コロナ特集

新型コロナウイルスによるインバウンドビジネスへの影響

インバウンド中国

コロナウィルスの感染の広がりが止まらない

新型コロナウイルス感染者の広がりが、日を追うごとに世界各地で大きく増加している。感染源地である中国の国家衛生健康委員会の発表では、28日時点で中国国内の感染者が4,520人を超え、亡くなったのは106人だとしているが、一部報道では、少なくともこの10倍以上の感染者がいると伝えられている。

第二次安倍内閣の成功事案としてインバウンド顧客の大幅増加がある。これまで2020年に訪日外国人旅行者数4,000万人を目標としてきたが、いまだ終わりの見えない新型コロナウイルスの拡大により、目標達成が難しくなっている。

国内外の団体ツアー禁止、春節休暇延長へ

中国政府は世界中で感染が広がっている新型コロナウイルスの封じ込めの為、国内・国外の団体旅行を禁止すると発表し、中国の旅行会社を統括する中国旅行者協会は、1月27日から国内外の団体ツアーを一時停止した。

さらに、人が接触する機会を減らすべく、春節休暇を2月2日まで延長すると発表した。これにより中国国内の学校は休校となり、株式市場の再開も3日からとなり、企業活動のスタートも遅らせるよう指示を出している。

インバウンド需要への深刻な影響

野村総合研究所のレポートでは、インバウンド需要の変化を通じて日本経済に与える影響を試算した結果、訪日外国人観光客数がSARS発生時と同じ割合で減少した場合、日本の国内総生産を0.14%押し下げると試算している。

SARSの影響は03年5月前後の数カ月程度にとどまったが、SARSと同程度の影響が1年間続くと仮定すると、日本のGDPを2兆4,750億円、割合として0.45%押し下げる可能性があると算出している。

訪日外国人旅行客数は2019年に3,188万人に増え、第二次安倍内閣が発足した12年に比べ3.8倍に増えた。これに伴い、インバウンド消費は18年には4兆円を上回り、対名目GDP比は0.8%に達している。

インバウンド消費が03年4〜6月期と同程度減少すれば、GDPは0.2%ポイント押し下げられる可能性があると試算し、仮に新型肺炎の感染が拡大し、人の移動が停滞すれば、インバウンド消費減少を通じたマイナスの影響は03年を上回ることになることは確実だろう。

仮に0.4%押し下げることになれば、2020年1年を通じ、マイナス成長に陥る可能性もある。

東京オリンピックへの悪影響は?

東京オリンピックが開催される2020年に、政府は訪日外国人旅行者数4,000万人を誘致する目標を掲げ、観光立国となるべく、ビザ緩和、免税制度の拡充、出入国管理体制の充実、航空ネットワーク拡大などを積極的に行ってきた。

施策の中でも特に訪日中国人誘致に力を入れており、2009年に個人観光ビザの発給が開始されたことで、2010年の訪日中国人旅行者数は前年比約40%、140万人を記録した。

2020年の春節休暇でもっとも人気の旅行先として日本が挙げられ、約70万人の訪日中国人旅行者を見込んでいたが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、大きく方向修正を迫られており、ホテル、旅館、観光バスなど、大量のキャンセルにより、既に業績大きな影響が出ている。

株式市場への影響も顕著で、1月27日の週からは世界中のそれぞれの市場が続落状況にある。

東京オリンピックでのさらなる成長を期待する市場、投資家を、今回の新型コロナウイルスは肩透かしさせる可能性も高まっている。

新型コロナウイルス感染拡大によって、2020年に訪日外国人旅行者数4,000万人達成が厳しいと思われるが、それ以外にも目標達成が難しい幾つもの要因がある。

2018年まで順調に外国人旅行者数が伸びていたが、連続する台風被害、西日本豪雨、北海道地震などが相次いで発生し多くのキャンセルが発生した。そのときだけの一時的な現象かと思われていたが、訪日旅行者数の伸び悩みは回復せず低迷している。

アジア各国の経済、政治的な要因も!!

政治的な要因も大きく、韓国・台湾・香港からの訪日旅行者の伸び率が急減速している。韓国・台湾・香港からの訪日旅行者数は2017年に前年比25%を超える伸びであったが、台湾、香港は2019年の前年比5%以下の伸びと予想される。

日韓関係の悪化により、韓国に関しては26%のマイナスとなった。韓国・香港・台湾からの旅行者数は、訪日外旅行者全体の半分弱程度を占めており、この3か国ここの持ち直しは目標達成に不可欠になっている。

韓国の著しいマイナス成長は、日本でも大きく報道されていた日韓関係の悪化が大きな原因であり、日韓関係の悪化により、反日デモや不買運動などが起こり日本企業にも大きな痛手となった。

韓国・台湾・香港からの訪日旅行者の低迷は、災害や政治的要因だけでなく、経済環境の悪化も考えられる。2018年後半以降、中国経済や半導体市場の低迷が起こり、半導体等のITセクターが主力産業である韓国や台湾は、大きな経済的打撃を受けている。

さらに韓国、台湾、香港の為替レートを見ると、円安だったレートが徐々に円高になっていることから、訪日旅行が割高に感じられるようになった可能性が高い。特に韓国・台湾は経済環境の悪化と自国通貨安が重なり、旅行者にとっては、二重のマイナス影響となっていることが予想できる。

韓国、台湾からの人気旅行先は日本よりもコストパフォーマンスが良いタイ、ベトナムなど東南アジアにシフトしている。Expediaが公表する2018年の韓国、台湾の海外旅行先急上昇ランキングでは、ニャチャンやダナン、セブ、コタキナバルといったアジアのリゾート地が上位にランクインしている。

インバウンド銘柄として2018年後半から人気化した銘柄は、新型コロナウイルスとインバウンド顧客マイナスによる収益悪化という両面でのマイナス影響があり、株価は低迷する可能性も高くなってきた。

新型コロナウイルスが世界中で大流行した場合、世界経済成長速度を過去10年、20年という単位でみた場合、最低に落とす可能性も高く、マイナス金利の金余りのため、よりリスクの高い債権、更には新興国、発展途上国に投資された資金が逃げ出す可能性も高い。

新しい世界恐慌の始まりはここから始まるのかもしれない。

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AI TRUST編集部の為替担当大泉です。FX、為替歴は11年。今までにトレーダーとしても活躍。最近は為替の自動売買ソフトのアドバイザーなども務めており、為替のプロフェッショナル。
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