本日アメリカでトランプ大統領が就任します。
打ち出される政策次第で世界経済、金融市場に与える影響は甚大です。
今日はこの辺りを中心に今後の投資に関わる部分を予想していきたいと思います。
就任式は議事堂内で
トランプ次期米大統領は、就任式が行われる20日は首都ワシントンで厳しい寒さが予想されているため、宣誓式および就任演説を米議会議事堂内で行うと、自身のソーシャルメディアプラットフォームであるトゥルース・ソーシャルで明らかにしました。
屋内での実施は、同様に寒波に見舞われた1985年のレーガン元大統領の2期目の就任式以来となります。
首都ワシントンのイベント施設「キャピタルワン・アリーナ」を支持者に開放し、就任式の模様を生中継するそうです。
大統領選で2度も暗殺未遂があったわけですから、この形で行うのが治安上も結果的にベストのように思います。
トランプラリーは不発に!!
昨年11月の選挙当日比で米ダウ工業株30種平均は3%高にとどまりました。8年前の前回は同期間に8%上げており、トランプラリー再来は不発に終わった形です。
大統領選投開票日の昨年11月5日終値の4万2221ドルを起点にすると、当選確実となった翌日には1508ドル、4%高と急伸しました。景気浮揚に注力するとの期待で、株価上昇率は12月初めには7%に達しました。
しかし、株価の勢いは急失速し、2025年に入ると選挙後の上げを帳消しにする場面もありました。
米主要500銘柄の値動きをみても、この間には下落が270銘柄と、上昇銘柄数を40も上回っています。
トランプ氏が前回大統領に就いた2017年と対照的な値動きです。2017年は就任式時点で8%高で、就任初年に25%もの大幅高を実現する助走期間となりました。
前回は米国株を上回る上げを演じ、トランプ相場の勝ち組とされた日本株も低調です。
日経平均株価は1月17日に3万8451円で引け、選挙日比では0.1%安となりました。
株式市場への期待・リスク要因
トランプ氏は関税の引き上げや減税、不法移民の取り締まりといった優先事項に重点的に取り組むことを繰り返し表明しています。
バンク・オブ・アメリカのリポートでは、米国株はトランプ氏によって下げから守られていると指摘しています。
ただし、その上で、大型テクノロジー株への集中やバリュエーション、投資家のポジショニングなどを考えると急伸も見込んでいないと述べられています。
S&P500種のパフォーマンスは大統領就任式の後に改善することが多い
過去の例を見ると、S&P500種のパフォーマンスは大統領就任式の後に改善することが多いです。
就任式の前後は不安定な動きとなるケースが多いですが、数カ月後には改善し始めます。
就任式前の6カ月では平均8.3%の上昇ですが、就任式後の12カ月では約9.5%上昇しています。
ちなみに、20日の米金融市場はキング牧師の生誕記念日の祝日で、株式や債券など一部が休場となりますので、実際にアメリカの株式市場の動きが出るのは翌日の火曜日となりますので、日本の市場が最初にどのような動きになるのか?
高関税政策にも要注意!
トランプ氏は第1期政権時代の2018年7月から9月にかけ、中国に対して矢継ぎ早に1万品目以上の品目について高関税を適用しました。
昨年の大統領選でトランプ氏は中国に対し一律60%、日本を含む他の国々には同10%の追加関税を課すと表明しています。
高関税政策によって米国が豊かになれると信じ、高関税を中国など貿易相手国の譲歩を引き出す取引手段としてばかりでなく、政府の主要財源として位置づけています。
高関税は結局は相手の国、企業が払うものではなく、アメリカ国民が負担するものとなりますので、アメリカの消費の落ち込みのリスクも高くなりますし、アメリカのインフレにもつながります。
そして、結果的に企業業績にも悪影響を及ぼしますし、インフレになればFRBは金利を下げることもできなくなり、アメリカ株下落にもつながります。
この辺りの一連の流れからの投資リスクを理解することが非常に重要な2025年の投資を成功させるポイントとなります。
市場が身がまえるのはトランプ氏の暴走を許しかねない政権運営体制があるためです。1期目は共和党主流派の閣僚や官僚がトランプ氏の政策と衝突し、一定のブレーキが利いた面がありました。
しかし、今回は米国第一政策に忠実な身内で側近を固めています。
関税を通商上の目的のみならず外交問題を解決するための手段として使うなら経済合理性はかすみます。一期目よりも確実にリスクが高い状況にあるのです。
インフレリスク
インフレリスクも市場を不安定にさせます。
FRBは2022年3月から累計5.25%もの利上げでインフレを抑え込もうとしました。
2024年9月には利下げを始められるところまでこぎつけましたが、減税や関税引き上げなどトランプ氏の政策がインフレを再燃させかねません。
ゴールドマン・サックスは仮に全世界を対象にした10%関税が発動すれば、米インフレ率を1ポイント押し上げると試算しています。
敏感に反応しているのが、米長期金利です。長期金利の指標となる10年物国債の利回りは一時4.8%台に達しました。
大統領選当日から0.5%強上昇しています。関税は貿易戦争の火種となり、需要抑制と物価上昇を同時に引き起こす可能性は高いです。
金利上昇は米国株にとって重荷となります。企業が稼ぐ年間の1株利益を株価で割った益回りはS&P500ベースで長期金利と逆転しました。
安全資産の米国債で運用したほうが、株に投資するよりも高い利回りが得られる状態といえ、これは2001年までのITバブル期以来の現象です。
90年代後半は期待成長率が高く利回りの逆転が許容されましが、現在も当てはまると考えるのは自然ではありません。
米国株の高いバリュエーションはこれ以上の金利上昇に耐えられるとは考えない方が良いです。
このまま金利が高止まりするようであれば細心の注意が必要であり、さらに5%に向けて上昇するようであれば、株式等のリスク資産は一度利確し、様子を静観する判断が重要だと個人的には考えています。
目先のドル円は?
