直近になり、アメリカの大手金融機関、そして大手企業のトップからの経済先行きに対しての悲観論が数多く聞こえるようになってきました。
米金融業界で聞こえる悲観論
彼らの肌感覚は非常に重要な投資家に対しての警告のように聞こえます。
まずはこちらを並べてみたいと思います。
シティのフレーザーCEO 米国 リセッションの回避は容易ではない
米銀シティグループのフレーザーCEOは、米国がリセッションに陥ることは同行の基本シナリオではないが、リセッションを回避するのは困難になるとの見方を示しました。欧州がリセッションに陥る可能性は米国よりも高いとの確かな印象を受けたとコメントし、米国でもリセッションを回避するのは容易ではないと語っています。
JPモルガンのダイモンCEO 経済の「ハリケーン」に備えよ
米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、金融政策引き締めやロシアのウクライナ侵攻といった前例のない課題の組み合わせに経済が直面する中、投資家は経済のハリケーンに身構えるべきだと警告しました。
今はそこそこ日当たりが良く、順調で、米金融当局はうまく対処できると誰もが考えているとした上で、ハリケーンはすぐそこまで来ていると発言しています。それが小型なものか、サンディのように超大型なのかは分からない。身構えた方がいいと述べています。5月の投資家イベントでは米経済に大きな暗雲があるとも述べており、今回はさらにリスクを大きく伝える発言のように思えます。
経済に前代未聞の衝撃 ゴールドマン・サックス社長も警告
ゴールドマン・サックス・グループのジョン・ウォルドロン社長は、世界経済を揺るがすショックが相次ぐ中、この先はさらに厳しい経済状況が続くと警鐘を鳴らしました。
投資家会議で、これは私がこれまでのキャリアで見てきた中で、最もとは言わないまでも、かなり複雑かつダイナミックな環境の1つだと発言し、経済システムにこれほどの数の衝撃が同時発生するのは前代未聞だと述べました。その上でこの先は一段と厳しい経済状況になることが見込まれるとし、資本市場の環境が厳しくなることは間違いないと続けています。
酷い悪い感触 テスラ社 イーロンマスクCEO
テスラのイーロンマスクCEOはテスラ幹部宛ての電子メールで、経済についてひどく悪い感触を抱いているとし、従業員を10%削減する必要があるとの考えを示しました。
インフレと闘うための利上げは長い道のりになる
家具販売大手RHのゲーリー・フリードマンCEOは、四半期決算の発表に際してインフレと闘うための利上げは長い道のりになると発言しています。今はどんな事態にも備えておかなくてはらないと思うと語りました。
人類史最悪のクレジットバブル ブラックスワンの番人が警告
ブラックスワン的なイベントに備えるファンドを運用する米ユニバーサ・インベストメンツを創業したマーク・スピッツナーゲルCIOは、金融システムには人類史最悪のクレジットバブルが迫っていると警告しました。
このクレジットバブルが破裂すれば、誰も聞いたことのないような大惨事に市場は見舞われる。これが起きないことを祈ろうとスピッツナーゲル氏はインタビューで述べています。私たちは自ら厳しい位置に来てしまったと語っています。
過剰流動性バブルは崩壊する前提で対応策を練ること!!
同じようなタイミングでこれだけ多くの著名な専門家からの発言が集中するということは、それぞれの企業の社内分析で相当に非感的な経済の見通しを立てていると考えるのが正しく、皆さんは個人個人として、バブル崩壊にしっかりと備えておくことが大切だということです。
再度円安が進んでいる
5月後半は126円台まで戻したドル円ですが、週末の段階では131円近くまで再度円安が進んでいます。米10年債金利が3%に近い水準まで上昇していることと、クリーブランド連銀のメスター総裁の発言が影響していると思われます。
メスター総裁は、6月と7月にそれぞれ米政策金利の0.5ポイント引き上げを支持するとあらためて述べたうえで、その後もインフレが沈静化しなければ9月に0.5ポイントの追加利上げを支持するだろうと話をしました。 原油価格も再度の高値圏に入っており、インフレはまだまだ高止まりする可能性が高く、米国の金利はこの後も継続的に上昇することになるでしょう。
日本円は世界の多くの通貨に一人負けする形で円安は進んでいくと考えるべきでしょう。
紙幣の価値が下落している
今の状況を改めて考えた時、単に円安が進んでいるのではなく、紙幣そのものの価値が下落していると考えるべきです。世界中の中央銀行が1990年代以降の金融危機、景気悪化時に紙幣を刷りまくりました。目先の問題の先延ばしはそれでできたとしても、それによって各国の負債は積み上がり、中央銀行の持つ劣化した資産は膨大に膨れ上がったわけです。
紙幣そのものの価値が大きく下落しているのです。だからこそ、紙幣に対して全てのものの価格が大きく上昇しているのです。
国民、他国の企業、人が受け取り続ける限り紙幣には価値があります。しかし紙幣の価値の裏付けはそれぞれの国に対しての信頼のみなのです。これが崩れた時にどうなるか?インフレは加速することになります。そしてハイパーインフレが一部の国で起こるのです。
中国経済は相当に疲弊しており、直近の成長率の落ち方が著しいです。これをカバーするために中央も地方もさらに借金を積み上げて、公共投資等をこのあと行っていきます。世界中が紙幣の刷りあい競争をしているのです。紙幣の価値の下落は止まりようがないと考えるべきです。
このあとに何が起こるのか?
