世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスの感染を抑えるワクチンの実用化は少なくとも1年は見込めないとの見方を示した。
WHOのマーガレット・ハリス報道官は「(新型コロナの)ワクチン開発が少なくとも12カ月程度で実現すると予想すべきではない」と述べた。当初考えていたよりも、コロナ収束までは相当長い時間が必要だと考えるべきであろう。
新型コロナウイルスの感染拡大が始まった3月、都内で救急搬送の受け入れを複数の病院から断られるなどしたケースは979件に上り、去年より300件近く増えていたことが東京消防庁への取材でわかった。
東京消防庁によると、救急搬送の受け入れ先を探す際、5か所以上の病院に断られたり20分以上搬送先が決まらなかったりしたケースが先月、979件に上ったことがわかった。去年の同じ時期より297件、率にして43%増加している。
東京都では複数の病院から患者の受け入れを断られるなどした場合、救急隊員ではなく、地域の中核病院が搬送先を探す「東京ルール」と呼ばれる仕組みを運用しているが、感染が拡大している今月はさらに受け入れを断られるケースが増えるものとみられる。
世界で起こる医療崩壊
日本でも医療崩壊危機が叫ばれる中、いくつかの海外の状況をまとめてみた。
新型コロナウイルスがなぜイタリアで広がったのか?

スペイン
脆弱な医療体制はイタリアとも似ているのがスペイン。経済協力開発機構(OECD)によると、1,000人当たりの病床数はスペインは3床で、3.2床のイタリアより少ない。医療関連予算が削減され、医療従事者や医療用品の不足が深刻化している。
スペインにおいてイタリア以上に深刻な状況にあるのが、医療機関と介護施設での感染拡大だ。スペイン厚生省は、総感染者数の14%を医療関係者が占めると公表した。イタリアでは、その割合は8%程度といわれ、10%を超える国は珍しい。スペインでは医療関係者が感染を媒介しているとの指摘もある。
フランス
感染者が4月15日時点で13万人に上っているフランスでは、首都パリを含む地域やドイツ国境に近い東部で患者が急激に増加していて、医療現場はぎりぎりの対応を迫られている。
このため先月下旬からは、症状の重い患者を感染者が少ない地域に運んで治療する措置が行われている。政府は、感染者が少ない地域から医師や看護師を派遣する措置も始めている。
アメリカ
医師が医療用のゴーグルを入手できずに「スキー用のゴーグル」を着用している姿や看護師たちも防護服の替わりに「透明のゴミ袋」を身につけている。
医療崩壊に少し遅れる形で葬儀システムの崩壊も起こっている。例年、州内の年間死者数は15万5,000人程度で、単純計算すると1日の死者数は425人となる。新型コロナによる感染爆発により通常に比べて死者の数が約数倍に膨れ上がった計算になる。
葬儀システム崩壊の1つめは、圧倒的な量の増加による遺体安置所不足だった。葬儀崩壊の2つめは、葬儀事業者の圧倒的な人手不足だ。さらに新たな問題として墓地不足も表面化している。
医療崩壊が起こらないドイツ
ドイツではこれまでに、13万人以上が新型コロナウイルスに感染している。しかし、病院内に混雑や混乱はなく、病床や集中治療室に十分空きがあるため、重症化した患者にしっかりとしたケアができている。
もともと医療や検査態勢が充実しているとはいえ、イタリアやフランスからの重症患者を受け入れる余裕があり、致死率はわずか1.8%に抑えられている。ドイツで医療崩壊に至っていない理由は、国内の多くの病院が3月中旬ごろから緊急性の無い治療や手術を極力減らし、新型コロナウイルスの患者を受け入れる準備を始めていた。
受け入れ態勢を整えて臨戦態勢で待っているような状況のところに、患者がいま徐々に入ってきている状況で、医療崩壊を防ぐことができている。日本を始めとして多くの国が見習うべき点が多いのではないだろうか?



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