節分天井ではなかった年
相場格言に「節分天井彼岸底」という言葉があります。これは、節分時期から天井をうって下落し始め、彼岸に底をつけるという意味ですが、2021年は節分天井ではなく、節分から勢いを増して上昇する相場となりました。
2月の主な報道と共に2月のマーケットを振り返りたいと思います。
2月末「日経平均」1,200円以上の下落
株式市場では、2月の最終取引日となった2月26日(金)は、下落率は2020年4月1日以来約11カ月ぶりの大きさとなり、4%近く値下がりしました。これは利益確定の売りも入ったと考えられますが、気になるのが、米国債利回りの急上昇です。
国債の利回りが上昇すると株が下落しますが、国内の長期金利も約5年ぶりの高水準を付け、株式市場には警戒感が出ました。そんな中、半導体関連など成長株中心に売りが広がっています。東証33業種の全てが下落しました。
長期金利は、景気が本格的に回復してから上昇するもので一方向には上がらないものですので、一服も考えられます。画像で見ると、2月は1%台に突入後、1.61%まで急騰しています。金利が上昇すると株価が下落する理由は、金利の上昇=お金を借りる人が減る=経済が伸びないという企業が投資しにくい状況となり、それらを知っている投資家の動きも同様になるためです。
*SMBC:米国債10年日足
日経平均、30年ぶり3万円台到達
2月15日、日経平均は3万円台に乗せました。これは1990年以来のことで、予想以上にGDPが上回ったこともあります。とはいえ、コロナ禍で実体経済との乖離は大きくなっていると懸念されていますが、株価上昇は未来を見据えての期待が入ります。
この辺りでいえば、新型コロナウイルスワクチンが進んでいることや感染者数が世界的にも減少していることが考えられます。米国のダウ平均は、2月24日に史上最高値となる3万2,000ドル台となりました。
*トレーディングビュー:日経平均日足
米FRBパウエル議長発言に注目
現時点で、米国の中央銀行であるパウエル議長は金利の上昇を容認しています。「金融引き締めを検討する状況には程遠い」との景気認識を示しています。景気への悪影響は、2%まで問題ないと考えられている中で、急激な上昇が続くようだとパウエル発言が入る可能性は考えられます。
円安が目立った2月
米長期金利が目まぐるしく動く中で、ドル円も上昇を見せていますが、どちらかといえば「円安相場」となりました。ドル円でいえば、104円台から2円幅ほどの上昇を見せていますが、大きく上昇したのがポンド円や豪ドル円、ユーロ円など「クロス円」の上昇です。
ポンドや豪ドルは、株価に連動しやすいので、リスクオフとなった2月末では、株同様売りが入りましたが、2月は一方向に上昇を続けた流れとなりました。そしてドル円でいえば、菅首相の動きで円高阻止が行われていることが大きな要因です。菅首相の円高阻止を意識する内容が、報道として流れたのが、昨年末ですが、これは輸出企業を意識しての内容です。
上場する輸出企業の採算ラインとなる為替レートは1ドル=100.20円となっています。この水準以上に円高が進むと輸出企業の収益を圧迫するので、昨年末は、多くの専門家が円高、100円割れを見ていた中での早めに手を打った可能性が考えられます。1月7日には、財務省と金融庁、日銀が、国際金融資本市場に関する情報交換会合を開いています。ここからドル円は反転しており、世界に対しての円高阻止のメッセージとなったことになります。
*トレーディングビュー:ドル円日足
イーロンマスクに翻弄された仮想通貨市場
仮想通貨でいえば、テスラCEOのイーロンマスク氏の動きが活発でした。テスラ自体も8日に15億ドルの暗号資産(仮想通貨)への投資が発表されビットコイン、仮想通貨市場は高騰しました。イーロンマスク氏は、その前にTwitterのプロフィール欄を「#bitcoin」とするなどでも注目を集めたり、仮想通貨のドージコインに対してなんどもツイートするなどで話題を集めていました。
そんなイーロンマスク氏が一転して、「ビットコイン、イーサリアムは高すぎる」といった発言をし、現在1BTC=600万円台を超えていたビットコインですが、480万円台となっています。*3月1日時点。
その他懸念材料としては、世界が環境問題に取り組む中でのマイニングが、環境への悪影響を与えることを懸念する声が再度上がっています。米イエレン財務長官も、ビットコインのマイニングで大量の電力が消費されていることに懸念を示しています。この辺りは、ビットコイン肯定派・否定派の動きは今後も続くと見られます。
ただイエレン財務長官がマネロンを懸念されていますが、世界中でビットコインがなくなったら困る人たちは出てきます。デジタル人民元などのデジタル法定通貨が導入されれば、されるほどなおさらです。デジタル法定通貨で、資金の流れを把握されて困るのは、規制を作る側も含まれているということは頭に入れておきたいところです。
*トレーディングビュー:ビットコイン円日足
米追加経済政策いよいよ
さて、2月は上昇から一転下落した流れでしたが、3月はなんといっても米国の追加経済対策が決定します。現在下院では1.9兆ドル(200兆円)で可決しました。個人給付は1,400ドル(約15万円)と3回目の給付も期待されます。
次は、上院で審議され、バイデン政権は3月中旬までに可決・成立させる見通しとなっており、この追加政策がマーケットの後押しになる可能性は大きいです。仮に下落があっても追加経済対策でのマネーの流入で、さらなる押し上げが出るかというところも注目したいところです。
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