コロナ禍以前から成長していない日本
世界中を新型コロナウイルスが襲いました。そして、感染する方、亡くなる方と出てきていますが、日本は実際他国と比べて、どうでしょうか?数でいえば圧倒的に感染者数、死者数は少ないです。抑え込めているのかといえば、疑問が残る中、アジア系は感染者が少ない傾向がありますが、そんな中で気になるのが経済。
日本同様、感染が抑え込まれていると言われている中国は、当局の発表によると、2020年の国内総生産(GDP)は101兆6,000億元(約1,628兆円)と初めて100兆元の大台を突破しています。プラス成長を確保しています。
日本においては、感染拡大が続いている欧米と比較してもGDPの戻りが遅く、経済成長が鈍化している状況となっています。これは、コロナ禍以前の問題が浮き彫りになり、さらに追い討ちの新型コロナウイルス。非常に危険な状況です。
今回は、新型コロナウイルスの影響以前からあったことと、なぜ日本がここまで厳しい低迷が続いているか、5つの理由について解説します。
脱却できないデフレ(理由その①)
デフレ脱却、このような言葉を聞いたことはありませんか?デフレとは簡単にいえば、物の価格が安くなることですが、例えば牛丼を食べにいったら、600円の支払いが必要だったのが、500円で済むようになっていたとします。これは、消費者としてはうれしいことです。
しかし、経営側としてはどうでしょうか。100円利益が減ります。100円といえば少なく感じるかも知れませんが、日本の人口は1億人以上です。1億人が100円安くなると、100億円分の消費が失われています。
これが続くとしわ寄せはどこに来るか?日本経済全体に影響します。まずは、牛丼屋で働く従業員の所得に響きます。給料が減らないにしても増えない、給料が増えないからさらにその従業員は、別で消費する際、買い控えや安い商品を求める。
全ての節約が悪いのではないですが、家計が厳しい、厳しいと感じるからといった状況は、日本全体がデフレとなります。そして、日本政府はデフレ脱却を掲げながらも、未だこれを脱却できていませんし、菅政権では話すら上がりません。
渋る財政出動(理由その②)
安倍前首相がアベノミクスという政策を行いましたが、アベノミクスは、金融政策と財政政策がセットとなってはじめて意味があるものとなる ” 予定 ” でした。しかし、何を間違ったのか、うまくいっていた政策下で金融緩和を継続しつつ、財政出動を控えました。緊縮財政です。
緊縮財政とは、よくいう身を切る改革ですが、これは雇用や日本経済全体に影響が出ます。身を切る改革を行うと公務員が削減されたり、公共施設にお金を使わなくなったりします。結果、日本のインフラ整備は衰退しています。道路、ダム、トンネルなど必要なところが修理もされていない危険な状況もあり、最近でいえば医療ひっ迫といわれますが、大阪では住吉病院を合併するなど過去に行なっており、そのしわ寄せがきている状況です。
政府がそういう状況になると、民間企業でも投資を控える動きが出るのは当然です。例えば予算を使って、公共交通工事をどんどん行うのであれば民間企業は先が見えるので、投資を行ってでも成長しようとします。そうすると日本経済が上昇傾向となります。
さらに深刻なのは、防衛費。中国の防衛費が増す中で、日本の防衛費は当然緊縮財政ですので、強化されているわけがなく10年前の日本と中国の防衛の関係はひっくり返っています。米国がバックにいるからという理由でいればそれはそれで非常に危険な考え方といえます。戦争をしろというわけではなく、自国の防衛はしっかりと予算を費やして行うべきです。
デフレ化の中での消費増税(理由その③)
国民全員、赤ちゃんから老人、高所得者から低所得者まで均等に取るのが、消費税です。これは、生活保護受給者も同様です。100円の商品を買えば、だれからも10%(8%もあり)徴収します。
消費増税は、さらにデフレを加速させます。理由は、消費控えが起こるからです。たかが10%、されど10%です。年間100万円の消費をする家庭であれば、10万円の所得が失われているということです。
消費増税は、本来はインフレを抑える対策です。インフレでは、デフレの逆で物の価格が高くなります。しかし、所得がもっと上がっていれば、これは問題がありません。インフレ率を見ながらコントロールするのが税ですが、バブル崩壊後に日本は間違ったタイミングで消費増税をしており、その都度GDPが下落しています。
直近でいえば2019年ですが、これは経済が低迷している際に増税しました。データでも出ていますが、ここから日本のGDPは下落しています。しかし2020年2月安倍首相は「景気は緩やかに回復している」とデータとは逆の発言をしています。
行きすぎた、グローバルリズムの考え方(理由その④)
物の価格の競争をする際に、海外から安くで商品を作ったり、人を雇ったりというグローバルな流れが加速しました。これは、日本の文化や雇用を破壊するものとなります。
米国トランプ元大統領がグローバリズムから転換し、米国ファーストで経済を立て直しました。英国もブレグジットでEUから独立したのは、移民問題に悩まされていたということがあります。
そんな中、日本は海外と競争し厳しい状況を作っています。競争が悪いというわけでなく、日本自体が守られない状況になっているということです。
国民目線になれない、大御所政治家(理由その⑤)
ここまでの流れを見ていただくと何が悪くてどうすればいいのか、見えてきませんか。しかし、日本を引っ張る政治家は、上述の内容が正しいとまだ勘違いした、勘違いさせられたままで政策を進めています。
10万円一律給付を一度行なっただけで、その後どうでしょうか。本当に厳しい状況が国民に起こっている事実が見えているのであれば、出し渋ったり、必要ない人にまで行き届いているという前に先に給付を急ぐべきです。これだけでも日本国民の感染対策にたいする意識が変わります。
これは、ただ10万円が欲しいといっているのではなく、有事の際は、分析する前にある程度の財政出動をしないと、取り返しのつかない状況が起こります。経済的自殺です。
しかし、現在は日本は融資、融資で人々にお金を貸すという形で、自己破産なども抑えている状況です。これは、あとあと返すべきお金ですので、厳しい未来になる可能性が高いです。このような事態を認識している、中堅、若手政治家は声をあげています。
しかし、核を担うメンバーの意識が変わらないと厳しい状況は続きます。人は、間違いを改める行為を嫌います。ごめんなさい、と言えないということです。これは、大御所政治家にアドバイスしてきている周辺にも大きな責任があります。
格差拡大で貧困層が見えていないのか
ここから格差はさらに拡大しますが、数字のみで見ると政府は見落としてしまうこともあります。例えば所得。平均所得が500万円だったとします。平均だけを見ると日本の雇用は安心、安定しているように見えますが、以下の状況だったらどうでしょうか。
一人が2,300万円
残りが300万円
2,300+(300×9)÷10=500
極端な例ですが、一人以外は低所得者という状況です。一人の所得が平均所得を押し上げている一方で、多くの人が困窮しています。このような格差は今後さらに拡大すると見ており、中所得者層が減り、低所得層に多く流れ、一部が高所得に仲間入りするという流れとなります。
これは、コロナ禍でも見えています。早期退職者募集で、多くの高所得者が退職しています。その高所得者は次の雇用先で同じ条件となるでしょうか。また、仕事が見つからなければどのような行動を取るでしょうか。この辺りからも緊縮財政による、日本経済の鈍化は浮き彫りになっています。
最後に、、、僕は経済学者でもなんでもありません。しかし、知識人である経済学者が過去このような認識で間違ったアドバイスを行い、そしてそれを認めずさらに日本が厳しい事態になっているということです。全ての情報は、知識人だから、大学の教授が言ってるからなどの理由で信用せずに、ご自身が納得するまで調べることをオススメします。
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