Amazonの利益の仕組みは違法
ユニコーン企業の多くは、Amazonのようにそれぞれの企業の領域における圧倒的なシェアを握る為、収益は度外視し、会員、登録者の拡大に走った。
ユニコーン企業に投資をする、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなども、短期的な収益など求めず、たくさんの資金を投入し、投下した資金をシェアを拡大、圧倒的な成長の為に使うように指示をしていた。
しかし、圧倒的なシェアを握っても、そもそもその事業領域が儲からないものであれば、株式市場での価値の増大は見込めず、ウーバーが良い事例である。
そして、Weworkに至っては、上場すること自体ができず、資金繰りにあえいでいる状況にある。
Amazonは巨額の売上にも関わらず赤字を出し続けたことで有名であり、2019年は1兆円以上の収益を上げつつもアメリカでは1円の税金も支払わなかったことが話題になっている。
Amazonの戦略は、最終的に競業相手を叩き潰して、市場を独占した後に膨大な利益をあげること目的としているのではないかと昨今は分析されている。
Amazonの利益を出さないビジネスモデルは、競業他社や競業サービスを全て叩き潰してAmazonが市場を独占した後に、ある日突然、商品の価格を上げ、多大な利益を得ることを目的としていると考えられている。
優位にある企業が市場から劣位の企業を追い出すために製造コストを下回る極端に低い価格を設定する、という行為は「predatory pricing(略奪的価格設定)」と呼ばれ、米国においては違法であるが、裁判で証明することが非常に難しい。
訴えを起こした人や会社はAmazonが製造コストを下回る価格で値付けを行っていること、そしてAmazonの行動が市場の独占に有利であることを証明しなければならない。
圧倒的なシェア独占に対して新たな法律が制定される
Amazonは既に1億人のAmazonプライムユーザーを持ち、全eコマースのうち45%を占めるという独占に近い状態を作りあげている。
しかし、略奪的価格設定を成功させるには、損失が出るほど著しく低い価格で商品を売ることによって築き上げた独占状態から、利益を生み出す必要がある。
この低価格という部分を捨てずに利益を得るために、Amazonはサプライヤーが実質的に物を売ることができない状態を作り出そうとしているのではないだろうか。
サードパーティーセラー売上は約1兆5000億円、全体の58%
Amazonは自社商品だけではなく卸売業者を介した商品も販売しており、サードパーティーセラーによる売上はAmazonマーケットプレイス全体の58%にのぼる。
これらサードパーティーは、対価を支払うことでAmazonに在庫管理を行ってもらい、広大なロジスティクス・ネットワークを利用しての発送を行うことが可能になる。
このような “ フルフィルメントby Amazon(FBA) “ やショップの利用料によるAmazonの収益は年々増加しており、2018年第4四半期の貸借対照表では、サードパーティーからの売上は約1兆5000億円にまで成長している。
これは、Amazonの売上の5分の1がマーケットプレイスやFBAから来ていることを意味する。
Amazonは何千という卸売業者から商品を直接購入して販売するという行為をやめ、サードパーティーによる販売を推奨する形へと方向転換している。
これによりAmazonは在庫や発送の費用を削減し、かつマーケットプレイスの使用料をより多く集められるようになっているのだ。
Amazonの行動を要約すると、最初は故意に損失を出しながら商品を販売し、次に商品価格を変えずにコストを削減し、マーケットプレイスの使用料を通じてサプライヤーの利益を徴収していることになる。
これは 略奪的価格設定の定義そのままなのである。
オンラインで物を販売しようと考えた人が選べる選択肢は多くはなく、Amazonを避けて通る人は少ない。
Amazonはいかに大きな卸販売業者であっても取り込むことが可能なのだ。
そして、Amazonは契約の中に、売り手が他のウェブサイトでAmazonより低価で物を売ることを避けるための条項を入れており、理論的には価格の高い売り手の検索順位を下げることもできるため、売り手が高い価格を付けて売ることが非常に難しくなる。
また、Amazonは2019年3月に、Amazonで利益を上げられない商品は広告を停止するという新たな方針をうちだした。
これはCan’t Realize a Profit/不採算商品を締め出すもので、自社販売を行う業者に対して適用されることから、サードパーティセラーを拡大する意図があると見られている。
しかし、これは裏を返せばAmazonには利益を得られない=製造コストを下回るCRaPを販売するグループが存在するということになる。
Amazonはより利益を増やすこと、そしてCRaPのコストを下げることに力を注いでいると言い換えることができるのだ。
現在アメリカでは、Amazonによって損害を受けた会社がAmazonを訴えることができるよう理論が構築されており、もし実際に裁判で争われることになれば、Amazonはそれぞれの商品の単価を明らかにする必要に迫られることになる。
トランプ大統領はAmazonの締め出し、敵対視する行為がたびたび見られるが、Amazonへの逆風が吹いていることは間違いない。
将来的に略奪的価格設定を行おうとする企業を取り締まる法律を制定されることになれば、今後急激な成長を行おうとするユニコーン企業にとっては新たな逆風が吹くことになる。
そして、この事は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドのような、ユニコーン企業に投資をする投資家にとっても冬の時代が訪れることに繋がるわけである。
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