一億総中流社会
一億総中流とは、1970年代の日本の人口約1億人にかけて、日本国民の大多数が自分を中流階級だと考える意識を指す。
一昔前までは一億総中流のイメージが強かった日本だが、バブル崩壊後から日本国内でも所得格差が生じはじめ、そして2000年代に入り所得格差は広がり、2008年のリーマン・ショック以降、二極化が明確になった。
現在の日本では所得格差は地域間、産業間、世代間、男女間、正規非正規雇用など様々な形で生じており、これは欧米を始めとした先進民主主義各国の共通の問題でもある。
所得格差問題は社会問題の1つとして多くの日本人が注目している
厚生労働省の調査によると所得格差の指標となるジニ係数は、2002年は0.4983であったものの2014年には0.5704と0.0721も所得格差が開いている。
ジニ係数とは?
ジニ係数による所得格差は0から1の間で示され、1に近づくほど所得格差が大きいことを示す。
日本は資本主義であるためある程度の所得格差が生じてしまうことには必然性があるが、富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなると言われるように、貧困層に分類される低所得者が貧困層から抜け出せなってしまっていることが問題とされている。
市場原理主義が格差を生み出したのか?
バブル期には土地や株式などの資産を「持てる者」と「持たざる者」の所得格差が話題になった。
日本は戦後の復興から高度成長期を経て、国民が一億総中流意識を持つようになり、諸外国に比べ比較的平等な社会が形成されてきたとされるが、自由経済社会を掲げる限り常に所得格差は存在する。
近年、規制緩和が促され、さらに自由競争社会へと進むなか、「勝ち組・負け組」現象が現れるなど所得格差が拡大しているのではという問題意識が表面化している。
・機会は平等に与えられており、格差は能力や努力の結果であり仕方がない!
・富裕層が一層富めば“富の再分配機能”を通じ貧困層の生活も底上げされる!
などの格差拡大を容認する意見がある一方、親の所得が学歴に影響し、学歴で雇用機会に差が生じる。機会平等社会ではない!
・若年層での所得格差(非正規社員と正社員)は将来の社会秩序の破壊を招く!
と問題を重視する声も多く、規制緩和・市場原理主義を推し進めた小泉路線が所得格差拡大を助長したという政策批判もある。
所得格差問題を解決するには?
まずはシンプルに最低賃金の大幅な引き上げが必要であろう。
日本では、サービス料を払ってもらえない、お客に価格転嫁ができない、などを理由に、 最低賃金の引き上げができないという経営者の声が多くある。
しかし、最低賃金には理論値があり、しかるべき水準にするべきである。 日本では政府が理論値をまったく無視し、理論値を大幅に下回る最低賃金を設定している。その結果として、国民が理論的にもらうべき水準の給料がもらえていないのが現実なのだ。最低賃金の引上げには政府の推進力が必要とされる。
ツケは必ず自らに戻ってくる!
国はインフラの整備・維持、年金・医療費などの社保障の負担を負わなくてはいけない。見返りを求めない、最低賃金が低い、価格転嫁できないなどの理由で国民の所得が増えなければ、払うべき税金を納められない状態が続くだけになる。その結果、国の借金としてその分が蓄積されていく。
日本型資本主義だからと非現実的なことをいう人も多いが、他の先進国並みにインフラや社会保障制度が整備されている日本では、これらの価値はただ単に、国の借金として積み増されていくだけになる。非現実的な日本型資本主義のコストは、国の借金という形で勘定されている。
日本人の甘え・妄想・非現実性が、国債という形でそのまま積み上がり、最終的にそのつけは国民一人一人にまわってくる現実を考えなければならない。
では、どう行動すべきか?
所得格差問題の根本的解決を国に求めれば、最低賃金引き上げという答えに行き着く。
個人個人が行えることとしては、自らのスキルをあげ、価値を高め、より評価の高い環境(所得が高い)で働く選択肢を持つことである。
そして、知恵・知識の二極化の上層にいることで、知恵・知識をお金に換える手段・チカラを身につけることである。知恵・知識はお金・投資にも置き換えられ、クレバーな投資力を身につけ、思考、実践力を持つことで、所得格差問題は自ら解決することもできるのである。