先週金曜日に南アで発表された新型コロナの変異種により、世界の金融市場は大きく揺さぶられました。東京株式市場、NY株式市場も急落し、115円台だったドル円は一気に113円台半ばまで急速な円高が進んだと思えば、そこから一気に1円円安に戻すなど不安定な動きが続きます。
週明けの東京市場では113円台後半で推移していますが今週は為替の大きな変動にも注意が必要となりそうです。
暗号通貨市場では先週の金曜日、BTCが6万ドルを回復すれば調整期終了かという場面で、このニュースが流れたことでBTCの10%程度の急落が起こり、アルトコイン市場は更なる下げとなりました。
夜半のニュースでオミクロン株は軽症の場合が多いこと。対応するワクチンは2022年初頭にも開発できるというニュースも流れ、暗号通貨市場は反発し、BTCは57,000ドル台に回復していますが、慎重に見極める必要があります。
オミクロン株とは?
WHO=世界保健機関は11月26日、専門家などによる緊急の会合を開き、南アフリカで確認された新たな変異ウイルスについて「懸念される変異株」に指定したと発表しました。指定の理由について、WHOは、現時点で得られている科学的な根拠からほかの「懸念される変異株」に比べ、再感染のリスクが高まることが示されているなどとしています。
WHOで新型コロナウイルス対策の技術責任者を務めるバンケルコフ氏は、オミクロン株について「数多くの変異が生じており、中には懸念される特性を持つものもある」と述べたうえで感染力や重症化のリスク、診断やワクチンの効果への影響などについて各国で研究を進めていることを明らかにしました。
感染が世界に広がったわけではないのになぜ市場はこのニュースに反応したのか?
日本の株式市場の場合、米市場が休みだったこともあり、リスク回避からの換金売りが続いたことが要因にあります。アメリカ株式市場の場合、休日を挟んだこともあり、薄商いの中でリスク回避の動きが広がったことが大きな下落の要因でした。
過剰流動性バブルの中で、株式市場は特に欧米では大きな上昇が継続していましたので、リスクマネーは驚くほど早く逃げていきます。
これも金融バブルの終盤近くの局面ではよくあることです。
どこまでオミクロン株は広がるのか?
既に南ア周辺国だけでなく、欧州各国でもオミクロン株は見つかっています。
オランダ保健当局は27日、南アフリカからアムステルダムのスキポール空港に26日到着した航空便2便に乗っていた600人のうち61人が、新型コロナウイルス検査で陽性反応を示したと明らかにした。
新たな変異株「オミクロン株」の感染かどうか分析を急いでいるとのことですが、感染者の多くがオミクロン株に感染していたとすれば、感染力は今までの変異種と比較にならないほど強いウイルスの可能性があります。深夜のニュースで61人のうちオミクロン株の感染者は13人と発表され、これによる安心感が暗号通貨市場を押し上げた形となりました。
他の空港では空気感染の例も既に出ており、既にコロナ感染が広がっているオミクロン株が欧州で広がるようであれば、新たなロックダウンも行われることになるでしょうし、欧州の経済成長は急速に落ち込むことになるでしょう。
移動制限が改めて厳しくなる
オミクロン株がアフリカ・欧州で蔓延し始めれば、各都市でのロックダウンも行われますが、国家間の移動は再度厳しい移動規制が引かれることになるでしょう。アメリカのバイデン政権はただでさえ人気が下がっていますから、ここで経済が大きく落ち込むようなことがあれば、来年の中間選挙は一段と厳しい局面になりますから、各国からの入国制限には厳しい姿勢で臨むことになるでしょう。
日本ではコロナ感染が収束した状況にあったものが、国内でオミクロン株のコロナ患者が発見され、感染拡大となると、以前のような行動規制が引かれることになるでしょうし、旅行業、飲食業を中心として、いよいよ持たない・・・破綻、倒産が相次ぐ可能性が高まり、国内経済は再度大きく落ち込むことも覚悟すべきでしょう。
金融市場は短期的にどうなる?
週明けの市場は感染拡大の状況を様子見する展開となりますが、週明けの東京株式市場は大幅安で始まっています。リスク回避からの投げ売りが続く可能性も高く、慎重な投資姿勢が重要です。
金融緩和政策は続くことに
短期的に市場はショック安が起こったとしても、コロナ感染拡大による経済の悪化、移動規制、失業率の高止まり等が起これば、各国は金利政策を修正せざるを得ません。
少なくとも、量的緩和縮小、金利上昇局面は世界で先延ばしされることになるでしょう。一時的なショック安が起こったとしても、世界で余った行き場のない資金は再度金融市場に戻ってくることになり、金融市場の再上昇につながることになるでしょう。
悪い円安・世界でのスタグフレーションの広がり
一時的に円高にはなりましたが、基本的には円安の基調は変わらないと考えています。経済活動の落ち込みを予測した原油価格の急落が起こりましたが、世界中での物価高の傾向も変わらないでしょう。
経済が悪化する中での物価高は世界各国の中産階級以下の世帯を苦しめることになりますので、更なる金融支援・ばら撒きが行われる可能性もあります。紙幣を刷り続けることで問題の先延ばしを行い続ける。金融資本経済がいよいよ限界に来ているように思います。
暗号通貨市場は?
9月末からの成長期は終了し、今は調整期に入っています。この調整期は短期的に終了すると考えていましたが、オミクロン株の影響については想定外となりますので、慎重に見極める必要があります。
ただし、金融引締めが先延ばしされることになれば、結局は余った資金は金融市場に流れ込んできますので、暗号通貨市場も調整のあと、再度の成長期はまだまだ続くと考えています。
ただし!!
オミクロン株の感染力が爆発的に強く、既存のワクチンの効果が低く、重症化率、死亡率が大きく上昇するようなことになれば、筋書きは大きく変わります。昨年の1月から3月の時のような大きな下落が市場を襲うリスクもあります。
世界経済は大きく後退することになり、需要の縮小により資源価格も大きく下落するでしょう。アメリカではバイデン政権下で既に大きな経済対策を2つ行うことになっていますし、日本でも岸田政権下で過去最大の55.7兆円の経済対策を行なっています。
オミクロン株の世界的な蔓延の中で、日米でも感染拡大が広がった場合、” 追加対策を打てるのか? ” この点は疑問です。
「紙幣への信頼はますます失われていく・・・・」そう感じます。
そうなった時、金融市場の大きな調整があり、暗号通貨市場が大暴落したとしても、非中央集権・ブロックチェーンは世界中で支持・浸透は進み、多くの暗号通貨は淘汰される中で、選別された暗号通貨はより大きく価値を増していく事になると考えています。
今週の市場は本当に要注意です! 慎重な投資を心がけていきましょう。
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