近代以降の経済成長そのものが、バブル拡大ということも理解しておくべきでしょう。バブルを拡大することが経済を成長させ、大きくすることにつながっているのです。一人あたりのGDPの拡大は生活の向上につながります。
生活水準の上昇というのは贅沢品の購入ということです。これは大量消費社会の拡大ということで、まさに今のアメリカ型の資本主義と言えるわけです。この100年ほどは世界のリーダーはアメリカでした。だからこそ、アメリカ型の資本主義が世界に広がったわけです。
便利なものを金で買い、労働時間を解放することは余暇につながりました。そして余暇の拡大により高度経済成長を達成したわけです。無駄なことを多くの人が行うことが、行動経済成長を達成させたわけです。
価格構造はただの幻想
消費者が一旦その商品、サービスの価格を固定概念として受けいれてしまうと、それを前提として産業構造は成立することになります。いったん確立された産業構造はなかなか変えられません。これにより高コスト体質が出来上がってしまうのです。
今では100円均一に行けば様々な豊富な商品を買えます。しかしこれらの多くのものは、日本のバブル崩壊前後には、スーパーやデパート、雑貨店などで、500円、1000円だして買っていたものなのです。
ブランド品のセーターが、10万円という価格設定で消費者が受け入れるようになれば
価格はそれが常識となります。流通構造自体が10万円という商品の生産から販売までの構造で出来上がります。これはユニクロなどのSPA(製造小売一貫)が出てくるまで変わりませんでした。
それぞれの産業に関わる人たちが、その水準でお互いが居心地が良いため、あえてそれを崩そうとはしなかったのです。100円均一にしてもユニクロにしてもその ” 当たり前 ” を叩き壊したのです。それぞれのバブルを破裂させたのです。
今後は同じことが日本の産業の中核をなす自動車産業に起こる
自動車も最終的に同様になると考えるべきです。自動車は製造工程が複雑であるからこそ、下請け網が構築されてきました。ここに多くの雇用を発生させることができ、多くの企業群ができました。電気自動車が一般的になってしまえば、この下請け網自体が必要なくなってしまうわけです。
自動車産業というバブルが崩壊した時何が起こるのか?
大量の失業者が発生し、そこに国や自治体が巨大な支援策を講じることになるでしょう。法人税収も大きく減少することが考えられる中でのバラマキが行われるわけです。これにより財政破綻に一直線に向かうことになるわけです。
希望的観測は捨てよ【旅行・出張は元には戻らない】
安倍政権のもとで、東京五輪もあるし、インバウンドを新たな日本の産業の柱に育てようとし続けてきました。これに応えるように産業界もここに力を入れて、ホテルや旅館や交通関連、サービス業が備え、拡大してきました。しかしこれは今思えばインバウンドバブルだったと考えるべきでしょう。インバウンドバブルも終わりを告げて、元には戻らないと冷静に分析すべきです。
コロナが落ち着いても、まずは出張は元のようには戻りません。特に海外出張、そして海外への旅行は元には戻らないと考えられます。ビジネスの世界では、ネット会議が今まであまり用いられていませんでした。ビジネスでの海外出張はかっこいいイメージがあり、半ば自己満足のために行っていたわけです。
出張は非効率だという認識が定着
多くの人がかっこいいと思っているだろうと本人が思っているという自己満足です。本人は海外出張に行くことはモチベーションも高まるし、周りにも自慢できます。
” 顔を突き合わせて話をするから決まる・・”
確かに一部ではこれも間違いありませんが、コロナ長期化でテレワークが進み、日々ZOOM等を使って会議、顧客との打ち合わせを行えば、これが先入観でしかなかったことに多くの人は気付きました。
コロナ禍の中で、ZOOM会議を繰り返して行っていれば、その中でコミュニケーションをとり、お互いの意思疎通も十分にできるようになり、その方がずっと効率が良いことが今回多くの人が理解できたはずです。であれば、余分な移動時間とコストのかかる海外出張は圧倒的に減ることになるわけです。
個人の旅行ブームも終息
そして、同様に個人の旅行についてもコロナ明けの段階では、一時的なブームとはなるかもしれませんが、それは一時的なものに過ぎないと思います。GO TOキャンペーンがゴールデンウィーク明けには再スタートされるでしょうが、それによっての旅行の盛り上がりは大きく継続するものではないでしょう。
近場の国内旅行は安定したニーズはあるかもしれません。しかし継続的な海外旅行ブームはもう訪れないのではないかと感じます。富裕層、生活に余裕のある高齢者層は継続的に旅行にいくでしょうが、その他大勢の日本人にとり、旅行は贅沢なものであり、不要不急のお金使いになるでしょう。
海外旅行については落ち込みは長期化することは明確です。コロナによるアジア人に対してヘイト問題が欧米で大量に報告される中で、あえてそこにいきたいと思う人も少ないでしょう。
富裕層の別荘需要は増える
ただし富裕層が海外に別荘を持つ率は今後急速に上昇すると考えられます。日本だけに家があるリスクを、日本の財政破綻の近づきとともに、不安に思っている率が高まっているのですから。
ハワイをはじめとした日本人が住みやすい国、街は人気に拍車がかかるでしょう。円安が進み購入には不利なタイミングではありますが、過剰流動性バブルで恩恵を受けている富裕層にはあまり関係のない話です。
そしてインバウンドバブルはコロナ収束後、一時的には特に中国からは大きく伸びることになるでしょう。円安ですし、世界と比較して日本は物価安ですから、それを目当てに買い物に来る旅行者は継続するかもしれません。
インバウンドマーケットは縮小する
しかしそれがいつまでも継続するわけではないですし、世界中の多くの人は海外旅行自体を不要不急のものとして重要視しなくなり、インバウンドマーケット自体は縮小すると考えるべきでしょう。
買い物目当ての外国人は、飛行機便のたくさん出ている東京で十分でしょうし、地方観光地への外国人需要は京都など特別な街を除いては少なくなると考えるべきです。
経済の拡大自体がバブルであったという考え方を、今の過剰流動性バブルの最中だからこそ理解すべきなのです。
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