記録的なマイナス成長
2020年は記録的なマイナスを記録したというGDPも、2021年度はプラスに転じるといわれています。しかし変異種の感染拡大リスクも高まり、出口がみえてこないコロナ禍で、このままでは家計が破綻すると不安に襲われている人も多いのではないでしょうか。
今回は最新の日本の貧困拡大状況をまとめてみます。現状を理解し、まずは自らが、家族がそうならないためにどのような行動をすれば良いのか?この解決案についてもまとめてみたいと思います。
子供がいる働き世代が厳しい状況に・・・・
厚生労働省による「国民生活基礎調査」(2019年)によると、「貯蓄がある」と回答したのは81.9%で、1世帯当たり平均貯蓄額は1077万4000円となっています。また「借入金がある」と回答したのは28.5%で、1世帯当たり平均借入金額は425万10000円となっています。しかし児童のいる世帯に限ると「借入金がある」と回答したのは55.8%で、1世帯当たり平均借入金額は1119万7000円です。
また世帯主の年齢でみていくと、「30~39歳」で借入金平均は1071万1000円、「40~49歳」で1002万7000円と、状況が一変します。マイホームのローンが家計に重くのしかかるという、子どもがいる働き世代の様子が垣間見られます。
子どもがいる現役世代の8世帯に1世帯は貧困層
貧困率は正確には「相対的貧困率」と言われ、可処分所得の中央値の半分に満たない世帯の割合を表し、それらの世帯を「貧困層」と呼びます。2018年の貧困線(可処分所得の中央値の半分)は127万円で、貧困率は15.4%。前回調査の2015年に比べて0.3ポイントの改善しました。また「子どもがいる現役世帯」(世帯主が18歳以上65歳未満で子どもがいる世帯)では12.6%、そのうち「大人が一人世帯」では48.1%、「大人が二人以上世帯」では10.7%となっています。
実に子供のいる現役世代の8世帯に1世帯は貧困層であり、新型コロナにより、現在は更にこれが大きく増えていると考えられ、マイホームの支払いがすでにできなくなっている家庭も多く、今後地域の不動産価格にも悪影響を及ぼす可能性が高いことも注意しておく必要があります。
2,000万人以上いる日本の貧困者
2019年の時点で、日本では人口の1億2,700万人のうち2,000万人が貧困層になっており、新型コロナによりこれは現在さらに大きく増加しています。貧困と言うと発展途上国だけの問題と考えられがちですが、日本でも貧困は社会問題して大きなテーマとなっています。
貧困には大きく分けて必要最低限の生活も送ることができない「絶対的貧困」と税金などを引き、生活などで自由に使えるお金が国内の平均(等価可処分所得)の半分に満たない「相対的貧困」の2つに分けられ、今までは後者の相対的貧困が日本ではクローズアップされていましたが、新型コロナによる失業率の大幅増加により、絶対的貧困者数が急増しており、ここへの政府、行政の取り組みが後手後手に回っているのが現状です。

2012年の調査では?
厚生労働省の調査によると2012年には日本人の約16.1%、つまり6人に1人の人が122万円以下の収入で生活しており相対的貧困に該当すると言われていました。特にシングルマザーの2人に1人以上が相対的貧困に該当しており、新型コロナで女性の失業率は実質的に5%以上に跳ね上がっていることを考えると、さらに深刻な状況にあると考えるべきでしょう。
また、高齢者の相対的貧困も大きな社会問題となっており、70歳以上になると約26%、つまり4人に1人以上が相対的貧困に該当しています。そして新型コロナにより自宅で亡くなる高齢者も急増していますが、これらの多くが相対的貧困層に入っていると考えられます。
子供の貧困率も急激に悪化している
子どもの貧困率が全体的に高いのは、ひとり親世帯の貧困率が高い事が挙げられます。日本では2002年に過去最高の離婚件数を記録したことに最大の要因があります。その後、離婚件数は下降気味にはなっているものの、1997年以前と比べると多いことがわかっています。
これによりひとり親世帯が増加、特に親権の問題から母子家庭が多くなる傾向にあります。このような母子家庭では子育てとの両立が難しいなどの理由から、正社員になる割合が父子家庭より低く、非正規雇用で働くことを余儀なくされることが多いです。そしてそこに新型コロナが追い討ちをかけた形です。
こうなると給与や待遇面で不利益を受け、ワーキングプア状態になってしまい、収入が少なく貧困状態に陥ってしまうのです。今回の新型コロナにより、非正規雇用の場合は収入がなくなった層が急増しています。ひとり親の場合は収入源が自分しかいないため、苦しい環境に置かれてしまいます。
貧困の罠に陥らないために今行うべきことは?
一度貧困の罠に陥ってしまうと、そこからなかなか抜け出すことが難しくなります。目先のこと、日々の雑務にに時間が取られ、じっくりと将来に事について考えるゆとりもなくなり、時間だけが過ぎていき、結果的に、年齢とともに労働環境を含めた選択肢が狭められていきます。
そうならない為には?
・問題の先延ばしをせず今行動し解決すること
・何事もすぐに片付けることを習慣化すること
・人に流されず、常に自ら考えること
・自らの付加価値を最大化するスキルを身につけること
・お金が入ってくるの入り口を幾つかにわけてもっておくこと
・入ってくるお金の一部を貯蓄し、積み立てることを習慣化させ、時間を味方につけ、お金にお金を稼がせること
・ものを買ってもお金が減らない仕組み、ルールを理解し実践すること
貧困になってしまう仕組みをまずは理解を深め、そうならないためにどうすれば良いか?
改めてこれを自分自身の問題として考えてみることが最も重要なのではないでしょうか。
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