新着ニュース

インドの成長を阻む新型コロナ

新型コロナ感染者数過去最多を記録

インドでは8月26日に、過去24時間で85,687件の新型コロナの新規感染報告があり、世界最多を記録しました。そして翌日にはプラナブ・ムカジー前大統領が、ニューデリーの軍病院で死去しました。84歳でした。ムカジー氏の息子がツイッターで明らかにしました。

ムカジー前大統領は、8月中旬に新型コロナへの感染が判明し、意識不明となっていました。ムカジー氏は最年少の47歳で財務相に就任し、外相や国防相を歴任しました。幅広い人脈で難題の調整に当たったことから、「トラブル・シューター(問題解決屋)」と呼ばれていました。新型コロナの感染拡大が収まらないインドに焦点をあて、今日は話を進めていきます。

まもなく世界2位へ

新型コロナの感染が急速に拡大しているインドで、ロックダウン措置が1日からさらに緩和されました。インドでは新型コロナの新規感染者が過去5日連続で75,000人を超え、世界最悪のペースで感染が広がっています。8月26日の新規感染者は85,687人と、米国が7月16日に記録した77,255人の世界最多記録を更新しました。

最新の感染者数は計370万人超で、米国、ブラジルに続く世界3位となっています。100万人に達するまでには6カ月近くかかったのに対し、その後3週間で200万人、さらに16日間で300万人を超えました。

400万人を超えるまでは更にスピードが加速しています。世界2位のブラジルとの差は日々縮まっており、まもなくブラジルを越える見通しです。ただし死者は比較的少なく、先月末までに報告された人数は64,469人と、ブラジルの約半分です。致死率は1.79%となり、死亡率が低いこともロックダウン緩和の理由の一つとなっているのでしょう。

ロックダウン緩和

全国の地下鉄は7日から段階的に運行を再開し、21日以降は流行地以外で100人までのスポーツ、娯楽、文化、宗教、政治イベントの開催が、マスク着用などの条件付きで許可されます。学校は今月末まで引き続き閉鎖されますが、教員の半数まではオンライン授業のために出勤を認められ、高校生は自主的に登校できるようになります。

インドではモディ首相は3月末に突然、厳しいロックダウン措置を発表しました。これによって経済への深刻な打撃を受けたため、5月から規制緩和を進めています。モディ首相は感染者の急増について、検査件数が増えたためだと説明し、回復率の高さと致死率の低さが対策の成功を物語っていると主張しています。

しかしこれに対し、医療や教育、電力供給など国民の基本的ニーズに応えられない国家の欠陥が露呈したとの声も多数上がっており、現実的には経済をこれ以上止めることに、国民生活もインドの財政も耐えられないことが一番のロックダウン緩和の理由でしょう。これは世界各国同様ですが、新興国の脆さが今回の新型コロナでは浮き彫りになった形といえます。

世界の労働環境悪化が招く暴動・デモ国際労働機関(ILO)は今年1月、世界の労働環境に関する最新の報告書を発表した。それによると、世界経済が減速する中、2019年の世界全体...

過去最悪のマイナス成長

インド経済は4〜6月に過去最悪のマイナス成長を記録しました。新型コロナ対策として講じられた世界最大規模のロックダウンで主要産業が止まり、数百万人の仕事が失われました。

インド統計当局が8月31日発表した4〜6月の国内総生産は前年同期比23.9%減と、1996年に四半期統計の公表が始まってから最大の落ち込みとなり、主要アジア経済のどこよりも悪い数字となりました。

中国と比較してもまだまだ発展途上過程にあり、インフラ整備も進まず、衛生面での問題も多いインドですし、貧困層の居住地も集中していることから、コロナ蔓延は暫く続き、経済回復には時間がかかると見ておいたほうが良いでしょう。

フィリピンのテロ情勢、日系企業や邦人の安全にも注意フィリピンホロ島でテロ爆発、兵士5名死亡、17人が負傷 フィリピン南部スルー諸島のホロ島で24日、連続して2回爆発があり、少なくともフ...

中国との関係悪化も重しに

インドと中国両軍が6月半ばにヒマラヤ山中の国境係争地で衝突し、45年ぶりの死者が出てから2カ月近くがすぎました。司令官同士が協議して7月に双方が衝突地点付近から撤収し、軍事的な緊張は下火になりました。しかし経済面での緊張関係はまったく別の話であり、インド政府は対中制裁としか映らない強硬措置を次から次へと繰り出しています。

動画投稿のTikTokやSNSのウィーチャットなど100を超すアプリの使用を禁じ、ファーウェイやZTEの通信機器を排除しています。対内投資や政府調達参入への審査を厳格化し、関税引き上げと非関税障壁のからめ手による輸入制限も検討しています。

しかしこれは自分で自分の足を撃つようなものであり、太陽光発電装置の9割、スマートフォンなら7割、医薬品原料は6割を、現地生産を含む中国製に頼っている今のインドの状況を考えると、自らの成長の大きな足かせになることは間違いありません。

マクロの数字をみても、2019年のインドの総輸入のうち中国が占める割合は13%を超しますが、中国の輸出のうちインド向けは3%にすぎません。中国勢を排斥すれば結局の所、困るのはインドであり、中国への打撃はそこまで大きくなく、国民感情への配慮がモディ政権にあるとしても、新型コロナ蔓延と中国との関係悪化はインド経済を少なくとも5年、10年単位で成長を遅らせることになるでしょう。

世界のバランスを考えたとき、インドの成長が中国共産党の覇権主義の防波堤にもなり得ると考えられていましたし、南アジア全体のバランスが崩れることにも注意を図る必要がありそうです。

南アジアから聞こえる反中国感情南アジアから聞こえる反中国感情 近年、中国の経済的影響力が世界に拡大するなか、それに対する反発や抵抗の声が強くなっている。そして、今年...

お金の科学を分析する

人はなぜお金に一喜一憂するのか?

そもそもお金とはなんなのか?

お金があれば本当に幸せになれるのか?

お金に対しての様々な不思議を 科学的に分析してみました。

無料レポートを今すぐこちらからご覧下さい。

ABOUT ME
チャーリーTAKA
チャーリーTAKA
日本を代表する投資家兼実業家でもあり、グローバル・チーフ・ストラテジストとして活躍中。
AI TRUSTメルマガへ登録しませんか?

毎週1回情報をまとめてお送りします。

AI TRUSTでは日々の金融市場に影響を与えるニュースを独自の視点から解説を行っています。是非ご自身の投資指標としてご活用ください!!