値」は、「データを足し合わせ、データの個数で割った値」のこと。 「中央値」は、「データを小さい(または大きい)順に並べ、真ん中に来る値」のことですが、かんたんにいえば、中央値が年収にリアルな値という認識で問題ありません。
その中央値が370万円です。昔と比べたら、、、わずかに上昇しています。ただ、賃金がわずか上昇しても税負担や社会保障費が上がっていればどうでしょうか。
そんなに負担してるの?
国民負担率の話をする前に、収入と支出を少しイメージしてみてください。例えば手取りで20万円のお給料をもらったとします。それをいかにプラスにして貯金に回すかと、日頃から工夫されている方も多いかと思います。
食費や交際費、水道光熱費、家賃など生活をする中であっという間に支出が増えていきますね。ただそのあなたが働いて得た収入が手元に渡る前にさらに減っている、、それが社会保障費です。
” 国民の所得に占める税金と社会保障費の負担の割合を表す「国民負担率」が、今年度の2020年度は過去最大の見込み “
20年度は46.1%で、1.7ポイント増加する見込みですが、国民の負担とはどのような状況なのか?いまいちピンと来ません。
国民負担率=所得(収入)に対して、徴収される税金と、年金や健康・介護保険といった社会保障費の総計がどれぐらいの割合を占めるか、負担するかということです。
国民負担率算出方法
分母=国民全体の所得
分子=国民全体の税負担と社会保障費の総額
分子である税負担と社会保障費が増えれば増えるほど、負担率は上がります。つまり、あなたが働いても働いても分子である部分が気づかない間に増えているということです。その数値が最大となっているのが、まさに今ということです。コロナ禍を理由にしていますが、これは国民からすればたまったものではないということを認識しておくべきです。
消費税負担、雇用者が人件費を抑える理由
ご存知の通り、2019年10月に消費税が10%に引き上げられました。軽減税率8%は導入されているものの、子供からお年寄りまで均一で消費税を取る仕組みです。低所得者も高額所得者も関係ありません。
ただ、国民は生活する中で消費はある程度行わなければやっていけませんので、変わらない、なんならコロナ禍で収入が減少する中での増税で、これはコロナ前から経済を低迷させることはいわれていました。
さらに雇用者の人件費に対しての意識も削減傾向にあります。給与所得314万円の人は、社会保険料を年間47万円(14.9%)支払っています。しかし、労使折半といって、企業側が半分持ってくれている(事業者負担)ということを知らない人も多いのではないでしょうか。
経営者が人を雇う時にかかってくるのが、給料+社会保険料となりますが、さらには企業側は消費税を支払う中に、会社の利益+給料+社会保険料となりますので、消費税が上がれば上がるほど、人を雇えば雇うほど出費がかさむという状況です。
ここでなにを思いつくか?「外注」です。聞こえはいいですが、フリーランスなどがそうですが、あれは企業側は報酬を支払う以外負担する必要はありません。フリーランス側は、自分で国民健康保険、国民年金に加入する必要があります。非正規雇用が増えているのもある意味、企業側が雇用しないという意味で利害関係が一致しています。
どうすればいいのか?消費税廃止
消費税は、行き過ぎた経済をコントロールするためにあります。全て徴税で国が回っているというのは大きな勘違いです。ですので、厳しい状況下であれば、消費税増税ではなく、減税、期間を決めて廃止をする必要があります。
安倍政権のアベノミクスは、金融緩和で波に乗りかけていました。しかし、そんな中で2014年消費増税をし経済を冷やしてしまっています。さらには2019年同様のことを行い、日本は新型コロナウイルス前に経済が低迷していたという事実があります。
イエレン財務長官がG7の訴え、鈍い日本
世界は、動き出しています。2月12日にオンライン形式で開催されたG7で、米国のイエレン財務長官は、国民財政出動「今こそ大胆な財政出動に踏み切るときだ」と訴えました。これは、米国だけでなく、景気回復がもたついている、欧日など各国にも協調的な追加策を促しています。
米国でいえば、さらに大規模な財政出動が決定しました。個人給付も3回目が支給されます。日本では、所得の低いひとり親世帯に限り、臨時特別給付金を2回出していますが、ふたり親世帯には出していませんでした。 政府は、3回目の給付金を出す方向で検討しておりふたり親世帯も検討に入るようですが、次元が違うと考えています。
政治家が接待会食をした、しないなどがメディアでは大きく取り上げられていますが、優先順位を考えた報道を願います。企業に対して力を入れているという話はありますが、他の先進国と比較して、周回遅れどころではない現状がまさに今、現在進行形で起こっています。
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