恐慌特集

過剰流動性バブル崩壊に備えよ!!④

前回の「過剰流動性バブル崩壊に備えよ!!③」からの続きとなります。

過剰流動性バブル崩壊がこの後起こる9つめの理由は中国の隠れ債務問題にあります。

LGFVの隠れ債務に注意を!!

中国の地方政府の隠れ債務、地方政府の資金調達事業体(LGFV)の総負債額が昨年末時点で約918兆円に達し、GDPの半分を上回る規模に膨らんでいます。

中国地方政府の税収の多くは不動産関連から得られるものであり、不動産販売が半分に落ち込む中で、この問題が一気に表面化する可能性が高いです。これは中国の不動産の本質的な問題とつながっています。

かつてであれば、地方政府が土地入札を行えば、民間不動産開発会社が多く応札していました。しかし、不動産不況のもとで民間不動産開発会社は資金難に陥っていますから、土地を購入する余裕がなくなっています。

昨年11~12月に土地入札を行った21の大都市のうち9都市で、区画の半分以上が地方融資平台によって取得されています。

地方融資平台の債務は昨年末で918兆円

一方、地方融資平台は社債を発行することで資金調達を増やし続けました。地方融資平台の債務は増加しており昨年末で918兆円なのです。これは、実質的には地方政府の債務です。それによって、中央政府から求められる中国の教育・医療・住宅プロジェクトや、都市開発などへの財政支出を賄っているのです。

この地方融資平台は、中央政府による規制を逃れて、地方政府が資金を調達する手段として発達してきました。1990年代半ば、中央政府は地方政府による、大量の起債を防ぐために規制措置を講じました。

地方政府はその規制を逃れるためにこの地方融資平台を作り、橋や住宅、道路などのインフラ建設に融資して、中国の経済成長を支えてきたのです。

地方融資平台は社債の発行等で資金を調達しますが、中国の個人が多く投資する理財商品は、その社債で運用されています。地方融資平台のデフォルトは今のところ起きていませんが、財務の悪化で格下げが進めば、理財商品に損失を生じさせます。

一方個人は、地方融資平台の社債は地方政府の保証が付いていると理解していますから、その価格が大幅に下がり、理財商品に大きな損失が生じるとパニックに陥り、大きな社会的な混乱に発展する可能性があると考えるべきでしょう。

社債が大暴落すればどうなるのか?

不動産が下落し、含み損失が拡大する中で資産運用先として投資をしていた社債が大暴落すれば??

中国経済は相当にパニック状況に陥り、世界への深刻なダメージを与えることになるでしょう。中国の低格付け企業の社債の満期も今年、来年は非常に大きな額になっており、ドル高元安、金利高は、多くの低格付け企業のデフォルトにつながる可能性が高いのです。

2008年のリーマンショックの根本の原因となったサブプライム問題と通じる問題がこの8と9だと考えています。2022年の頭から米株は冴えず、非常にボラティリティの高い展開が続き、暗号通貨市場は下落基調が続いています。

しかし、これはまだまだ入り口であり、これからが本当の大きな下げが訪れるように今は感じています。

新興国債務が危うい!!

過剰流動性バブルが崩壊すると考える10番目の理由は新興国の債務問題です。

国際金融協会によると、新興国の債務は2021年末時点で、95.7兆ドルと2019年末比で25%程度増えました。各国とも低金利の中で、新型コロナ禍への対応策のために借入を急増させたのです。

しかし、ドル建て債務は米金融引き締めにより、ドル高、新興国通貨安が進むと返済負担が重くなります。低所得国の約6割はすでに債務危機か高いリスクを抱える状態にあると言われています。

今年は継続的にドル高の流れは続くと考えられますので、この率はさらに高くなるでしょう。

インドネシアはパーム油の輸出を止めました。

インドは小麦の輸出を止めました。

食料品の価格はまだまだ上昇します。

低所得国では飢餓の状態がどんどん悪化します。

それぞれの国の治安は悪化します。

海外からのリスクマネーは新興国からドル高の影響もあり、アメリカへの資金逃避は加速するでしょう。新興国からの通貨逃避は各国の経済を相当冷え込ませ、1997年のアジア通貨危機のような状況に陥るリスクも高くなっていると考えるべきでしょう。

新興国での自国通貨からの逃避はBTCやETHにも向くことになります。

今回のウクライナ戦争ではロシア人やウクライナ人の、暗号通貨ウォレット数、保有量が急増しています。しかしBTCやETHの価格は急騰したわけではなく、下落基調が続いているわけです。

単体としての要因はプラスに働いたとしても、マクロ経済全体へのマイナス影響が大きい場合暗号通貨市場にとってもマイナス要因になるわけです。

新興国の債務問題はタイ、フィリピンなどのアジア各国だけでなく、南米、中近東、アフリカに広がっていきます。そして中国もドル高、元安の影響をもろに受けます。

世界の基軸通貨であるドルは一番被害が少なくとも、欧米の金融機関は過剰流動性マネーを新興国に多額の投資を行っています。ここでは大きな損失を出すことになるでしょうし、それが表面化すれば金融株を下落させることになります。金融市場全体を冷え込ませていくのです。

ウクライナ戦争の長期化

過剰流動性バブル崩壊の11番目の理由はウクライナ戦争の長期化にあります。ウクライナ戦争の思わぬ長期化は、様々な不確実性、影響を市場に与えます。化学兵器使用や戦術核兵器の使用リスクも高まっており、金融市場に与える影響は大きく、不確定要素が大きすぎるのです。

在庫一掃で潤う欧米の兵器産業として見れば、戦争の長期化はウエルカムでしょうが、地政学的なリスクが欧州全体に広がる可能性、そのマイナス影響を常に見極める必要があります。

ウクライナでは小麦、とうもろこしの作付けがほとんどできていませんから、世界の食糧不足価格高騰を継続させます。

北欧二カ国がNATOに加盟することでロシアがどんな行動を取るのかもわかりません。

あまりにもリスクが多すぎるのです。

市場の上昇を後押しする理由が見つからない

ここまであげた11の要因を考えただけでも、市場の上昇を後押しする理由が見つかりません。

特に暗号通貨市場では、買い手不在の低商いは当面続くと考えられ、そうなるとこの後も、リスクが表面化し、NASDAQの急落場面ではBTCは倍の下落幅となり、更にはアルトコインに至ってはそれよりも大きな下落を繰り返す可能性が高いです。

そして今までなんとか踏ん張ってきた投資家の諦めの売りにも繋がることになり、様々なブロックチェーンプロジェクトが保有するトークンも今の資金確保のための売りが先行すれば、トークン価格をさらに下落させることになります。

このあとも世界の株式市場は継続的な下落が続き、過剰流動性バブルは崩壊・終焉すると考えられるわけです。あまりにもリスク要因が多すぎ、タイミングが悪すぎます。世界の中央銀行が今まで金をばら撒きすぎたツケが出ています。新たに紙幣を世界中でばら撒くことはできない、全く反対の状態にあるわけです。

ここで紙幣をばら撒いたらどうなるか?

世界の多くの国でハイパーインフレが起こることになります。今回はそうせざるを得ない国が増えるのかもしれません。そしてその時には、発行量が決まっているBTCの価値が大きく反転する時となるのかもしれません。

様々なマクロ経済リスク要因が幾つも重なっています。より慎重な投資行動を心がけていきましょう。