今日のポイント

株安とBTC高が同時進行し、「リスクオン/リスクオフ」だけでは説明できない相場になっています。 米株は長期金利の再上昇と消費減速懸念に押される一方、BTCは米政権の暗号資産政策を材料に上昇しました。昨日の財務省による債券市場支援で問題が解決したわけではなく、金利・景気・政策テーマごとに資産の選別が強まっていることが8月20日の重要な変化です。

過去24時間の主要市場動向

S&P 500

S&P 500は7,641.16と0.87%下落しました。前日の米財務省による長期債買い戻し拡大でいったん落ち着いた金利が再び上昇し、Walmartの販売鈍化も米消費への警戒を強めました。原油高によるインフレ懸念も重なり、エネルギーなど一部を除いて売りが広がっています。

ナスダック指数

Nasdaqは26,067.17と1.00%下落しました。長期金利の再上昇が高PERの大型グロース株への逆風となったほか、消費関連にも売りが波及し、市場全体で値下がり銘柄が優勢となりました。S&P 500以上に高値からの調整が進んでおり、金利上昇への感応度が再び意識されています。

米国10年債利回り

米10年債利回りは4.6960%へ上昇しました。前日は財務省の買い戻し拡大で4.64%近辺まで低下しましたが、その効果は長続きせず、20日は再び金利上昇に転じています。原油高に加え、失業保険申請が予想より少なく雇用の底堅さが確認されたことで、Fedが早期に緩和へ転じる必要性も低下しました。

ビットコイン

ビットコインは72,745.97ドルと4.35%上昇し、株式市場とは対照的な動きとなりました。トランプ大統領によるCLARITY Act成立への働きかけや、米政府による暗号資産保有拡大への期待が買いを誘い、ショートカバーも上昇を増幅しました。金利高でも下落せず、今回は「マクロのリスクオン」より米暗号資産政策という固有材料が勝った形です。

過去24時間の重要経済・金融ニュース

Walmart株9%急落、ガソリン高で消費に陰り 米景気の「最後の砦」に警戒

Walmartの米既存店売上高は前年同期比2.6%増となり、市場予想の3.8%増を下回りました。ガソリン価格の上昇で家計が支出を抑えたことが背景にあり、株価は20日に9.2%急落しました。CostcoやDollar Treeなど他の小売株にも売りが広がり、消費関連株全体を押し下げています。重要なのはWalmart単体の決算ミスではなく、高所得層まで顧客を広げてきたディフェンシブな小売大手でも消費鈍化が見え始めた点です。一方で雇用そのものはまだ崩れておらず、「雇用は強いが実質購買力は弱い」という組み合わせになっています。今後は小売各社の決算と個人消費・実質所得を確認し、消費鈍化が景気全般に広がるかを見る必要があります。

米失業保険申請20.6万件に減少 雇用の底堅さ、Fedの早期緩和を遠ざける

8月15日までの週間新規失業保険申請件数は20万6,000件と、前週の21万2,000件から減少し、市場予想の21万件も下回りました。今年のレンジの下限近辺にあり、企業の解雇は依然として限定的です。一方、継続受給者は179万9,000人へ増えており、「採用は弱いが解雇もしない」という低採用・低解雇型の労働市場が続いています。7月雇用統計の弱さだけを見て急速な景気悪化を想定するにはまだ早く、Fedにとってインフレ抑制を優先できる余地が残ります。これは株式には景気安心材料であると同時に、金利低下期待を抑えるという逆風にもなります。次は8月雇用統計でこの均衡が崩れるかどうかが重要です。

アリババ純利益75%減、AI需要は急拡大 「成長すれば利益も増える」とは限らず

Alibabaは4~6月期売上高が前年同期比9%増となり、AIクラウド・コンピューティング関連売上高は45%増加しました。一方でAIインフラへの積極投資により純利益は75%減少し、調整後ADR1株利益も市場予想を下回りました。設備投資額は前年同期比75%増の676.8億元に達し、2026~29年に計画する3,800億元のAI投資の約半分をすでに今年投入しています。これはAI需要の弱さではなく、むしろ需要急増に対応する計算資源の先行投資が利益を圧迫しているケースです。米国の大型テックにも共通する論点で、AI売上高の伸びだけで企業価値を判断しにくくなっています。今後はAI設備投資の回収期間、粗利益率、自社半導体導入によるコスト低下が焦点になります。

米国、対イラン「史上最強の制裁」へ 中国にも協力要求、詳細は週明け公表

ベッセント米財務長官は20日、イランに対して「史上最も厳しい制裁」を実施すると表明し、詳細を月曜日に発表すると明らかにしました。さらに中国にも米国の対イラン政策への協力を求めています。中国はイランの海上輸出原油の8割超を購入しているとされるため、中国企業や決済・海運ネットワークまで制裁対象が広がれば、単なるイラン問題から米中経済摩擦へ波及する可能性があります。一方、ベッセント氏自身は経済圧力強化が大規模な軍事行動の再開を避ける手段になるとの見方も示しています。それでも原油は20日に3週間超ぶりの高値圏へ上昇しており、油価上昇→インフレ→長期金利上昇という経路が株式市場の重要なリスクになっています。週明けは制裁対象と中国側の反応が最大の確認ポイントです。