中国不動産バブル崩壊については、過去遡って10年以上前から言い続けてきていますが、問題の先延ばしをし続けた結果として、パンパンに膨れ上がった状態からの崩壊が随所で出てきています。
今回はこの影響がどこまで広がるのか?
この点について考え、そしてそこから起こり得ることについて深掘りしてみたいと思います。
シャドーバンキングの破綻
経営難にあえぐ中国の巨大シャドーバンキンググループの中植企業集団は、364億ドル(約5兆4000億円)の資金が不足し、深刻な支払い不能状態にあると投資家に説明しました。
中植の資産は2000億元に対して負債総額は4200億-4600億元(8兆8000億-9兆6000億円)に上ることが会計監査で判明。差し引き5.4兆円の債務超過です。
中国当局は中植企業集団系列の事業に対し、刑事捜査を開始したと発表しています。北京市公安局は、同集団系列の複数の容疑者に対して刑事上の強制措置を講じたと明らかにしました。
破綻の一番の要因は、恒大集団等の問題デベロッパーに対して融資を拡大し、それが回収できないことにあります。
大手デベロッパー各社が資金繰りに詰まり、そこに貸付を行っていたシャドーバンキングが回収ができず破綻するというのは、日本のバブル崩壊後のノンバンクによる迂回融資、そしてそこからの破綻劇をなぞっているようです。
■昭和から平成にかけて起きたバブル形成から崩壊のメカニズム
①事業のための土地投資から、値上がり益を狙った土地投機が始まりました。一流企業はこれを本来管理部門である財務部が稼ぐという意味で財テクと称されました。
②金余りで融資先に困った銀行が、こぞって土地投機のための資金を融資
③土地投機により地価が上昇
④土地さえ担保にとれば融資は安全と信じる銀行からいくらでも融資を受けられるため、高い価格でも取引が成約します。
⑤2~4のプロセスが繰り返される(いわゆる土地転がし)ことで、地価上昇が加速
⑥地価上昇に伴い、土地を保有する企業(地価銘柄)や銀行株が牽引して株価が上昇
⑦平成元年(1989年)地価と株価がピークに達します
⑧平成2年 銀行による融資が地価高騰を煽っているとの批判が高まり、当時の大蔵省が不動産融資を規制
⑨銀行子会社を含むノンバンクを通じた迂回融資が増大
⑩大蔵省が銀行に対し、ノンバンクへの融資を規制
⑪土地投機に融資がつかなくなったため、売買が成立せず、土地の投げ売りが始まります。
⑫投げ売りが集中して地価が暴落すると、銀行はますます融資に慎重になり、どの土地も取引が成立しない塩漬け状態に
⑬地価下落に伴い株価も暴落 ノンバンクを中心とした金融機関の破綻
⑭長期にわたる景気低迷の時代に突入
バブル発生、バブル成長、そしてバブル崩壊、更には失われた30年に向かったわけです。
中植から広がる影響は?
中植は富裕層の資金を集めて融資を行なっていましたので、中植の経営難は、富裕層の個人に影響が及ぶ公算が大きいです。
中国信託業協会によると、国内信託会社の資産は今年3月時点で約2兆9,000億ドル(約422兆円)に上り、このうち約72%は、富裕層や企業に投資商品を販売する融資信託が保有しています。
他のシャドーバンキングも中植と同様の状況にあると考えるべきで、様々な政府によるデベロッパー支援により、不動産の未完成物件は完成したとしても、シャドーバンキングまで支援されるとは思えません。
シャドーバンキングに投資をしていた富裕層、個人は大きく損失を出すことになり、これは中国内の消費低迷につながりますし、企業の設備投資への余裕がなくなることにつながります。
中国政府は矢継ぎ早に支援政策を発表していますが、全てが後手後手にに回っているように感じます。
いよいよ末期?無担保融資容認
中国当局が要件を満たす不動産開発会社に対し、銀行による無担保融資容認を検討しているようです。
もしこれが本当に実施されるようであれば、モラルハザードが確実に起こります。
巨大な不動産バブル発生・成長・崩壊の過程の中で、目先の問題を片付けるため、担保の裏付けのない巨額な融資が行われれば、貸出を行う金融機関の資産の健全性はあっという間に失われます。
銀行が多額の不良債権を今後抱えるようになったとき、政府、中央銀行が紙幣を刷って問題解決を図ればどうなるか?
