政治混乱

国家安全維持法案が可決、今後の香港はどうなるのか

香港の国家安全維持法案が7月1日からスタート

中国の全国人民代表大会の常務委員会は30日、北京による香港への統制を強化することを目的とした国家安全維持法案を全会一致で可決した。同法律は香港返還から23年となる7月1日には施行されるが、香港の高度な自治と独立を保護してきた「一国二制度」がさらに脅かされることとなった。

国家安全法は、国家分裂や政府転覆、テロ行為や外国勢力の介入などを禁止することを目的としており、反政府デモや集会などは違法行為として、当局に発見され次第すぐに逮捕・拘束されることになる。

香港の民主派議員や人権活動家などは、同法は一国二制度の理念に反するだけでなく、香港の民主主義や自由を根本的に脅かすものだと主張しているが、富裕層などは台湾や米国など海外への移住を加速化させており、世界の金融センターとしての香港の価値はいっそう下がる見込みだ。

去年の抗議デモでは6000人以上が逮捕

去年6月以降、逃亡犯条例改正案に反対する抗議デモが香港の繁華街で次々に発生し、香港警察が実弾を市民に向かって意図的に発射するなど、国際的な非難の声も強まった。去年6月以降の一連の抗議デモでは6000人以上が逮捕され、警察が市民に向けて使用した催涙弾は1万6000発以上、ゴム弾は1万発以上だったとも言われる。

今年に入っても、中国国歌への侮辱行為に罰則を科す国歌条例案の審議が香港立法会で開始された5月27日、同条例案と国家安全法に反対する数千人規模のデモが発生し、学生を含む360人以上が逮捕された。

また、5月24日には、共産党政権が導入を目指す国家安全法に抗議する数千人規模のデモが発生し、市民180人以上が逮捕された。

香港でも新型コロナウイルスの感染拡大を防止する目的で、ソーシャルディスタンスや9人以上が集まる集会などが禁止されているが、マスクを着用した市民らはペットボトルや傘などを治安部隊に投げ付け、治安部隊も催涙ガスや放水で応戦するなど、昨年の抗議デモを彷彿とさせる事態となった。

去年の逃亡犯条例改正案に端を発する抗議デモと違い、今年の抗議デモでは、「香港の独立」と書かれた旗を掲げる人々が多く目撃される。

しかし、去年と比べると大きな違いも感じられる。去年、抗議デモの参加者たちからは、“逃亡犯条例改正案を可決させない”、“北京の圧力に屈しない”という情熱が感じられた。

香港には諦め、疲労感、絶望感が漂う

現在の香港からは感じられるのは、“どうやっても香港は北京から逃げられない”、“もう疲れた”、“移住しよう”という諦め、疲労感、絶望感だ。

今後の香港は一体どうなるのだろうか。少なからず言えることは、北京にとって香港は核心的利益である。

核心的利益とは北京が絶対に譲ることのできない利益であり、中国化する香港はいっそう進むことだろう。

日本人の外国出張や海外旅行は大丈夫か?アジアや欧米などでは徐々にロックダウンが解除 新型コロナウイルスの感染がピークを越えたとして、アジアや欧米などでは徐々にロックダウンが...
ABOUT ME
サントロペ
サントロペ
国際政治学者、大学教員でありながら、実務家として安全保障・地政学リスクのコンサルティング業務に従事する。また、テレビや新聞などメディアでも日々解説や執筆などを積極的に行う。
AI TRUSTメルマガへ登録しませんか?

毎週1回情報をまとめてお送りします。

AI TRUSTでは日々の金融市場に影響を与えるニュースを独自の視点から解説を行っています。是非ご自身の投資指標としてご活用ください!!