これは今の世代では日本人はほとんど誰も経験したことがないことですから、過去に何が起こったのか、書物等で学ぶ以外はありません。
ただし、予想できることはあります。
金融市場は大きく下落する
金融市場は大きく下落します。リスクから資金を回避させるために金融市場ではショック安が起こります。では資源価格などが上昇するかというとこれも違います。リーマンショックの時がそうでしたが、原油価格等も暴落しました。全てからお金が逃げるのです。
暗号通貨市場は元々が株式市場と比較してボラティリティは倍程度に高いですから、下落率はさらに酷いものになるでしょう。ほとんどのアルトコインは、金融市場の大暴落があれば無価値化していくことになります。
世界各国の失業率は急増し、世界中の様々な国で飢餓は深刻化し、治安は乱れ、暴動が起こります。政権が転覆し、体制が変わる国も特にアフリカや中東、南米などの途上国、新興国では増えることになるでしょう。
200円、300円の円安は十分にありえる
日本の場合、積み上がった借金(国債)に世界が注目した場合、円からの逃避は加速度的に進むことになり、円安が止まらなくなる可能性があります。200円、300円の円安は十分にあり得ます。円安を止めるために金利をあげれば、積み上がった国債の利払いが急上昇します。
ただでさえ国債頼りの財政は機能しなくなります。債券市場はパニックとなり、債券は暴落し、多くの債券を保有する日銀は実質破綻的な財務状況に陥り、日本円の信頼はさらになくなるということになります。
多くの企業が破綻します。それに伴った失業率の増加により、住宅ローンの支払いができない家庭も増え、不動産は投げ売りされることになるでしょう。円安が進む中で、それらの不動産は海外の投資家によって買い叩かれるのかもしれません。
どのように備えれば良いのか?
実際にどのようなことが起こるのかは正直言って誰にもわかりません。最悪な状況を予測し、そこに備えておくことが常に重要なのです。
常に言い続けていることですが、生活コストを徹底的に見直ししましょう。低コストで生活できる知恵を身につけましょう。都会に住まれている方は、地方で低コストで生活する選択肢を改めて考えてみましょう。
10年前であれば、日本よりもコストのかからないアジアに住むという選択肢がありましたが、円安とインフレにより、現在では日本の地方の方が圧倒的に生活コストは安いです。日本国内の地方にこそ活路が見出せます。
底値を買うこと!!
世界経済が大混乱に陥ったとしても、必ずそこから復活します。極端に円安が進めば、外国人からすれば、日本旅行は本当に割安になりますから、経済は必ず回復するのです。ただし世界経済も相当に混乱しますので、すぐに大きく回復するわけではありません。途中は長く耐え忍ばなければなりません。
長く耐え忍ぶタイミングでは、金融市場は低迷します。しかし必ず優良企業の業績は回復しますので、底値を見据えてしっかりと底値でドルコスト平均法で分散投資を行っていけば、経済が回復した後のリターンが非常に高くなります。
どの市場が有望なのか?
円の価値が下落することを考えると、日本株という選択はあまり賢いとは言えません。米優良株への分散投資が有効な手段のひとつになります。
GAFAM等のプラットフォーマーは必ず復活し、そのあとも大きく成長する可能性が高いですので、資産分散の一部として保有すべきでしょう。
暗号通貨市場の底値買いほど有効な投資方法はないと思います。ただし、ほとんどのアルトコインは無価値化しますので、ビットコイン、イーサリアム、そしてそこに続く幾つかのコインに絞ることが重要です。無価値化したコインは経済が回復しても無価値化のままに終わります。
しかし、新たな成長時に生き残ったアルトコインは100倍、1,000倍と価値が戻る可能性が高く、底値で買うことができれば、本当に高いリターンに繋がる可能性があるわけなのです。
そして、暗号通貨はあくまでもドルで計算されますので、円からのリスク分散という意味でも有効な投資になるのです。
世界中に暗雲が立ち込めていることは間違いありません。経済・金融市場に巨大なハリケーンが到来する可能性も高いです。
しかし、時が経てば、必ずその先の未来は開けていきます。
ピンチが訪れるのではなく、大きなチャンスの到来が近づいている!!
そう考えて、この先の世界経済、金融市場を観察いきましょう。そして大きなチャンスを掴んでいきましょう!
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