気候変動などの異常気象が世界的に慢性的に発生し、異常事態が日常化しつつある。2019年の度重なる台風被害、オーストラリア、カリフォルニア、アマゾンの森林火災、この冬の日本の暖冬、2020年1月に入っても、国内では過去最高の雨量を記録し、本当に気候が年々おかしくなっていると誰もが感じているだろう。
昆布の価格が5年で1.5倍に
気候変動などの異常気象での影響は農作物の収穫や漁獲高にも大きく影響するが、昆布も地球温暖化の影響を受けている。国内の昆布の90%以上は北海道産であり、利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布などが有名で、取れる地域によって種類が違い、函館周辺でとれるものが真昆布になる。江戸時代には北前船で真昆布は大坂を始め各地に運ばれるようになり、それ以来、日本のだし文化を支えてきた。
最近の5年間で、実は真昆布の価格は1.5倍程度上昇をしているのだが、価格上昇の大きな原因は気候変動・地球温暖化にある。
地球温暖化に伴って北海道や東北地方で主要水産資源となっている昆布類は20世紀後半以降、分布域や生物量の大きな変化が観察されているが、今後の変動については十分な予測はされていなかった。
専門調査機関による調査が行われたが、驚くべき予測が出た。
北日本に分布する主要な昆布11種類について、既存の生物多様性データベースを用いて、1950年代から1980年代の出現記録を1958件抽出し、温暖化が顕著になる前の1980年代における各種の日本北部海域での分布確率の推定を行った。
昆布の生育適地が消失する可能性が出てきている
そして、今後の地球温暖化に関する2つのシナリオに基づき、2040年代、2090年代における分布の変化を予測した。
データから、1980年代には、広域に分布する真昆布は、三陸沿岸から北海道にかけての太平洋沿岸及び北海道の日本海沿岸域に広く分布し、海水温や波浪の強さ、自然海岸の割合などに影響を受けている。
将来予測の結果としては、11種類すべてで、今後、分布域が大幅に北上するか、生育適地が消失する可能性があることが予測された。
特に温暖化の進行が著しいとされるシナリオでは、2090年代には北日本におけるコンブの分布域は1980年代の0~25%になった。日本で昆布が取れなくなる可能性があるのだ。
今回の研究結果は、地球温暖化が現在のスピードで進行すると北日本の藻場が大きく変化し、生態系に負の影響を与えることを示している。真昆布(まこんぶ)は水産有用種であることから、昆布漁業や養殖業に与える影響も大きい事が懸念される。
現在、気候変動により昆布は年々漁獲量激減し、最後の豊作は2014年度だったが、その時と比べると、今の昆布は30分の1、40分の1の漁獲量しかない。
昆布の価格が高騰するのは当然と言えるのだ。
気候変動で投資対象に昆布が選ばれる?
昆布というのは保存状態が良ければ、10年、20年という単位でも使うことができる。
利尻昆布は20年以上寝かせた昆布もあるほど寝かせば寝かすほど美味しくなるといわれており、気候変動でで今後の漁獲量の増加が見込めない中、年々希少価値は増し、ワインやウイスキーのように、高額で取引されるようになるかもしれない。
保存、管理の問題はあるが、気候変動で昆布が投資対象となる可能性も十分に考えられる。
気候変動で株価が上がる可能性がある銘柄は?
保存、管理の手間を考えた場合、昆布を取り扱う上場企業の成長に期待し、株を買っておくという選択肢もある。
東証一部上場企業であるフジッコ株式会社は、兵庫県神戸市中央区港島中町に本社を置く日本の食品メーカーで、刻み昆布の「ふじっ子」を始め、加工煮豆の「おまめさん」、とろろ昆布の「純とろ」などで知られ、CM知名度も高く、全体の27.7%が昆布製品となっている。
※画像参照元:フジッコ会社概要(https://www.fujicco.co.jp/corp/info/company.html)
昆布の養殖技術も進んでおり、この分野での成長企業、ベンチャー企業が現れる可能性もある。フランス料理やイタリア料理でも昆布だしは使われるようになり、和食自体が世界中でも流行している今、この分野にも注目をしておくとよいだろう。
気候変動を食い止める技術を持つ企業、環境関連企業の継続的な成長、株価にも注目しつつ、異常気象により起こる現象の先にある投資の可能性というのも、先回りして意識すれば、高い投資成果を得ることにも繋がるのである。
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