週間市場動向

災害リスクを改めて考える

台風10号が迷走しています。

これだけ長期間居座る台風も本当に珍しいですが、台風付近のエリアだけではなく、日本中の至る所に豪雨をもたらし被害を出しています。

地球温暖化による海面温度の上昇により、台風もより大型化し、被害もそれによって拡大傾向となります。

台風10号での被害

今日は改めて災害リスクとその対応について考えてみたいと思います。

駅弁工場「損失2000万円」売れ残りは廃棄

新幹線が数日に渡り運転を停止し、大雨によって長時間停車し、各駅で駅弁を販売する工場では多額の損失を出しています。

兵庫県姫路市のある食品会社では、駅弁は姫路駅など、新幹線の停車駅で販売していますが、台風で新幹線が運休する度に大きな影響がでて、売れ残った場合も全て廃棄となり、先月は2,000万円近い損失が出ていると言います。

迂回して帰宅 コストも時間も大幅増

新幹線が停止し、飛行機も多くのフライトが取りやめになったことで、どうしても目的地に行かなければならない、戻らなければならない人たちは大幅な迂回ルートをとって帰ることになります。

普段であれば1時間で行ける場所が10時間以上かかっていることもあるそうです。

外せない仕事があって名古屋から東京に戻ってきた人では、普段新幹線であれば11,000円に対して、タクシーで15万円程度かかったそうです。

日本各地で記録的な大雨 → 人的被害拡大

神奈川県では、台風10号と暖かく湿った空気による記録的大雨で、1日朝までの72時間に観測された雨量が、小田原市、海老名市、相模原市中央区、平塚市の計4地点で観測史上最多を更新しました。

小田原市では平年の8月1カ月分の約3倍の雨が降ったそうです。

今回の大雨で総雨量が神奈川県内最多となっている小田原市では1日午前8時現在、72時間雨量が528.5ミリを記録。1976年の統計開始以降で最多となりました。

そして、神奈川県だけでなく、九州から北海道まで至る所で同様に記録的な大雨となっています。

台風10号による人的被害は、31日時点で、これまでに6人が死亡、127人がけがをし、1人の行方がわからなくなっています。

過去の大型台風と比較して、人的被害に関しては、防災意識の高まりもあり、比較的低く抑えられていると考えられます。

しかし、駅弁や移動については極一部の例であり、経済的な損失は非常に大きなものになっています。

日本各地で工場停止

トヨタ自動車は30日、グループ会社を含めた国内全14工場の稼働停止を9月2日午前まで継続すると発表しました。 台風10号の接近に伴い、一部ラインを除いて28日から停止していました。9月2日夕方以降の稼働については、同日午前に判断するといいます。

自動車ではこのほか、ホンダや日産自動車、マツダなども九州や本州西部の工場を30日まで停止しました。三菱電機やセイコーエプソンなどの機械メーカーや、ビール各社も九州を中心に工場の操業を取りやめました。

経済活動が滞れば何が起こるのか?

日本の経済成長にはマイナスに働き、企業の停止により企業業績が従来予想を下回れば、株価下落の要因となります。

物流も混乱

今回の台風10号の影響で、日本郵政グループは九州7県と四国3県、山口県の全郵便局で、窓口業務と配達を休止しました。ヤマト運輸や佐川急便も九州で荷物の配達や預かりを停止しました。

携帯大手各社によると、基地局の停電などを受けて九州の一部で携帯電話がつながりにくい事態が生じたそうです。

コンビニでは、セブン―イレブンが九州や山口県などの約1,100店舗を一時休業。ローソンやファミリーマートも九州南部を中心に大規模休業を強いられました。イオンは九州の一部グループ店で臨時休業。

家電量販店のビックカメラやケーズデンキの一部店舗も営業を休止しました。

物流が止まり、携帯が繋がりにくくなり、スーパーやコンビニが休みになる ”

普段の当たり前だと感じている便利な生活というのは、実は今後は定期的に発生する巨大災害時には機能しなくなるということです。

台風であればその影響は数日から1週間程度で済む場合もあるでしょうが、巨大地震が起これば、数週間、数ヶ月と不便な生活を強いられることになります。

日本の財政は大災害でも大丈夫なのか?

実は何よりも深刻なのは、ただでさえ悪化し続けている日本の財政は、大災害に対して全く余力がないということです。

日本の財政は安全保障環境の変化を受けた防衛費の拡充が続き、社会保障費も増加が止まりません。

南海トラフ地震や首都直下型地震、気候変動に伴う激甚災害に対応する財政余力には非常に不安が残ります。

8月には南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」が発表されました。巨大地震の被害額は政府の試算で230兆円ほどに上ります。

これは東日本大震災の10倍以上となります。

普通国債に加え、一時的な資金不足を補うための政府短期証券や、借入金などをあわせた広い意味での「国の借金」は2023年度末で1286兆4520億円に膨らんでいます。

巨大地震の発生後、復興のための資金が数百兆円必要になった時、新たな巨額の国債を発行しようとしても、到底買い手がいるようには思えません。

上記は2021年度までの国債発行残高と金利の関係です。

今までは金利がほぼかからない状況の中で、国債を発行し、お金をじゃぶじゃぶばら撒いてきました。

しかし、現在日銀は利上げを行い、さらにこのあとも金利を上げると言っています。状況が今までと全く異なるのです。

巨額の国債の追加発行を行おうとすれば、国債金利は急騰することになるでしょう。

そして、日本株は暴落するリスクが高いです。

8月上旬の日本株の暴落を思い出してください。

ほんのわずかな利上げを行っただけで日本株は大暴落しました。

大災害の本当のリスクは?

定期的に起こる様々な災害を自らに対しての戒めとし、その度に起こり得るリスクについて深く考える必要があります。

自らにかかる身の危険を守ること。食糧や水、生活用品を前もって確保しておくこと。避難の際のルート、さらには自らが住む災害危険度を理解しておくこと。この辺りは基本中の基本です。

そして、より次のステップとして、災害による自らの資産のリスクを理解すべきです。

特に日本株を保有する方は非常に大きな影響を受けることになります。

巨大震災発生

巨額の復興支援国債発行

国債買い手不在で国債急落、金利急騰

日本株暴落、円安、日本の財政の更なる大幅悪化

日本国債は暴落、日本株はさらに暴落、超円安

このシナリオが大いに考えられることを理解し、そのリスクからの身を守ること、資産を守る方法を築き上げていきましょう。

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