週間市場動向

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先週、現在のアメリカの分断の象徴的な判決が二つ下されました。

一つ目は銃乱射が相次ぎ、規制強化を求める声が高まるアメリカで驚きの判決です。拳銃を持ち歩くことを厳しく規制するニューヨーク州法は違憲であるとする判断を連邦最高裁が下しました。

そして、二つ目はアメリカの連邦最高裁判所で、人工妊娠中絶をめぐり「中絶は憲法で認められた女性の権利」だとした49年前の判断を覆しました。

トランプ大統領時代に任命された保守系判事が多数を占めているために起こったわけですが、秋に大統領中間選挙を迎える中で、さらにアメリカの分断は深まりそうです。

今の市場は典型的なベアマーケットラリー

先週末のNY市場は上昇し、NASDAQは3.34%の高い上昇を見せました。しかし市場調整は終わったわけではなく、典型的なベアマーケットラリーと考えるべきでしょう。過去半年のチャートを見ても明白ですが、下落の中で定期的な上昇はありますが、そのあとさらに下げています。

※NASDAQ 過去半年チャート

アメリカの高いインフレは止まらず、FRBはよりタカ派姿勢は明確であり、更には市場からの資金の吸い上げは続きます。ここを押し目と見るのは間違いであり、長期間塩漬けするリスクが高いです。

FRBのバランスシート縮小が及ぼす影響を甘く見ないこと

米連邦準備制度は6月1日から、計8兆9000億ドル(約1150兆円)に膨らんだバランスシートの圧縮を開始しました。9月からはさらに額が増加され、毎月950億ドルと、6月からの最大500億ドルの2倍近くに拡大されます。

2008年のリーマンショックの時にも100年に一度と言われた金融危機を乗り越えるために大量の資金を市場に投入しました。その後経済は落ち着きを取り戻しましたが、当時のバランスシートの縮小は小規模にとどまりました。

そして、2020年コロナのパンデミックが世界的に広がる中で、矢継ぎ早の経済対策、支援策で市場にさらに巨額の資金を投入しました。

膨れ上がったバランスシートを見れば明白ですが、今回の過剰流動性バブルはリーマンショック前の時点からの継続であり、コロナショックで更に過剰流動性は膨れ上がり、まさにパンパンの状態に膨れ上がっているのです。

※FRBの膨れ上がったバランスシート

それが今月から資金が市場から継続的に引き上げられるわけなのです。市場から資金が減っていくわけです。膨れ上がった規模が巨大になった分だけ、爆ぜる時の爆ぜ方も悲惨なものになると考えるべきです。

暗号通貨市場ではDefiがバブルを膨張させた

昨年後半から暗号通貨市場は大きく下落し、既に暗号通貨市場のバブルは弾けた状況にあると考えるべきです。しかし、ここで下落が止まったのではなく、今かなり危機的な状況にあります。

アメリカの大手暗号通貨レンディング会社のセルシウスは顧客への資金の払い出しを止め、破綻のリスクが高くなっています。

シンガポールの大手暗号通貨ヘッジファンドのスリーアローズは証拠金の支払いができず、立て続けに強制決済が行われています。そしてこの2社だけでなく、負のスパイラルがどんどん広がっているのです。

金融のイノベーションにより、市場が受ける影響は数倍に増幅されることになります。新たなツールによってマネーのように見える物の供給が拡大されることで、バブルが一段と大きく膨らみ、はじけた時にそれ以上に深刻な打撃が広がります。今回の暗号通貨市場でいえば、Defiというイノベーションで、より大きな信用提供が起こり、より大きなレバレッジが市場に左右し、大きな市場の下落が起こると、突然流動性が枯渇し、ショック安が起こるのです。

足元で進行している暗号通貨市場の崩壊は、新たなデジタルマネーが無秩序に創造された後に起きており、これは2018年のICOバブルと同様です。しかし今回の場合、それとは次元の違う問題が起こっています。

過剰なレバレッジと流動性のミスマッチという問題

数百年にわたって伝統的な金融の世界を悩ませてきた問題のひとつに、過剰なレバレッジと流動性のミスマッチがあります。今の暗号通貨市場ではDefi、レンディングによりこの問題が顕在化しました。

レンディング企業、Defiプロジェクトは、過剰なレバレッジを積み上げ、短期の借り入れを長期の貸し出し原資に使うという愚かな行為を行い(ETHとstETH問題など)、破滅的な結果を招きました。

※100億ドル規模の顧客資産の引き出しを止めたセルシウス

レンディング会社各社が相互融通を行っており、顧客への資金引き出しは止めたままであり、まだまだ問題解決には程遠いです。

レンディング企業、Defiでの強制決済が続くことで、その度に暗号通貨市場は急落するでしょう。

まだまだ底値は見えない状況にあります。多くの暗号通貨投資家の暗号通貨市場への信頼喪失につながること、市場から撤退することで、過去のバブルよりも一段と厳しいものになると考えるべきなのです。

円安は進みインフレも進む

先週は136円台後半を一時つけた円安はこの後もまだまだ進むと考えるべきです。

日銀は引き続き金融緩和政策を取りますので、金利差の拡大はますます広がるばかりであり、ヘッジファンドの円売り、日本国債売りも止まりません。そして、当然のことながら、輸入物価は上昇しますので、インフレ、特に生活する上で必要なもの、さらには電気代は上昇していきます。

インフレの主な原因を再度まとめてみると?

異常気象や天候不順などによる小麦やとうもろこし、食用油脂など原材料費の高騰
コロナ対策による移動の制限などによる農産物の生産減少。
輸出制限などによる供給不足による価格の高騰
原油高による輸送コスト、製造コストの高騰
ウクライナ情勢
急激な円安

これらによりさらなる値上げラッシュが続くとみられています。

AI TRUSTでは何度も言っていることではありますが、生活コストを下げることが今は誰にとっても必須の課題となりますね。

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