トランプ次期米政権が厳しい関税賦課を直ちに発表しなければ、FOMCの追加利下げと日銀の正常化継続という見方により、日米金利差自体は縮小に向かうでしょう。
これにより多少の円高にはなるかもしれませんが、ほとんどの新NISAは海外に振り向けられ、デジタル課金等の継続的に逓増する実需のドル需要を考えれば、今年も円安基調は変わらないと見ておくことが正しいです。
紙幣印刷の意味を考える
中央銀行が紙幣を印刷すれば政府債務は返せる、だから先進国はデフォルトしない。これは事実です。
中央銀行が紙幣印刷をすれば政府はデフォルトしません。
しかし、これによって通貨安とインフレで国民は完全に壊れます。
日本円の価値はアベノミクス以来の量的緩和によってドルと比べて半分になっています。
2011年には76円台の円高でした。先週末は156円台と少し円高にふれていますが、長期的な円安の流れは明確です。
円の価値が半分に下がったことにより、日本円を保有する日本人にとって輸入物価が倍になったことを意味します。
そして、日本円に比べれば価値を維持しているように見えるドルでさえも、紙幣の価値下落、インフレのために金、GOLDに比べれば著しく減価しています。
1999年、金の価格は1オンス261ドルでした。これは現在2,713ドルですから10倍以上に上昇しています。
ということは円の価値はドルの半分になっていますので、1オンスの金を買うために当時と比較して20倍の円を支払う必要があるということです。
この25年で同じ1万円で当時と比べて1/25の量の金しか買えなくなってしまったということです。
円という紙幣の価値がどれだけ下落しているのか?改めて実感してください。
そして、このリスクを改めて理解してください。
金を持っているから豊かになったのか?そうではなく、円を持っていることで貧しくなっているのです。
BTCの価格はどうなるか?
トランプ次期大統領は、暗号通貨を政策の優先事項として位置づけ、業界関係者に行政への発言権を与える大統領令を発行する計画であることが関係者の話で明らかになりました。
この大統領令は暗号通貨を国家的重要課題として指定し、政府機関に業界との協力を促す戦略的な文言が含まれる見通しです。
バイデン政権下では、リップルやコインベース裁判など仮想通貨業界への捜査や取り締まりが相次ぎ、SECは過去数年間で100件以上の法的措置を講じてきました。銀行規制当局も暗号通貨企業と金融機関との取引を制限してきた経緯があります。
トランプの大統領令には、全政府機関にデジタル資産に関する政策の見直しを求め、暗号通貨関連の訴訟を一時停止する可能性のある指示も含まれるかもしれません。
また、政府が保有するBTCの国家的備蓄創設も検討されています。
米政府は現在、各種捜査で押収したビットコインを約200億ドル保有していますので、これが売られないというだけで市場に安心感をもたらしますし、需給のバランスも変わることになります。
13日には9万ドルを割れる場面もありましたが、日曜午前の時点では104,200ドル台をつけています。
今週は非常に激しい値動きになる可能性も
今週は非常に激しい値動きになると予想します。
12万ドルを突破する可能性もありますが、9万ドル以下まで急落する可能性もあります。
どうなるかは個人的には既に判断していますので、トレード用、現物用のBTC・ETH・TON、それ以外のアルトコインもどう処理するかも決めています。
この値動きを理解するとこの1週間でかなり大きな利益を得られるチャンスがありますので、皆さんもぜひこのチャンスをうまく活かしていきましょう。
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