今日のポイント

金利低下で株には「猶予」が生まれましたが、BTCは先行上昇の反動で失速。市場の焦点は流動性期待から、Nvidia決算とPCEによる実体確認へ移りつつあります。

過去24時間の市場動向

S&P 500

S&P 500は7,677.28で終了し、前日比0.32%上昇しました。WTI原油が3.1%安の82.36ドルまで下げ、米10年債利回りも約6.5bp低下したことで、インフレと金利への警戒が和らぎました。もっとも、新築住宅販売や消費者信頼感は弱く、全面的な景気楽観というより、Nvidia決算やPCEを前にした金利低下を好感する買い戻し色の強い上昇です。

ナスダック指数

ナスダック指数は26,151.30まで0.66%上昇し、前日のテック株売りから反発しました。Nvidiaが2.2%、Metaが約2%、Micronが2.5%上昇し、半導体指数も1.4%高となるなど、明日のNvidia決算を前にAI・半導体株へ買い戻しが入りました。ただしAI投資の資金調達構造への警戒は残っており、決算内容次第では再び値動きが大きくなる局面です。

米国10年債利回り

米10年債利回りは4.6390%まで低下し、前日から約6.5bp、率にして1.38%下落しました。原油価格の急落に加え、7月新築住宅販売が前月比10.5%減、8月消費者信頼感も7カ月ぶり低水準となり、債券買いを促しました。一方で長期財政懸念は消えておらず、26日のPCEと28日のパウエル議長ではなく現FRB議長ケビン・ウォーシュ氏のジャクソンホール講演が、再び金利方向を決める材料になります。

ビットコイン

ビットコインは一時81,237.94ドルまで上昇して5月以来の高値を付けましたが、その後押し戻され、78,972.78ドル付近まで下げて24時間では0.50%安となっています。長期債買い戻しをきっかけとするドル安・「通貨価値希薄化」取引、ETFへの資金流入、ショートカバーが8万ドル突破を支えました。一方、週間では約25%上昇して過熱感が強く、78,500~82,000ドル付近では売り圧力も確認されており、PCEを前にいったん利益確定が優勢になっています。

過去24時間の重要経済・金融ニュース

米住宅販売10.5%減、消費者心理は7カ月ぶり低水準 「悪材料=金利低下」の構図

7月の米新築一戸建て販売は前月比10.5%減の年率60万7,000戸となり、1月以来の低水準まで落ち込みました。新築住宅の中央値も39万3,800ドルと4年ぶりの低さとなり、高い住宅ローン金利が需要を明確に圧迫しています。8月の消費者信頼感指数も89.4まで低下し、特に将来見通しを示す期待指数の悪化が目立ちました。ただし雇用の現状認識自体はまだ崩れておらず、現時点では景気後退というより「高金利が家計の限界に近づいている」というシグナルです。この弱い数字が債券買いと長期金利低下を促し、その結果として株価にはむしろプラスに働いたのが25日の特徴でした。投資家にとって重要なのは、26日のPCEがインフレ鈍化も確認するのか、それとも「景気は弱いのに物価は高い」というより厄介な組み合わせになるのかです。

Nvidia決算がAI相場の分水嶺へ 売上倍増予想の裏で「循環取引」に警戒

26日のNvidia決算を前に、25日は同社株が2.2%上昇し、前日までの7営業日続落から反発しました。市場予想では第2四半期売上高が前年同期比ほぼ2倍の921.8億ドル、次四半期も82.8%増の1,042億ドルという極めて高い成長が見込まれています。しかし今回の焦点は単純な売上成長だけではなく、AI需要そのものの「質」に移っています。NvidiaはAIインフラ顧客向けに大規模な資金調達を支援し、OpenAIのデータセンターには最大1,050億ドルの保証まで用意しているため、自ら需要を金融面から支える構造への疑問が強まっています。Big Techの今年のデータセンター支出は7,300億ドル超と見込まれており、Nvidia決算は半導体だけでなく電力、データセンター、クレジット市場まで含む巨大なAI設備投資サイクルの健全性を測るイベントです。好決算そのものはかなり織り込まれているため、市場が見るべきなのはRubin世代への移行、粗利益率、顧客の資金調達状況、そして2027年に向けた需要の持続性です。

H-1B新規ビザに10万ドル超の恒久手数料案 米テックの人材コストに新たな圧力

トランプ政権は高度技能外国人向けH-1Bビザについて、新規申請1件当たり10万3,265ドルの追加手数料を恒久化する規則案を公表しました。従来の通常費用が数千ドル規模だったことを考えると極端な引き上げで、特にテック、研究、コンサルティング、スタートアップへの影響が大きくなります。25日にはインドIT業界団体Nasscomが、米国の技能不足を補うH-1Bの役割を考慮するよう改めて米政府に要請しました。インドIT企業はすでに米国内採用を増やしていますが、政策が実施されれば現地人材の賃金上昇や海外拠点への業務移転をさらに促す可能性があります。AI投資ではGPUや電力コストばかりが注目されますが、エンジニア獲得コストの上昇もBig Techや成長企業の利益率を圧迫し得る見落とされやすい論点です。ただし同様の手数料は6月に連邦裁判所が違法と判断しており、年内の最終化までには法廷闘争が再燃する可能性があります。投資家はMicrosoft、Amazon、Alphabetなどの大型企業よりも、人材調達力の弱い中小SaaS・ITサービス企業への影響を先に見る必要があります。

原油3%安でも供給網の危うさは増す 世界生産の43%が紛争影響圏

WTIは25日に3.1%安の82.36ドル、Brentは3.9%安の88.58ドルとなり、市場は米国の対イラン経済圧力を軍事的エスカレーションより穏当な展開と受け止めました。イランとオマーンがホルムズ海峡の暫定航行回廊を協議していることも、短期的な供給不安を和らげています。しかしReutersの集計では、紛争の影響を受ける国々は2025年実績で世界石油生産の43%以上を占め、世界の精製能力も約10%が停止しています。さらにIEAによる緊急備蓄放出は大部分がすでに実施され、世界在庫自体も減少しているため、新たな供給障害に対するクッションは以前より薄くなっています。ロシアも国内燃料不足からディーゼル輸出禁止を9月まで延長する方向で、原油そのものより精製品市場の逼迫が続く可能性があります。つまり25日の原油安はインフレと金利には明確な追い風ですが、「エネルギー問題が解決した」と読むのは早く、再び供給ショックが起これば金利と株式の両方を一気に逆回転させる余地があります。今後は原油価格だけでなく、ホルムズ海峡の通航量、ロシアの精製設備稼働率、ディーゼル価格を併せて見るべき局面です。