世界経済は大きく鈍化している
新型コロナウイルスの影響で、世界経済は大きなリセッションに入っている。
アジア開発銀行(ADB)の試算では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界の経済損失が最大8兆8000億ドル(約940兆円)に上る可能性があると発表。
これは世界の国内総生産(GDP)の約10%に相当するが、各国、各業種業態のレポートや発表を聞く限り、かなり実勢に近い数字だろう。
アメリカはコロナ前までは絶好調だった
中でもアメリカは、昨年までトランプ氏による、税制改革も含めた国内経済最優先の政策が功を奏し、経済が活況を見せた。
株価もバブルと言っても差し支えないほどの水準まで上がり、金融機関はこの世の春を謳歌した。
雇用率も毎年改善された。2010年は10%だった失業率は、この新型コロナの感染が広がる直前には3.5%と、異例の高水準を見せた。
アメリカの失業率は15%まで上昇
しかし、それらの多くは、トランプ大統領が政策手腕を見せつけ、実績を作るために劇薬をいくつも投じた結果の、ハリボテの車のような好景気だったのかも知れない。
高速で走るハリボテの車の上に多くの米国民が命を預けて乗り合わせ、共にこの世の春を謳歌していた矢先に、今回急ブレーキを踏まれたことで彼らが振り落とされるだけでなく、大怪我をする形になった格好だ。
先日の発表段階では、現在の失業率は15%まで上昇したが、ゴールドマンサックスは米失業率のピーク予想を25%におくほど、アメリカの経済事情は混迷を極めている。
四人に一人が失業するということで、今後の米国内の治安悪化も避けられそうにない。
劇薬を投じて作られた経済の反動である。
為替のトレーディング収入が過去10年で最高を記録
為替のトレードはその性質上、価格の上下があればいつでも収益を得ることが出来る。
世界恐慌が来ようが、利益をあげれることも出来るし、その逆で、世界がバブルに浮かれていても損失を出すこともある。
そして、今回の新型コロナで世界経済が大混乱に陥る中、その世界経済の鈍化を横目に、為替トレーディング収入が過去10年で最高の成績を収めたようだ。
例えばアメリカ、モルガン・スタンレーの1-3月(第1四半期)トレーディング収入は前年同期比で、24%も増加。
シティグループ、ゴールマンサックス、バンクオブアメリカ、これまでに決算を発表した大手米銀はいずれもトレーディングが好調。
コーリション・デベロップメントが世界の主要行の今年1-3月(第1四半期)為替トレーディング収入をまとめたところ、グローバル投資銀行上位12行の為替トレーディング収入は前年同期比61%急増し、64億ドル(約6870億円)と、過去10年で最高となった。
そこには、新型コロナウイルス感染拡大に伴う市場のボラティリティーの高まりが背景にあるのは言うまでも無い。
2月21日には1ドル112円だったものが、2週間後には102円台まで下落。
そこからさらに2週間後には111円台に上昇と、まるでジェットコースターのような為替変動である。
為替トレードはここ1年、活況を見せる見込み
日本やアジア諸国では新型コロナウイルスの悪材料がひと段落し始めている。
一方でアメリカや西欧諸国では、感染者も死亡者も増え続ける余談を許さない状況に加え、まだ正確な情報がまとめっていない新興国が世界の感染再拡大の台風の目になる可能性もある。
それが原因で、経済の先行き予想も二転三転していくだろう。
つまり、この相場は短くとも1年は続いていくことが予想される。
この相場は大手金融機関にとってだけではなく、個人のトレーダーにとっても、利益の狙いやすい、適度にボラティリティのある最高のトレード相場といえるだろう。
コーリション・デベロップメントはこう語る。
「長い間経験しなかったボラティリティーの高まりが見られた」と。
つまり、金融のプロにとっても、トレード人生の中で滅多に訪れることがない、ボーナス期であるわけだ。
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