今日のポイント

AI株は反発しましたが、資本コストは下がっていません。 今日の上昇は地政学・インフレ・金利リスクが後退した相場ではなく、大型決算への期待がそれらを一時的に上回った相場です。投資家が確認すべきなのは株価の反発幅ではなく、今週の決算でAI投資が実際の売上・利益・キャッシュフローに変わっているかです。

過去24時間の市場ダイジェスト

S&P 500

S&P 500は7,509.20で取引を終え、前日比0.89%上昇しました。半導体株の急反発に加え、通期利益見通しを引き上げた3Mなどの工業株も指数を押し上げ、値上がり銘柄数は値下がり銘柄数を上回りました。一方、原油と長期金利がともに上昇するなかでの株高であり、出来高も直近平均を下回ったため、全面的なリスクオンというより決算前のポジション調整という面が残ります。

ナスダック指数

ナスダック総合指数は25,837.21となり、前日比1.29%上昇しました。サンディスクが14.3%、ウエスタンデジタルが12.5%、マイクロンが12.2%上昇するなど、直近で売られていたメモリー・半導体関連株への買い戻しが主導しました。中国AIへの競争懸念で崩れていたAI投資テーマがいったん持ち直しましたが、Alphabet、Tesla、Intelなどの決算を通過するまでは、持続的な上昇への転換とまでは判断しにくい状況です。

米国10年債利回り

米国10年債利回りは4.6280%となり、前日比では0.65%上昇しました。米経済指標が少ないなか、ブレント原油が1バレル90ドルを上回り、エネルギー価格がインフレを再加速させるとの警戒から国債が売られました。株式市場がAI期待で上昇する一方、債券市場では次回FOMCの据え置きだけでなく、その後の追加利上げリスクを織り込み始めており、両市場の温度差が広がっています。

ビットコイン

ビットコインは66,280ドルとなり、過去24時間で1.82%上昇しました。半導体株の反発によるリスク選好の回復に加え、米国の現物ビットコインETFが5営業日連続で資金流入となり、累計流入額が6億ドルを超えたことが買い材料となりました。ただし、取引活動は依然として低調で、66,600ドル付近からは上値が重く、次の重要な抵抗帯とされる68,000ドルを出来高を伴って突破できるかが焦点です。

過去24時間の重要経済・金融ニュース

半導体株が急反発 大型テック決算、AI相場再始動の試金石に

米国市場では半導体株指数が約5%上昇し、3日間続いたテクノロジー株の下落にいったん歯止めがかかりました。直近の売りは、中国企業による低コストAIモデルの進歩や、米国企業の巨額な設備投資が十分な利益を生むのかという疑念から生じていました。21日はメモリー関連株を中心に買い戻されましたが、これはAI需要の強さが新たに確認されたというより、大型決算を前にした期待の回復です。今後はAlphabetのAI設備投資、クラウド成長率、モデル運用コストなどが、Nvidiaや半導体装置株を含む幅広い銘柄に影響します。TeslaについてもAI・自動運転投資と本業の収益性のバランスが問われます。決算で売上や受注が伸びても、設備投資や減価償却費がそれ以上に増えれば、株価には十分な追い風となりません。投資家は単なるAI関連売上ではなく、投資額に対する利益とフリーキャッシュフローの改善を確認する必要があります。

FRB年内据え置き予想は維持 それでも利上げリスク評価が急上昇

Reutersの最新調査では、回答した104人のエコノミスト全員が7月28~29日のFOMCで政策金利を3.50~3.75%に据え置くと予想しました。一方、年内の利上げ可能性を「高い」と回答した割合は、追加質問に答えた67人中44人、約66%に達しました。前月は利上げ可能性を低いとみる回答が多数だったため、見通しの方向は明確に変化しています。背景には、中東情勢を受けた原油価格の約25%上昇と、インフレ率がなおFRB目標の約2倍にあることがあります。昨日までの焦点がウォーシュ議長の情報発信の少なさだったのに対し、今日は経済予測そのものが利上げ方向へ動いた点が重要です。金利上昇は高PERの成長株、不動産、住宅、自動車、借入依存度の高い中小型株に特に影響します。次に確認すべきなのは原油とガソリン価格、期待インフレ、7月FOMC声明に追加利上げを示唆する表現が入るかです。

中国、AIモデルと半導体の輸出規制を検討 技術封鎖は双方向へ

中国当局が、高性能AIモデル、学習用データ、半導体設計などに対する輸出規制の強化を検討していると報じられました。商務省はAlibaba、ByteDance、Zhipuなどと協議し、モデルの重みや重要データを国外へ移転・ダウンロードすることを制限する案を検討しています。さらに、Huaweiなど中国企業の設計を用いた先端半導体を、TSMCやQualcommなど海外企業が製造することへの規制も議論されています。これまでAI輸出規制は主に米国が中国への先端チップ供給を制限する構図でしたが、中国側も自国のモデルや設計技術を戦略資産として囲い込み始めています。短期的には中国AI企業の希少性を高める可能性がある一方、海外展開やオープンソース戦略には逆風です。TSMC、Qualcomm、クラウド企業、AIモデルを中国から調達する企業には、コンプライアンスと供給網の複雑化が新たなコストになります。規制案はまだ検討段階であるため、対象技術の範囲と、モデルの公開・海外推論サービスまで規制されるかを確認する必要があります。

ブラックロック連合、400億ドルのデータセンター買収完了 AI投資は巨大インフラ金融へ

BlackRock傘下のGlobal Infrastructure PartnersとアブダビのMGXなどによる連合が、Aligned Data Centersを約400億ドルで買収する取引を完了しました。同時に50億ドルの追加成長資金を投入し、AI向けデータセンターの拡張を進めます。Alignedは世界で51拠点、稼働中・計画中を合わせて6.4ギガワット超の設備容量を持つ大手事業者です。さらに投資連合は、当初300億ドルの株式資本を投入し、借入を含めて最大1,000億ドル規模の投資を動員する構想を示しています。これはAI投資が半導体企業や大手テック企業の設備投資だけでなく、インフラファンド、政府系資金、銀行融資、社債市場へ広がっていることを示します。AI需要が続けば電力、送配電、冷却設備、建設、データセンター運営企業に長期的な需要が生まれますが、需要予測が外れた場合は債務と設備過剰が金融市場へ波及します。投資家はAI向け受注額だけでなく、稼働率、電力確保、顧客の契約期間、負債比率、資金調達金利を追う必要があります。