紙幣の価値は失われていくということです。
アメリカの政府債務も深刻化
中国だけでなく世界中の国々が紙幣を刷りまくり債務問題が深刻化しています。
アメリカの政府債務問題も深刻化しており、政府債務はコロナ禍のばら撒きで大幅に増加した上に、金利上昇によってアメリカ政府の利払いは増加しています。
利払いの増加によって借金が増え、更に国債を発行することになり、そして更に利払いが増えます。
この悪循環こそがインフレ・高金利の時代に起こることであり、それはデフレ・金融緩和の時代に積み上げられた借金の総決算であると言えます。
太り過ぎの人がデザートを我慢したり、週末にスパの予約をしたりすることは良いことです。
しかし、本当に重要なことは、習慣を変え、生活を変えてゆくということをするのかどうかです。
現状を見ればそのような改善はほとんど行われません。政治家は票を集めるために票田にお金をばら撒きます。より多くばら撒く政治家を有権者は好みます。
過去の歴史を振り返れば明らかで、このことが繰り返され、世界の多くの覇権国がその地位を追われてきたのです。
そして世界のお金のばら撒き競争の先進国の中でトップを行く国はどこか?
ぶっちぎりダントツ。他の先進国を周回遅れにしている国が日本なのです。
なんとも不名誉なトップなのですが。
紙幣の価値はどんどん下落する
世界各国の紙幣の価値は今後も継続的に下落していきます。各国間貨幣価値は相対論になりますので、紙幣の価値が下落する中で、弱い紙幣は更に価値を失っていきます。
先週のメルマガの最後に不動産物件の比較で、ニセコの不動産とウィスラーの不動産について書きました。
先週ウィスラーの不動産について現地のエージェントと確認したところ、この10年の間に価格は3倍に上昇しているとのことで、残念ながら今から投資を行うタイミングではないと結論付しました。
これも不動産価格が上昇したという面と紙幣の価値が下落しているという両面が進んでいると考えるべきです。
中国富裕層のキャピタルフライトは加速する
中国不動産バブル崩壊はこのあとも進みます。様々な政府支援策、銀行による救済策により、中国全体の様々な不良債権問題は先延ばしされていくでしょう。
しかし、過去の日本がそうだったように、それは確実に中国という国を蝕み、成長を鈍化させていきます。
ばら撒かれる紙幣により、紙幣の価値は下落が加速する中で、中国富裕層、中間層の中国からのキャピタルフライトは加速することになります。
その資金がどこに向かうのか?日本の優良不動産であり、同様に中国人からの人気の世界各地の不動産になると考えられます。
世界各国の財務問題、そして更に今後も刷られ続ける紙幣、そして紙幣の継続的な価値下落を考えると、紙幣以外の資産をどのように構築していくか?この点がこのあとも非常に重要になります。
週末のBTCの価格は37,700ドル台ですが、過去1ヶ月のチャートを見ても、確実に底値を切り上げていることがわかります。
優良不動産は継続保有が正解
パタヤで数多く保有する不動産も、購入価格と比べてかなり価格は上昇しています。転売して利確することも当初考えましたが、今はその考えは一切ありません。売却して得られる紙幣は継続的に価値は下がります。
それに対し、パタヤの優良不動産は中国からのキャピタルフライトが今後増加することで、上昇が続くと考えています。毎月の家賃、インカムゲインを得つつ継続保有することが正解なのです。
シラチャにも注目
パタヤの隣町のシラチャの不動産投資もこの後は行っていきます。
シラチャという街は人口は35万人程度ですが、既に日本人が1万人近く住んでいると言われています。実は世界で最も日本人の人口密度の高い街がシラチャなのです。
シラチャの中心地から車で5分程度のところでもこのような開発が行われています。
実際にモデルルームを見てきましたが、非常に質の高い出来です。10ミリオンバーツですので、日本円で4,220万円程度となっていますが、立地や物件の仕上がりを考えると、今後大きく上昇すると考え、投資を連続で行っていく予定です。
ほんの2年前は1バーツは3.3円でした。それが現在は4.22円です。
既にバーツを大量保有している立場から言えば、物件に対する割高感は一切ありませんが、円をこれから分散させようと考える日本人にとっては今の為替水準はハードルが高く感じるかもしれません。
しかし世界各国の財政は悪化しており、利払のために追加で借金をし、その借金の金利も支払わなければならないという悪循環に陥っていますので、紙幣から他の資産へ移すというのは必須の行動だと考えるべきです。
財政が先進国で最もダントツに悪い日本円は、今後も継続下落する可能性が非常に高いわけですから。
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