増える個人投資家、含み益
3月末に底をつけた株価。日米ともに全戻しに近い状況になっています。そして、この時期2月から3月にかけて国内では、ネット証券での新規口座開設が急増しました。
これは、連日の株価暴落のニュースが目につき、そしてテレワークや外出自粛などを機に、投資を始めようと考えた人が多くいたということを意味します。
そこから何も考えずに「買い」を入れていた人たちは、どうなっているでしょうか? 底値で買えてそしてそれが大きく上昇しています。
これには、金融政策や財政政策が後押しされていますが、このポイントを理解して投資していれば問題ありませんが、理解せずになんとなくの場合は、少し立ち止まって勉強する必要があります。
IMFは警戒感
国際通貨基金(IMF)は、最近の株価にたいしてこのような警戒感を示しています。
「実体経済と乖離、割高感がある」
実体経済は、現在非常に悪くなっています。
実体経済というのは、簡単に説明すれば景気のことです。普通に考えて、新型コロナウイルスが世界中で蔓延する中で、世界全体の景気が良いわけがありません。ロックダウンで経済がマヒした国も多くありますし、日本も要請とはいえ、緊急事態宣言で多くの店やビジネエスが回らなくなりました。
このように経済がマヒした状態の中で、現在株価は上昇しているということです。ここにIMFは警戒感、気をつけた方がいいと考えているということです。
そして世界成長率も下方修正しています。4月はマイナス3%でしたが、6月の状況を見てマイナス4.9%になるとの見立てです。このマイナス4.9%は、新型コロナウィルスの影響はもちろんなのですが、思った以上に回復していかない経済実態ということもあります。この中には、第二波が既に襲っている国やエリアもあります。1930年の大恐慌以来の不況に陥るということです。
カリフォルニア州「財政非常事態を宣言」
米国最大の人口のカリフォルニア州。ニューサム知事は、財政非常事態を宣言しました。これは、新型コロナウィルスの影響で、コロナ関連にかかったコスト、そして景気の悪化を押し上げています。特段にカリフォルニア州が悪かったのでしょうか?
他国、特に新興国などは、財政破綻にまで追い込まれる国が出てくると考えています。日本でも首都東京は、1兆円の財源を使ってしまったとのことですので、この辺も注目したいところです。しかしそれでも、自国通貨建ての国の場合は、通貨発行権があります。
じゃぶじゃぶ発行すれば良いわけではないですが、現状緊急事ということで、そうのような流れになっているのが、株価を下支えしている要因の1つでもあります。
金融経済と実体経済
投資をする上で、この双方をごっちゃにしてしまうとややこしくなってしまうのですが、金融経済といえば、現在のようなじゃぶじゃぶマネーなど、金融政策、財政政策などのことをいいます。今回は、先進国もトコトンこれらを徹底して行っています。
日本でいえば、日銀が徹底的にETF(投資信託)を買い支えることで、日経平均が下がりにくい状況を作り出しています。三大投資家の一人のジムロジャーズも、日本株を再投資していますが、その理由として「日銀が私よりもお金持ちだからだ」と上げています。
これは、なにを意味するのか?といいますと、買う人がいれば、株価は上がるということです。さらに上で買う人がいればもっと上がります。
そのバックに日銀がいるということですので、売りか買いかでいえば買いだろ?ということです。しかし、実体経済は前述のように低迷しています。そして、この低迷はまだまだ深いものになるだろうと考えられます。
投資する上で、ニュースでは買わない
投資を行う上で、混乱してしまうのが、日々流れるニュースによる過多な情報です。投資を始めると急に日経新聞を読み始めるという極端な人もいますが、これは逆効果です。
もちろん、大人として社会人として、日々のニュースを把握しておくことは大切です。しかし、それを投資とリンクさせてしまうと頭が混乱する要因になります。
ニュースで歓喜し、ニュースで悲観的になるとマーケットの歪みが分からなくなってきます。どの情報で現在動いているのか?の訓練はしてもいいですが、持続して方向を決めるのには、よほど大きなニュースのときということです。
一喜一憂していると疲れてしまいます。
直近のヘッドライン
2月24日からの暴落は、直近のヘッドラインと言えますが、これは単純に新型コロナウィルスをマーケットが甘く見ていたということで、コロナが周知されたときにリスクオフで下がることになりました。そして、売りが売りを呼び、株式市場から多くの資金が撤退する動きとなりました。
では、そのあとに底打ちとなった3月半ばからはどうでしょうか。これも漠然とした要因ですが、世界各国の金融政策、じゃぶじゃぶマネーが投資家の後押しとなり、それならば買っていってもいいのではないか?という考え、さらに新型コロナウィルスによる、経済の低迷や感染の最悪期は脱したという、楽観視の中から生まれています。
まだまだこの買い上げは続くともいわれていますが、注意しておきたいのが第二波懸念です。株価が暴落した際に必ずニュースとなるのが「第二波懸念」。これは、下落した理由付けに過ぎないかも知れませんが、実際米国テキサス州、ヒューストンでは、集中治療室(ICU)の受け入れが限界となってきています。
全てのニュースを疑う
僕たちは、ニュースを得ることしか出来ません。しかし、ニュースを意図的に操る側がいるということも覚えておく必要があります。フェイクニュースで、株価が動く場合があります。では、なぜそのようなフェイクが流れるのか?
それを流して得をする人がいるからです。このように経済ニュースだけでなく、時事ネタもですが、投資の思惑とは全く逆に行くこともありますので、まずご自身が何を基準として、投資をしているのか?の軸をしっかりと持つ必要があります。
毎週1回情報をまとめてお送りします。
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