先週はトランプ関税に世界中の金融市場が掻き回されました。
関税の発動、延期により、日本株もまるでジェットコースターのような値動きです。
相互関税による日本の物価への影響は?
相互関税の影響で、日本のGDPは1年で0.71%押し下げられると試算されています。額にすると約4兆円です。
さらに、相互関税が他国に及ぶ影響を考慮すると、日本のGDPは0.82%、額にして約5兆円分が押し下げられますことになります。
今後、貿易赤字が解消されなければ、トランプ氏は関税率をさらに引き上げる可能性があり、試算上、米国の対日貿易赤字を解消するためには、日本からの輸入品全体に対して60%の関税を課す必要があります。
日本の経済は悪化する
日本のGDPは1.4%(約8兆円)減となり、完全にマイナス成長となり、経済は相当に悪化することになります。
現在は一時的に円高・ドル安に進んでいますので、短期的にみれば物価への影響は小さいです。
しかし、関税の影響によって米国内でスタグフレーションが発生し、不況と物価上昇の両方が進む可能性は高く、同様に日本でもスタグフレーションに陥る可能性が高いです。
原材料を米国産に頼っている品目は、値上げが不可避となり、現在の物価高で、コロナ前と比べて食料品の値段は上昇していますが、さらに全体的に20%程度上昇することは覚悟しておいた方がよいでしょう。
農林中金と中国による米国債の売却で金利は急騰!!
米国10年債金利はトランプ大統領、ベッセント財務長官就任前は4.8%台でした。
ベッセント財務長官がとにかく一番重要だといっていたことが国債金利を下げることです。
今のアメリカは国の借金の返済のために借金を積み上げているからです。このままでは確実に立ちいかなくなります。
今までのアメリカの政治家はこの問題を先延ばししてきました。
20世紀最大の経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が『貨幣論集』で次のように言っています。
” 将来の失業について責められる政治家は、インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。”
日本の政治家もそうですが、アメリカの過去の政治家も同様で問題を先延ばししてきたわけです。
ここに大ナタを振るったのがベッセント財務長官であり、就任後10年債金利は一時は3.89%まで低下しました。
しかし、アメリカの各国に対しての強行的な関税政策により、各国、特に中国のアメリカからの資産逃避が続き、10年債金利は再度上昇し、現在は4.497%をつけています。
更なる各国の売りが続くようであれば、国債金利は5%に近づき、これは株式市場も更に下落する展開となりますし、アメリカからの資産離れが加速しますので、要注意です。
中国への145%の関税に対し、中国はアメリカに125%の関税をかけました。米中貿易戦争の拡大は世界経済、金融市場をこのあとも大きく揺るがすことは確実です。
預金封鎖と通貨切り下げ:その時、あなたの銀行口座は?資産はどうなる?
トランプ大統領の世界各国による関税政策は確実に各国にインフレを巻き起こします。そのような中、日本では全ての政党がばら撒き策を打ち出しています。
日本の財政は世界でもダントツに悪い状況の中で、更なるばら撒きを行えば、日本の財政は更に悪化します。
現在、日銀は大量の国債を抱え、巨額の含み損が発生しています。財政状況は世界でダントツに悪いにも関わらず、相変わらずのばら撒きが行われています。
積み上がった借金問題を解決するために、インフレを容認し、インフレ税で国民の金融資産を国の借金と実質的な相殺を行っています。
そして、社会保険等の負担をじわじわと増し続け、多くの国民生活を真綿で首を絞めるように厳しくさせています。
しかし、日本国債の格付けが下がり、国債が暴落すれば、今までのようなスピードでは追いつけず、より過激な策を行う可能性もゼロではありません。
1945年8月の終戦により、日本経済は壊滅的状況に陥りました。
生産力は著しく低下し(工業生産は戦前比で半分以下)、深刻な物資不足から急激なインフレが始まります。
1946年になると、敗戦による政府財政の悪化と復員・引揚者への支払い、賃金補填など巨額の支出を日銀引受の赤字国債で賄ったため、通貨の価値は急速に下落し、ハイパーインフレが本格化しました。
政府はインフレ抑制策として2月に「金融緊急措置令」を公布し、「預金封鎖」と「新円切替」を断行します。これは紙幣を強制的に銀行へ預けさせ旧円を無効化し、生活費用途に限り新円での引き出しを認めるという措置でした。
具体的には、封鎖預金から引き出せる上限は世帯主月300円、家族一人あたり月100円のみとされ(当時の大卒初任給約500円)、事実上それ以上の貯蓄は凍結されました。
国民の資産が強制的に吸い上げられた
この預金封鎖と同時に、3月には財産税(一度限りの資産課税)が実施され、10万円超の資産に最大90%もの課税が課されることになります。
ようは国民の保有する資産を強制的に国が吸い上げてしまったのです。実質的に10年間近く多くの国民は乞食状態まで落ちたことがわかります。
今の時代に預金封鎖ということは考えにくいですが、海外への資産持ち出しを規制したり、海外にある資産については報告義務が必要になったり、海外送金のハードルが高まったりと、確実に資金の移動への規制は厳しくなっています。
さらにはマイナンバーカードの導入など、全ての日本人の資産を確実に把握する政策は進んでいます。
国の財政が更に悪化した段階では、資産税が導入されることは想定しておくべきでしょう。紙幣の価値下落とインフレリスクに加えて、これに対する対策は?
金とBTCの購入&保有が重要になる!
金の現物保有、そして海外取引所でのBTC購入&保有。この2つが重要になりそうです。
金の価格は5年で米ドル換算で約2倍となっています。
このあともトランプ大統領の発言、Tweetで金融市場は非常にボラティリティの高い展開が続くことが予想されますので、大きな波を捉え、ドルコスト平均法で買っていくのが正解でしょうね。
毎週1回情報をまとめてお送りします。

AI TRUSTでは日々の金融市場に影響を与えるニュースを独自の視点から解説を行っています。是非ご自身の投資指標としてご活用ください!!