3月の中旬には、暗号通貨証拠金取引所最大手のBITMEX社では、約1,100億円、19万BTCのポジションが強制決済された。これによりビットコイン(BTC)価格は瞬間的に50%近い下落を記録し、日本の大手取引所の証拠金取引ではBTC価格は30万円台となった。
しかし、その後、大きなポジションが解消されたことで、価格形成は軽くなり、1週間で6,300ドル台まで急回復、そして、5月18日のビットコイン半減期に向けて、現在9100ドルまで上昇している。(2020年5月3日時点)
ビットコインは今後どうなるのか?
株式市場や商品市場、為替市場がまだまだ不安定の中で、ビットコインの価格が安定して上昇したのは、ビットコインの持つ特性である、秘匿性、送金の手軽さ、所有方法などが理由と上げられ、世界経済が不安定だからこそ、継続的な新規購入者の買いが価格を押し上げる結果につながっているのであろう。
また、今コロナが世界的に流行り、金余りが加速し、紙幣の価値がどんどん落ちている中、ビットコインが再び注目され始めている。
しかし、ここにきて、ビットコインが今後どうなるか?について不安な声も一部では上がっている。
マイナーの収益が圧迫されている
新型コロナウイルスによる記録的な金融市場の暴落は、ビットコイン市場にも多大な影響を与えていることは言うまでもないが、暗号通貨企業の業績にも波及する懸念が生じている。ビットコイン価格の急落がマイナーの業績に直結し収益をひっ迫させている。
既に一部マイナーは採算割れに!
現在のビットコインの価格では、安価なコストとマシン供給ラインが確保できない一部のマイナーは収益性が赤字に転落している。そして今後、稼働を停止させる懸念が生じている。
マイナーは、基本的に採算がマイナスに転じたケースでは、例外を除いて稼働を停止する。継続的に莫大な電気代金がかかるため、採算が合わなければ、赤字で掘り続けないことが過去事例やマイナーの証言から明らかになっている。blockchain.comによると、BTCのマイニング計算力を表すハッシュレートは、3月13日に前日比約20%減となった。
ビットコインマイニングの損益分岐点はどの程度なのか?
マイニング収益は、マイニング地域の電気代を含むコスト感やマイニング規模、使用するマイニングマシンによって、大きく損益分岐点に差が生じる。
旧型モデル「Antminer S9」を使用した場合、損益分岐点は1BTCあたり7,518ドルで、最新モデル「Antminer s17 +」を使用した場合、1BTCあたり6,851ドルという計算がでている。
いずれにせよ、現在のマイナーの平均損益分岐点は1BTC 70万円から80万円と試算され、一部のマイナーは、今回の暴落で一時的に採算割れをしていることが推測される。
採算割れによって撤退するマイナーが増加すれば、採算ラインを抑えられる大手マイナーにBTCネットワークが寡占化され、セキュリティリスクが高まる。2018年に見られたマイナー撤退と取引価格の続落といった、負のスパイラルが再現される可能性も懸念される。
一方で投資家から見れば、半減期はBTCの希少性が高まる絶好の投資機会となる。過去2回の半減期後には、BTC価格が大幅に上昇した歴史もある。
過去の半減期から今回の半減期によるBTC価格を予想してみると?
半減期後にBTC価格が上昇すると多くのマイナーが考えれば、マイナーは短期的に赤字を計上してでもマイニングを続けることになる。マイニング報酬のBTCをしばらくの間貯蓄しておけばよいからだ。
重要なのは、マイナーが今後の価格上昇のストーリーを描けるかどうかがポイントとなるだろう。金融市場動向と合わせて、2ヶ月後に迫る半減期も、違う側面から重要な材料として注視されることが予想される。
エネルギー価格の下落にも注目すべきである!
マイナーは常に世界中で拠点の移動を行い、より低コストで安定的に運用できる場所を探し続けている。今回、原油価格が大きく下落し、さらには世界中の工業生産も大幅に落ち込み、電力が大きく余っている国が多数でてきている。
原油価格の下落の中、電力の生産コストは今までよりも格段に安くなるため、より安価な電力価格を提案する国、地域も多くなるだろう。これにより、電気代が安いそれらの国に進出するマイナーの損益分岐点は大きく下がるため、今のビットコイン価格の水準でも十分に収益を上げることもできるようになり、マイニングへの新規参入する事業者もでてくるであろう。
マイナーの淘汰は進むことになったとしても、大手マイナーによるビットコインネットワークの寡占化は防げるとAI TRUSTでは判断している。
半減期までの期間、マイナー破綻リスクによりBTC価格が低迷するのであれば、これは絶好のビットコイン購入のタイミングになると結論付けたい。
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