週間市場動向

沈みゆく日本

日本経済研究センターが3月にまとめた長期経済予測では、トランプ関税の影響などを織り込まない標準シナリオで、実質GDPの世界ランキング(83カ国・地域)を試算すると、日本は24年の4位から、75年には11位に後退するといいます。

現段階でも一人当たりのGDPは29位ですが、既に先進国ではなく、中進国といったレベルです。

何が一番の問題だったのか?

といえば ” 政治が愚かだから ” というのが答えだと思います。

トランプ関税で、自動車をはじめとする基幹産業が高関税にさらされ、成長の源泉が侵食されそうな時に、今夏の参院選をにらんだバラマキに精を出す始末ですから。

本当に終わってますね。

インフレ率は4ヶ月連続で3%超え

日本銀行は、これまで10年以上の期間にわたって「2%物価安定目標」を掲げて大規模金融緩和政策を行ってきました。

その目的は、消費者物価(生鮮食品を除く総合)の対前年同月比を2%に引き上げることとされました。

これは簡単に言えば、物価が上昇すれば、日本経済の基本的な問題が解決されるという考えです。

この政策の導入以降2022年3月までは、消費者物価上昇率が2%まで上昇することはなかったので、この考えが正しいかどうかを検証することができませんでした。

しかし、2022年4月から、消費者物価指数は著しく上昇し、対前年上昇率は、継続的に2%を超えるようになり、36ヶ月連続で2%を大きく超えています。

先週発表の3月のCPIは3.2%で4ヶ月連続で3%を超える中で、先週の国会で日銀の植田総裁は  ” 基調的なインフレ率は2%にはなっていないと” いう発言は流石に無理があります。

なんとも情けない赤沢大臣の発言

アメリカでの先週の赤沢大臣の遜った態度はまさに今のアメリカに対する日本の置かれた立場なのでしょうが、あまりに情けなさすぎます。

「トランプ大統領が私に会ってくださったことは大変ありがたい。(自分は)格下も格下。出てきて直接話をしてくださったことは本当に感謝しています」一国の大臣のこの態度には本当に情けなくなります。

江戸時代であれば、 徳川家の一族である「親藩」、先祖代々徳川家に仕えてきた「譜代」、関ヶ原の戦いののちに家臣となった「外様」ですから、赤沢大臣の言葉で言えば、日本は外様ということで(確かに第二次世界大戦で負けてますし)これでは交渉にもならないでしょうね。

このあとトランプ政権に無理難題を飲まされることになれば、日本の財政は更に厳しくなり、借金も積み上がる状況になるでしょう。

日本の国債の買い手は少ない状況で、結局のところ日銀が国債買い入れ額を増やすことになり、紙幣の価値はますます下がることになるでしょう。

金がなぜこれだけ上昇しているのか?

金の価格は先週1オンス:3,340ドルをつけ過去最高値を更新しました。年初からの上昇率は26%を超えています。

通常であれば、2008年のリーマンショックでもそうだったように、株式の下落相場では金価格も下がり、国債は買われるのが普通です。

しかし、今回は株式だけでなく、アメリカ国債の価格も下落しました。(金利が上昇)

2008年に世界中の市場、特に株式市場が下落したとき、2008年3月には1オンス915ドルだったものが2008年10月には723ドルまで200ドル近く下落しました。

率にして21%の下落です。

しかし今回は株式市場が下落しているにも関わらず、債券も売られ、金が買われています。

なぜこのようなことになっているのか?

答えはシンプルです。

2008年にはアメリカの政府債務は9兆ドル程度でした。今では36兆ドルを超えて37兆ドルに達しようとしています。

17年でアメリカの借金は4倍以上に急拡大しているのです。

そして、今後数年で財政赤字は1兆ドルには留まらなくなり、2兆ドル、3兆ドル、4兆ドルになり、政府債務は指数関数的に増殖します。

特に今年は満期となる米国債が多く、金利が1%以下だった頃に発行されていた国債が金利4%前後の新たな国債で置き換えられます。借換分の利払い費用が4倍以上に急増するのです。

トランプ関税でこのあとのアメリカは実体経済は減速し、これにより税収は大きく減少します。そして、破綻する銀行も続出するでしょうが、これらは救済される可能性は高いです。

このために、これまでにない規模で紙幣印刷が行われ、金利が上昇し、財政赤字は増え、債務は増加します。米ドル紙幣の価値は下落し、結果的に行き先のない資金は金に向かうということです。

米ドルもこの状況ですが、日本国債、日本円は更に悪い状況にあります。円からの継続的な資産逃避が重要です。

BTCの価格耐性は本当に強くなっている

トランプ政権誕生後の値動きではNASDAQが最も弱く、そしてそれに次ぐのが日経平均であり、BTCの方が価格耐性が強いのです。

今までであれば、株式市場の下落時、株式市場の下落率の倍程度はBTC価格は下落しました。

トランプ政権退場後、NASDAQは17%下げています。そして日経平均は13%近く下落しています。

今までであればBTCは30%程度下落してもおかしくありませんでした。しかし、今は10%程度の下落に留まっています。

アメリカは借金の金利を支払うために、ドル紙幣を刷り続けます。日本も同様に、借金の返済をするために新たな国債を発行し紙幣を刷りまくります。

ゼロ金利だった国債を大量に金利がつく国債を発行しますので、利払い費用はこのあと急増します。日本の財政は坂道を転がり落ちるように加速度的に悪化していきます。

BTCの上昇は加速していく!?

この先の状況を考えると、紙幣のばらまきが続く中で、BTCの受給関係が今年のある時点で急激に変わることになり、そこからの上昇は加速していくと思います。

このシナリオだと年内にBTCが20万ドルを超え、さらには数年先には50万ドルを超えるというのも十分に見えてくるように思います。

ただしBTCはボラティリティが非常に高いですので、何度も言い続けていますが、高値掴みしないこと、ドルコスト平均法で分散して買っていくことが正しいと考えられます。

今のマクロ経済の状況、各国の財政悪化状況を理解し、どのようにそのリスクから回避していくのか?

これを真剣に考え、対応し続けていかなければいけませんね。

AI TRUSTメルマガへ登録しませんか?

毎週1回情報をまとめてお送りします。

AI TRUSTでは日々の金融市場に影響を与えるニュースを独自の視点から解説を行っています。是非ご自身の投資指標としてご活用ください!!