FXではテパーリングに注目
世界各国で新型コロナウイルスの感染懸念やワクチン接種による回復など、様々な報道が日々見られます。日本のみで見れば、感染者数が拡大して、3度目の緊急事態宣言が意識されており、ワクチン接種も他国と比較すると遅れています。
そんな感染対策とあわせて行わなければいけないのが、経済対策です。各国は、金融緩和を実行しなんとか経済を立て直す策に出ています。ただ、金融緩和はいつまでも続ける訳にはいかず、インフレ、バブルを発生させる恐れもあります。
そんな中、膨れ上がった金融緩和にどう対策していくのか?それによって強い通貨が見えてきます。
テーパリングとは量的緩和の縮小すること
量的緩和の縮小を『テーパリング』といいます。
テーパリングとは、金融緩和によって量的緩和を拡大していましたが、経済の落ち着きやインフレ率などを見て、徐々に量的緩和を縮小していくことをいいます
カナダがいち早くテーパリング発表
4月21日、BOC(カナダ中銀)が金融政策を発表しています。内容は、0.25%の政策金利を維持する一方で、週間の国債買い入れ(量的緩和)額を40億カナダドルから30億カナダドルへ縮小するという内容です。
カナダは、主要国ではいち早くテーパリングを発表、いわゆる政策変更を行ったということです。これにより、2022年の利上げが完全に視野に入ってきました。
もちろん今後の経済状態次第となりますが、利上げとなると「カナダドル」を持っていると金利が上がるという観点から、カナダドルが買われています。カナダドルと円、カナダドルと米ドル、カナダドルとユーロ、このように各国の通貨のどちらを買いたいか?で見ると全ての通貨に対してカナダドルが買われている状況になっています。
カナダがテーパリングを行う理由
カナダが量的緩和の縮小を計画しだした理由としては、経済回復にあります。新型コロナワクチン接種の進展を背景に、カナダ経済は個人消費が主導する形で成長に弾みが付き、2021年の経済成長率が6.5%になると予想し経済回復の強さが現れています。
そして、カナダの住宅市場は販売や価格、着工などの指標が過去最高を塗り替え、過熱感が強まっています。不動産・住宅バブルは1つの指標になります。他国でいえば、米国・オーストラリア・ニュージーランドなども同様の状況が起こりつつあります。
一方でワクチン接種は進んでいるものの、新規感染者数は増加傾向にあり、変異株の脅威に直面しており、楽観視できない状況となっています。
次なるテーパリング候補
感染は変異株で日々変動する可能性がありますが、量的緩和は縮小していく流れはカナダに続く国も出てくると考えられます。次なる候補としては、オーストラリア、ニュージーランド、米国などがあげられます。カナダ同様、金融緩和の副作用が不動産価格などで出始めていることが理由の1つとなります。
そうなるとその国の通貨が強くなる可能性がありますので、注目が集まります。特に注目されるのが米国です。ただカナダのような急な発表ではなく、徐々に匂わせていくのではないかと考えられます。2022年にテーパリング、2023年に利上げというスケジュールで考えると2021年の8月には、なんらかの匂わせ発言がFRBから示唆されると見られています。
また、FRBパウエル議長の任期が2022年2月までですので、任期も考慮すると2021年の早いタイミングで次なるアクションへのスケジュールが発表されるのが、市場の混乱を防ぐには最適です。
弱い通貨となるユーロ・円
テーパリングや利上げタイミングを模索する一方で出遅れ感があるのが、ユーロ圏と日本です。ユーロ圏ですが、4月22日のECB理事会で大規模な量的緩和の維持を決定すると同時に、政策金利も現行水準に据え置くことを決定しています。まだまだ量的緩和が必要ということです。
そしてユーロドルは1.20の大台に乗せると「牽制発言」がありますので、なかなか買いにくい通貨となっています。日本円は、年初の菅首相の円高懸念や経済の遅れなども見られますので、ユーロ同様買いにくい通貨となっています。
長期的通貨の展望
これらのことから、通貨の強弱が分かります。この通貨の強弱と方向性をポイントに抑えつつチャート分析をして、タイミングをはかることが重要です。
強くなるであろう注目通貨
・ドル
・オージー(豪ドル)
・ニュージー(NZ)
弱くなるであろう注目通貨
・ユーロ
・円
英国(ポンド)も上昇傾向にあります。ワクチン接種での感染者数が激減していることからだと考えらえます。このように、テーパリングの目線や新型コロナウイルスの現状から通貨の組み立てをしていくことは非常に重要ですし、各国の動向に興味がわきますのでぜひ行ってみてください。
最強通貨と最弱通貨を見つけることで、大きなボラティリティが発生します。当然、今後の報道によって通貨の強弱は変わってくることもありますので、日々意識しながら見守りたいところです。
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