今日のポイント

雇用は減速しているのに、サービス物価は再び上昇しています。 金利は低下しましたが、株式市場は全面高にならず、確実な需要や政策上の追い風を持つセクターへ資金が分散しました。今日は「景気減速なら金利低下で株高」という単純な構図が崩れ始めている点が重要です。

過去24時間の市場ダイジェスト

S&P 500

S&P 500は7,723.55ポイントで引け、前日比0.17%下落しました。中東情勢の緊張緩和期待と長期金利の低下が下支えした一方、前日の大幅上昇後の利益確定や大型テック株の下落が重荷となりました。イーライリリーやディズニーなど好決算銘柄には買いが入っており、指数下落というよりも業種間の資金移動が目立つ一日でした。

ナスダック指数

ナスダック指数は26,363.44ポイントとなり、前日比0.83%下落しました。SpaceXが設備投資負担への警戒から13%超下落し、AMDも好決算ながら高い市場期待を満たせず7%下落したことが指数を押し下げました。金利低下にもかかわらず成長株が買われなかったため、今回は割引率よりも業績期待の高さとポジション調整が支配的だったとみられます。

米国10年債利回り

米国10年債利回りは4.6170%へ低下し、前日比では約1ベーシスポイント下がりました。ADP雇用者数が4万4,000人増にとどまったことや、ホルムズ海峡を巡る協議進展で原油高への警戒が後退したことが債券買いにつながりました。ただし、ISMサービス業の仕入価格指数は70.3まで上昇しており、インフレ懸念が消えたわけではないため、金利低下も限定的でした。

ビットコイン

ビットコインは64,696.95ドルまで上昇し、過去24時間では0.87%高となりました。米国の現物ETFには前日に約2億1,150万ドルが流入し、6万2,000~6万5,000ドルでは現物の吸収が続いています。一方、ETF流入に比べて価格反応は小さく、6万5,000ドルを明確に上抜けるまでは、底固めの範囲を脱したとは判断しにくい状況です。

過去24時間の重要経済・金融ニュース

米雇用は4万4,000人増に失速、サービス物価は再加速 FRB判断を難しく

ADPによる7月の米民間雇用者数は前月比4万4,000人増にとどまり、市場予想の7万人増を下回りました。6月分も9万8,000人増から9万5,000人増へ下方修正され、企業が新規採用に慎重になっていることが示されています。一方、ISMサービス業指数は54.1と拡大を維持し、新規受注も堅調でした。問題は、雇用指数が47.4へ低下する一方で、仕入価格指数が67.7から70.3へ上昇したことです。つまり、雇用は冷えているのに、企業のコスト圧力はむしろ強まっています。これは債券には買い材料ですが、FRBが直ちに金融緩和へ転じられるデータではありません。投資家は次に、8月7日発表の雇用統計で非農業部門雇用者数だけでなく、失業率と賃金上昇率を合わせて確認する必要があります。

肥満症薬需要は衰えず、イーライリリーが通期見通し引き上げ

イーライリリーは、肥満症薬ゼップバウンドと糖尿病薬マンジャロの販売拡大を受け、2026年の売上高見通しを850億~870億ドルへ引き上げました。四半期売上高は前年同期比48%増となり、注射型GLP-1薬に対する需要が依然として強いことを示しました。これは一企業の好決算にとどまらず、資金がテクノロジー以外の大型成長分野へ移り始めていることを示す材料です。米ヘルスケア株指数は過去3カ月でS&P 500を上回り、関連ファンドへの資金流入も増加しています。医薬品株は規制や薬価政策の影響を受けますが、確実な最終需要と高い参入障壁を持つ点が現在の市場で評価されています。一方、売上高の約3分の2を少数の主力薬に依存するため、生産能力、薬価、競合薬の臨床結果が今後の変動要因となります。次はノボ・ノルディスクとのシェア争いに加え、経口薬が注射薬の需要をどこまで代替するかが焦点です。

米、廃電池・タングステンくずの輸出を停止 重要鉱物を国内囲い込み

米商務省は、使用済みリチウムイオン電池から得られる「ブラックマス」と、タングステンくずの輸出を1年間禁止します。中国への依存を減らし、兵器、電池、半導体、工作機械に必要な重要鉱物を国内に残すことが目的です。米国は商業規模のタングステン鉱山を持たず、再生材が数少ない国内供給源となっているため、輸出禁止は単なる貿易措置ではなく国防政策に近い位置付けです。国内のリサイクル業者や精錬設備には追い風となる一方、米国には輸出分をすべて処理できる能力がまだ十分にありません。そのため短期的には、再生材の国内価格低下や在庫増加が起こる可能性もあります。逆に、米国産ブラックマスを利用してきた韓国や東南アジアの電池材料企業には調達コスト上昇要因となります。投資家はリチウム鉱山株だけでなく、回収、分離、精錬という中流工程に政策資金が流れるかを確認すべきです。

ビットコインは6万5,000ドル目前、ETF流入と法案期限が次の方向を決める

ビットコインは6万4,000ドル台を維持し、米国株が下落する中でも小幅に上昇しました。米現物ETFには約2億1,150万ドルが流入しましたが、価格は大きく反応せず、ETF買いと既存保有者の売りが拮抗しているとみられます。オンチェーン上では約15万5,000BTCが6万2,000~6万5,000ドルで取得されており、この価格帯が大きなコストベースとなっています。オプション市場の予想変動率も低下しているため、現在は投げ売りによる底形成ではなく、売り手が徐々に減少する「退屈な底固め」に近い状態です。同時に、米上院では暗号資産の監督権限を整理するCLARITY法案が、夏季休会前の期限を迎えています。成立が遅れれば短期的な失望売りはあり得ますが、SECとCFTCによる行政ルール策定が加速する可能性もあります。価格面では6万5,000ドルの上抜け、政策面では上院の審議日程と超党派合意の有無が次の確認点です。