新型コロナによる経済へのマイナス影響は新興国、途上国において特に深刻な影響を及ぼしました。しかし、米大統領選におけるトランプ氏の敗北が確実になったことと、米製薬大手ファイザーの発表により、有望な新型コロナウイルス感染症ワクチンが登場したことで、2021年以降は新興国への投資妙味は高まると考えられます。
ただし、ワクチンが完全に普及するまでには時間もかかるでしょうし、新興国投資に慌てて飛びつくような話でもありませんので、今回は今のタイミングでの金融大手各社の動向や新興国市場についてまとめてみました。
貿易・旅行回復が追い風に
天然資源の輸出や低賃金の労働力提供、観光業などで経済が成り立つ新興国は、世界的な貿易と旅行が回復すれば追い風になりますし、米国の政策面での不確実性が後退したこともプラスに働きます。
モルガン・スタンレーは11日、新興国は全て買いだという実に単純なメッセージを投資家に発信しました。モルガン・スタンレーが大規模なポジションを組むのは、中国人民元、メキシコペソ、ブラジルレアル、南アフリカランド、コロンビアペソ、ロシアルーブルといった各通貨や、ウクライナの成長連動ソブリン債からメキシコ国営石油会社ペメックスの社債までさまざまなドル建て債券になっています。
不透明感が和らいで、待機していた潤沢な投資家の流動性がリスク性資産に行き場を見つけ出し、新興国資産の値上がりが2021年にかけて続く可能性は十分にあります。
インドネシアとタイでは貿易と観光産業での収入が復活する!?
投資家が貿易と観光を主な産業としている新興国に戻ってくるので、特にインドネシアルピアとタイバーツが堅調に推移するとの見立てをシティバンクでは行っています。観光収入が実際に入ってくるのはまだ数カ月先かもしれませんが、トンネルの出口が見えてきています。現在はまだ国内での政府に対する抗議活動も続きますが、海外からの旅行者が増加し、観光業が活発化すれば、タイバーツは反転し、バーツ高に向かっていくでしょう。
中南米は今年の3月以降、最も新型コロナによるマイナス影響を受けた地域となりますが、有効なワクチンが出てくれば、この地域が世界で一番恩恵を受ける可能性があります。ファイザーのワクチンのニュースが、世界経済成長、特にコモディティなどの需要見通しが改善したことから新興国資産の値上がりを一層加速させることになるわけで、新興国は2021年の投資における勝ち組になることは間違い無いでしょう。
トルコリラに妙味も
新興国資産の魅力は、ワクチンや米国の政策正常化期待だけが理由ではありません。ソシエテ・ジェネラルとシティは、ともにトルコリラについても弱気から強気に転換しています。これはエルドアン大統領が中央銀行総裁を解任、財務相が辞任した後、エルドアン氏が政策の大幅な軌道修正を約束したからです。トルコが経済政策をより正統的な枠組みに戻す方向への劇的な姿勢転換が行われることで、長らく下落の続いたトルコリラも上昇に転じる状況になりつつあります。
中国元も継続上昇
国際通貨基金(IMF)の推計では、春先におよそ1000億ドルもの資金が逃げ出した新興国には最近数カ月間、着実に資金が流入しています。その要因としては、先進国の金利が事実上ゼロかマイナスに沈む中で、新興国の相対的な高金利という、以前から存在した魅力も挙げられます。
資産運用会社大手からの新興国への投資は続き、中国を含むアジアの新興国債購入が拡大されています。これらの地域は西側よりもずっと高い実質利回りが得られることが理由となっています。中国債と米国債の実質利回り差は少なくとも過去10年で最も大きく、中国債にそうしたプレミアムがあるゆえに、人民元は上昇が続くことも見込まれます。
有り余る過剰流動性資金
新型コロナワクチンの世界隅々までの配布、接種にはまだまだ時間はかかります。しかし新型コロナが人類に与える影響もある程度は理解でき、コロナ慣れの状況の中、余ったお金はよりリスクの高い行動に移っています。世界各国の株価は最高値圏内を推移していますし、2021年は新興国への投資、特に為替投資については誰でも簡単にできるものですから、理解を深めておくと、良い投資チャンスとなるでしょう。
そしてやはりより高い確率で、大きな上昇をみせるのが暗号通貨市場となるでしょう。発行枚数が限定されているからこそ、ビットコインは今よりも、より高い価値に向かっていくことになるでしょうね。
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