世界各国の銀行が景気を良くするためにお金をたくさん刷っています。
しかし、今、各国中央銀行の資産規模は膨れ上がり、金融市場をコントロール不能に陥るリスクも高くなっています。
「このままお金を刷りすぎるとどうなるのか?」
過去に起こったことなども事例に出して、その後の対応策についても記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
お金を刷りすぎで紙幣の量は2007年から5倍に
リーマン・ショック前の2007年は日銀、FRBとも資産規模は100兆円程度でした。
2008年、米大手証券のリーマン・ブラザーズの経営破綻で始まった世界金融危機。世界の中銀は危機を封じ込めるため、国債などの資産を大量に買い入れ、量的金融緩和を始めた。市中に出回るマネーを増やすことで金利を下げ、危機で冷え込んだ景気を下支えしてきた。
主要国の中銀の果敢な動きで世界経済は平穏を取り戻した。しかし、刷りすぎた紙幣により、世界の金融市場で資産インフレが起こりました。
新型コロナ前には550兆円を超える
新型コロナが広がる前の2019年9月時点では、ドル換算で日米欧の中銀の総資産を比較したところ、日銀の総資産は7月末時点で5兆2,340億ドル。ECBの総資産は5兆2,080億ドル、FRBは3兆7,599億ドルでした。
国内総生産(GDP)比でみても、日銀の総資産の大きさは圧倒的である。2割弱のFRB、約4割のECBに対し、日銀は日本のGDPとほぼ同じ規模になっています。
今世界各国でお金が刷られている
アメリカの政策は?
米連邦準備制度理事会(FRB)は米国債に加え、政府支援機関保証付きの住宅ローン担保証券、GSE保証付き商業用不動産担保証券も購入することを決定しています。
中小企業や州・地方政府の支援向け融資に2兆3,000億ドルを投じる。高利回り債やローン担保証券、商業用不動産ローン担保証券の一部も買い入れ対象とし、ジャンク債、不良資産を大量に購入することとなります。
FRBの総資産は3月頭からの1カ月で1兆6,500億ドル増えています。
そこから更にFRBが公表した資産構成資料で、FRBのバランスシート規模が6兆1,300億ドルとなった。バランスシート規模は前週に続き過去最高を更新した。これによりFRBの資産は2007年の100兆円と比較し、665兆円と6.6倍規模まで膨れ上がっています。
ヨーロッパ
欧州中央銀行(ECB)は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、7,500億ユーロ(約89兆円)相当の新たな臨時の資産購入プログラムを導入。
ギリシャ国債も現行ルールの適用を免除して購入対象に含めた。ECBもジャンク債購入という禁じ手を始めています。
日本
総額108兆円規模の緊急経済対策を実施すると発表しました。
国内総生産の2割に相当し、事業規模は過去最大となり、新規で多額の国債を追加で発行する。借金は更に積み上がっています。
リーマン・ショック後の2009年4月に策定した事業規模56兆8,000億円を大幅に上回る対策を実施し、経済の悪化を最小限に食い止めたい考えで、日銀は既にETFを通じ上場株を買い続けているが、現在大きな含み損失を抱えています。
お金を刷りすぎるとどうなるのか?
リーマン・ショック時には世界各国が多額の借金を積み上げて、金融危機を乗り越えました。
世界でマイナス金利が広がり、政策責任者は借金の積上げのリスクが麻痺したのか?
国債の価値は暴落し、国債を持つ金融機関は破綻リスクが高まる
金利が急上昇すれば既存で発行する国債の価値は暴落し、国債を持つ金融機関は膨大な損失を抱えて破綻リスクが高まります。
高金利で新たな国債を発行すれば、国の財政破綻リスクが急拡大します。
インフレ、ハイパーインフレ、デフレが確実に起こる
今回は各国とも更に大きな借金を積み重ねているが、マイナス金利、ゼロ金利はいよいよ崩壊する可能性が高くなってきています。
各国の中央銀行の資産規模は爆発的に膨れ上がり、そして資産内容が劣化しています。
新型コロナで落ち込む経済、混乱する金融市場への対策として、大規模に行う事は当然のことだが、各国の借金は更に積み上がることになります。
資産内容の劣化は刷られた紙幣の劣化、価値の下落に繋がります。
今まで行ったことのない規模での今回の金融緩和により、インフレ、ハイパーインフレ、デフレが確実に起こることになるでしょう。
インフレ=物の価格が上がること
インフレの具体事例は身近でもたくさん起きています。
マクドナルドなども過去に比べると約3倍の価格に
日本のマクドナルドなどでも22年間で約3倍の価格になっています。
ハンバーガー今170円になりましたが、2000年の頃は、平日のハンバーガーの価格は65円で売られていましたので、そこからは3倍近い上昇となっています。
つまり、どんどんお金の価値がなくなってきているのです。
紙幣の価値が下落したら日本政府の借金は減る
日本で流通しているお札は、2019年度で112兆円でした。
2019年(令和元年)の大晦日、一般家庭や企業、金融機関などで年越しした銀行券(お札)の残高は、合計で112.7兆円(枚数では173.1億枚)
実際毎年どれぐらいのお金を刷っているのかは、日本銀行券発注高推移という数値を見れば分かりますが、おそらく2020年は大きく伸びると思います。
これを見ても分かるように2008年(平成20年度)はリーマンショックで日本銀行券発注高が大きく上昇しています。
紙幣の価値が下落した時にメリットがあるのは?
では、紙幣の価値が下落した時にメリットがあるのは誰なのか?
それは、借金をしている立場です。
紙幣の価値の下落と共に借金自体が大きく目減りすることになります。
そして、最もたくさんの借金をしているのは、国なのです。
今回は新型コロナを理由とした、世界的に大きな金融理論の実証実験が行われているのかもしれませんが、たとえ、実験に失敗してインフレが起きても、借金の価値が大きく減り、先々の各国の財政負担は減ることになります。
実験に成功すればマイナス金利の中で幾らでも借金を積み重ねできることが実証でき、怖いものなしになります。
結論:お金を刷りすぎると日本円の価値がなくなる
紙幣の価値の下落よりも、価値の下がらないもの、資産を持つこと、変えておくことが重要になります。
特に、円だけの保有は非常に危険なので、日本円の一部を外貨に替えておくことが非常に重要です。
日本は今回も政策がちぐはぐで遅れを取っている。企業業績はそれに引きずられる形で低迷が続くリスクが非常に高くなっています。
日本という国家への期待、現状のシステムへの期待は裏切られる可能性が高く、自らが将来を切り開く準備が必要です。
この後は長期的な視野にたった将来設計が何よりも優先して重要になります。
具体的な企業活動の実際の数字上の影響を長期的に判断する必要がありますが、これは非常に難しい点も多いため、AI TRUSTの毎週のメルマガの中で、定期的に解説が行われるので、それを参考にしていただければと思います。
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