日本在住の日本人が海外で銀行口座を作るハードルは非常に高くなっています。
香港・マカオ・タイ・中国等等、それぞれの国のビザを保有していなければほぼ作れないといっても過言ではありません。
昨日はコロナ禍前以来、久々に香港に行ってきました。今回は個人で保有するファンド(法人)の投資口座の書類の関連で銀行で打ち合わせがありました。
この状況をレポート化してみたいと思います。
タイから香港へ
タイの自宅にはエリートビザを保有する関係でBMWの7クラスが向かいに来てくれます。そして、スワナプーム空港ではプライオリティラインを通過できますので、イミグレもスムーズです。
スワナプーム空港は早朝6時前というのに多くの人で賑わっていました。
今回はバンコクエアラインを利用しましたが、ほぼ満席で、驚いたことに半分以上は中国人でした。マンダリンで皆さん話をされてましたので、香港人ではなく中国本土から旅行客でした。
香港までのフライト時間は2時間10分。アジアは本当に近いです。
香港到着後もイミグレはスムーズで、そのまま鉄道で香港島まで。そして、そこから地下鉄で湾仔まで向かいます。
香港での銀行口座開設のハードルは高い
香港の金融コンサルティング会社の担当者とともに銀行に入りました。
口座開設には香港もしくはマカオのビザが必要
銀行ではいつもの担当者と様々やりとり。日本人の新規口座開設についても別の担当者と話をしました。
今は香港もしくはマカオのビザを保有していなければ一切銀行口座開設は無理だという回答。
香港での銀行口座開設のハードルは高いです。
香港の銀行口座では米国株や中国株、ファンドも購入可能
ちなみに香港の銀行口座では中国株と米国株。さらには世界中のファンドの購入もできます。それ以外にも様々な投資商品も購入できますが、それらは特に興味もありません。
当然インターネットバンキングもつながっていますので、この口座から世界中の自分の口座にも必要資金は送金できますし、特に個人口座を別に持つ必要もありません。
個人口座を別で作る場合、英語の居住証明書が重要で、タイ、フィリピン、ベトナム等の国の住所ではアウト。理由としては税務整備が甘い国は銀行として認められず、先々口座を閉じられる可能性が高いということでした。
日本の居住証明を英語で準備すればOKなのですが、その場合、日本の税務署に情報が全て報告されるということです。
非居住者ですから別に気にする必要もありませんが、あまり気持ちの良いものでは正直ありませんね。
銀行も長期的な円安をトレンドとして見ている
銀行の投資部門としての日本株への投資姿勢も聞きましたが、積極的ではありますが、長期的な円安をトレンドとしてみており、円を日本国内で低金利で調達したうえで、その円を使って日本株を買っているということでした。
利息はほとんどかかりませんし、長期的に大きな円安になれば、香港の資金を使って返済を進めてもいいし、株価が大きく上昇すれば売却も可能です。
継続的に配当を取り続け、配当の受け取り分で利息を払い続けても良いし、リスクは非常に低い効果的だと言っていました。
確かに香港やシンガポールの銀行の投資部門にとっては円の日本国内調達は効率的だと考えられますね。
香港人・中国人の日本の不動産投資について
香港の銀行の担当者は中国人の富裕層を顧客に多く持っています。
彼らの多くが日本の不動産には既に投資を行っており、今後も継続的に行っていく予定だということでした。
旅館、ホテル等を香港で保有するプライベートファンドで買うファミリーも多いということです。世界中の富裕層が行うファミリーオフィスと同じ方法です。
自分も香港のファンド法人で不動産を保有していますが、資産相続という面でこの方法は非常に有効です。夫婦で法人の株主になっておけば片方が死んでも相続は発生しませんから。
子供達にも時間をかけて生前贈与の枠で株の名義を移していけば、長期にわたって万全の相続対策にもなります。
円安で日本の不動産は割安
中国人富裕層の日本の不動産買いの話の続きですが、都心、大阪、京都、札幌、福岡、名古屋のマンションの人気は高く、数億円程度の物件はほぼ全てキャッシュで買っているということです。やはり円安の影響が大きく、彼らにとっては非常に割安だということでした。
そして、中国本土から資金を分散させたいというのも大きな理由です。多くの中国の富裕層自体が中国という国、共産党という体制を信じられないのだと改めて思わされました。
中国の富裕層の多くは子供達をアメリカ、イギリスなどに留学をさせます。そして以前は海亀族と言われ、留学後は中国に戻って中国で起業、就労していたそうですが、今は海外から戻らず、そのままアメリカのシリコンバレー等で就業、企業し続けるパターンが多いのだそうです。中国の様々な規制に嫌気をさしているのでしょうね。
アジアの富裕層は日本に住みたい
そして、彼らにとっての理想は、アーリーリタイアメントできれば、日本に住みたいのだそうです。
中国本土、香港、マカオ以外では、最も中華料理の質が高く、空気が綺麗で、自然に溢れ、食事も美味しく、安全。その上で物価も安いと来ていますから、中国人富裕層にとっては日本はエルドラドなのです。
しかし、今回、このことを聞いて、改めて日本の高級不動産の多くは、この先は継続的に中国、香港、マカオ、シンガポールをはじめとする、アジアの富裕層が購入し続け、彼らのものになっていくのだろうなと感じさせられましたね。
このこと自体は決して悪いことではなく、彼らが多くのお金を日本で使ってくれれば、日本の景気向上には良いことです。
しかし、恩恵を受ける日本人は限られ、二極化の流れはますます広がるのだなということは確信させられました。