日経平均30年ぶり3万円はなぜ?
米国の株価につられるように、日経平均株価は上昇を続けており、30年ぶりの3万円台にのせました。3月3日現在、3万円を割れていますが、なぜコロナ禍で経済が厳しい状況下で、これだけ株価が上昇しているのか?疑問に思われる方も多いと思います。
今回は、金融市場におけるバブル崩壊は時期はいつ起こるのか?そして現在はバブルなのか?について解説します。
実体経済と金融経済
実体経済が痛んでいるのに、金融経済は好調(上昇)という乖離が指摘されますが、ここはある程度切り離して考える必要があります。日経平均株価の上昇には、日銀の買い支えなどもありますが、実は日本の個人投資家はあまりいません。海外勢が買い上げているというところが現状です。
日本は、投資にはまだまだ消極的な国です。日本の家計の金融資産は現在1,900兆円超と史上最高水準。現預金比率と株式投資等の比率は以下の通り
現預金比率
・日本:54.2%
・米国:13.7%
・ユーロ圏:34.9%
株式等比率
・日本:9.6%
・米国:32.5%
・ユーロ圏:17.2%
比較してみると、日本人がいかに守りを固めているのかが分かります。理由は、失われた30年。バブル崩壊やリーマンショックの記憶もあると考えられます。
2017年の仮想通貨バブル時、日本人が主導でしたが、今回は米国となっています。痛い思いを1度経験すると、離脱してしまう、悔しいことに日本の個人投資家は、海外勢からカモといわれていますが、ギャンブル的なスタンスで資産を一気に減らしてしまう投資の基礎的な思考にもあります。
日本がイケイケムード一色に染まった時期が、1989年12月が日経平均株価のピークでした。日経平均の30年の値動きは
・1989年:12月29日、3万8,957円(最高値)
↓
・2008年:10月28日、6,994円(バブル後最安値)
↓
・2021年:2月15日、30年ぶり3万円台回復
昨年のコロナショックと呼ばれる大暴落もありましたが、長いトレンドからいうとリーマンショック以降株価は、ジリジリと上昇している展開が続いています。この勢いでいうと、最高値を伺う展開になるのではないかと考えられます。これは、あくまでも金融市場という狭い枠内での出来事です。
リーマンショックとは全く異なる対応
どうしてもリーマンショックの暴落のイメージが拭えない中、中央銀行の対応が全く違うということは覚えておきたいところです。今回のパンデミックは、米国、世界の中央銀行が素早い金融緩和の動きに乗り出しました。
リーマンショック時は、大手銀行などの破綻、金融機関のマヒに対しての中央銀行の対応が遅れました。今回は、その反省点を1ヶ月で修正したと考えられます。この状況は、今もなお継続されています。
鍵を握るのは、米FRBパウエル議長のテーパリングのタイミングです。テーパリングとは、量的緩和を縮小する動きです。ただ現時点の発言を聞く限り、まだ先に考えているようです。それ以上に、2月末に下院で可決され現在上院で審議中の追加経済政策1.9兆ドル(約200兆円)に注目が集まります。
バブル相場は、崩壊しないとわからない
株価が上昇すると「バブル崩壊だ」などといった風潮が出ますが、僕自身バブル相場は終わらないとわからないと考えています。理由は、今の買われ過ぎ感に実体経済がどれだけ追いつくか?はわからないからです。
金融市場が先行する中で、次に実体経済が追いこうという動きが出ます。このバランスで実体経済との乖離は狭まるのですが、株価が下落するとすれば、次に実体経済のこれからの動向を見る必要があります。
グレートリセットでマネーの動きが変わる
世界的にグレートリセットの動きが加速する1年になります。グレートリセットは、ダボス会議のテーマにもなっており、今年のダボス会議は、コロナ禍で1月ではなく5月にシンガポールで開催されます。ここには世界を牽引する著名人が集結します。
グレートリセットは、アフターコロナの全ての世界経済が論点になりますが、大きなビジネスが生まれる軸となり、日本でもすでにグレートリセットを意識した動き、デジタル庁の創設や脱炭素にたいする動きなどが見られ、ここに投資マネーが流れます。金融市場もデジタル人民元の動向が意識されるところです。
勢いづく米個人投資家の動き
ロビンフッダーと呼ばれる人たちが話題になりましたが、もはや個人投資家ではない存在感となっています。米国では、投資をする人が多い中でさらに追加経済政策では、個人に対して1,400ドル(約15万円)の給付金が支給される動きとなっています。
上院次第で金額は減額される可能性はありますが、これは市場にとって大きな上昇要因と考えられます。理由は、過去2020年春に1,200ドル、年末に600ドルの給付金が支給されましたが、この後の金融市場は上昇しているためです。今回の1,400ドルは3回目かつ1番大きな金額となります。
バブルを振り返った最終局面の動き
バブルは崩壊しないとバブルではないとお伝えしましたが、値動き的に兆候はあります。異常な急騰が最終局面では現れることが多いです。直近でいえば2017年の仮想通貨バブルですが、価格がどんどん上昇する中で最後の上昇が1番大きな上昇を見せました。
この辺りを意識すると、最後の一段はまだ訪れていないように見受けられます。調整的な下げはあるでしょうが、この最後の大きな上昇が年内に起こるのではないかといわれています。米国の長期金利の上昇が懸念されていますが、経済対策や新型コロナワクチンの普及による楽観的な考えはまだ続く可能性があります。
ただ、これだけはいつ起こるか不明なのが、地政学・地質学リスクです。戦争や地震などの大災害が先進国など大都市で起こると一気に流れが変わりますし、この流れを利用してくる勢力もありますので、日頃から世界情勢についてのアンテナを張っておく必要があります。
投資格言に「頭と尻尾はくれてやれ」という言葉があります。これは利益を欲張るなという意味合いですが、利益が出ているのであれば欲張らずに現金化を意識することも常に心がけたいところですね。
*投資判断は、最終自己責任でお願いします。
バブルが崩壊した際の対策は下記の記事で解説しています。
ぜひこちらも目を通してみてください。
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