今日のポイント

市場は「戦争が続くか」よりも、「原油・物価・資金フローにどこまで実害が出るか」を見極める局面です。 ホルムズ海峡では協議再開への期待が浮上し、BTCのETFフローも週間ベースでプラスへ転換しました。ただし、いずれも本格的な正常化には程遠く、来週の米CPIと中国GDPがリスク資産の回復力を試すことになります。

過去24時間の市場ダイジェスト

ビットコイン

ビットコインは、ご提示の最新値で64,310.45ドル、前日比0.53%高となりました。前日に64,400ドル付近まで上昇した後も大きく崩れず、6万4,000ドル台で底堅く推移しています。米国の現物BTC ETFが週間で約1億9,740万ドルの流入に転じ、過去最長となった8週連続流出が止まったことが下支えとなりました。一方、64,400ドル付近は今週複数回上値を抑えられた水準で、次はこの抵抗帯を明確に突破できるかが焦点です。

過去24時間の重要経済・金融ニュース

米国とイラン、ホルムズ海峡の安全航行で協議継続へ

米国とイランは、ホルムズ海峡を航行する船舶の安全確保を中心に協議を続ける方向となりました。イランと仲介役のオマーンは7月11日、安全な船舶通航の仕組みについて技術・政治両面で協議を継続すると表明しています。米国は、船舶への攻撃停止と、海峡の全航路を通行料なしで開放するとの公約をイランに求めています。7月11日までの2日間には新たな攻撃が報告されず、原油市場には短期的な緊張緩和材料となりました。ただし、オマーン案ではイラン領海側の航行に事前承認を求める可能性があり、完全な自由航行が回復するわけではありません。戦争前には世界の石油供給の約5分の1が同海峡を通過しており、海運保険料やタンカー運航の正常化が原油価格、インフレ期待、国債利回りを左右します。投資家は首脳発言よりも、実際の船舶通航量とタンカー攻撃の有無を確認する必要があります。

ビットコインETF、8週連続の資金流出に終止符

米国の現物ビットコインETFは、7月10日までの1週間に約1億9,740万ドルの純流入となり、5月上旬以来初めて週間ベースで資金が増加しました。現物イーサリアムETFにも約8,440万ドルが流入し、両者の合計流入額は約2億8,180万ドルでした。BTCとETHのETFは、それまで8週間で合計約94億6,000万ドルもの資金流出を記録していました。今回の流入は価格が6万4,000ドル台へ戻る動きと重なり、機関投資家の売却圧力が一服した可能性を示しています。ただし、今回回復した金額は過去8週間の流出額の約3%にすぎず、資金トレンドが反転したと判断するには不十分です。さらに、週末の買いはブラックロックのIBITなど一部商品に集中し、その他のETFではほとんど動きがありませんでした。今後は1週間の合計額だけでなく、IBIT以外への流入拡大と、連日プラスを維持できるかが重要になります。

トランプ政権、インフレ高騰で米企業への値下げ圧力強める

トランプ大統領は、米国のインフレ率が3年ぶりの高水準となる4.2%に上昇するなか、企業に対する値下げ要求を強めています。ガソリン価格を1ガロン2.50ドル程度まで引き下げるよう求め、ウォルマートなどの小売企業にも価格抑制を働きかけています。背景には、イラン戦争に伴うエネルギー高と関税コストが家計負担を押し上げ、中間選挙を前に経済政策への不満が強まっていることがあります。企業が政治的圧力を受けて販売価格を抑えれば、小売り、エネルギー、食品、輸送企業の利益率が圧迫される可能性があります。一方、企業がコストを転嫁すれば、消費者物価とFRBの利上げ観測が再び上昇します。市場にとっては、インフレ率そのものだけでなく、政権が企業の価格設定へ直接介入し始めている点が新しいリスクです。今後はガソリン小売価格、主要小売企業の粗利益率、決算説明での価格戦略を確認する必要があります。

来週は米CPIと中国GDP、金利と景気の両面から相場を試す

7月13日からの週は、米国の6月消費者物価指数と中国の4~6月期GDPが金融市場の中心材料となります。米CPIは7月14日に発表され、エネルギー価格と関税、AI関連需要による物価上昇がどこまで残っているかが焦点です。翌日以降には生産者物価、ベージュブック、小売売上高も予定され、企業コストと個人消費の双方を確認できます。新FRB議長のケビン・ウォーシュ氏も議会証言を行う予定で、年内利上げの条件やインフレへの姿勢が注目されます。中国では第2四半期の成長率が前年同期比4.5%程度へ、前期の5.0%から減速するとの見方が出ています。中国の内需低迷が確認されれば、資源、欧州高級品、アジア通貨などに下押し圧力がかかる可能性があります。来週は「米インフレが高すぎるリスク」と「中国景気が弱すぎるリスク」が同時に試されるため、単純なリスクオン継続を前提にしないことが重要です。